受験勉強も大事ですが、資格はなりたい自分に近づくための手段。合格後の「仕事のイメージ」を抱くことも大事です。このコーナーでは、資格の世界を知るのに役立った本や映画などを合格者が紹介します。
人間は単純なのか、複雑なのか?
富士山
おすすめの理由
富士山にまつわる中篇小説集です。おすすめは「ジャミラ」。ゴミの要塞のような家に住む孤独な老女の話です。役所に勤める「僕」と心理カウンセラーの女、町の人々が出てきます。
人間は単純なのか複雑なのか。
人間はカテゴライズできてしまうのか、そうしてしまう性質をもっているだけなのか。
専門家と名乗るもの、近所のオバサン。
結局は一緒の人間で、同じようなことをしますが、
専門家は納得できる物語を作ることに長けているものですよね。
「でも、僕はなんか違うと思う。そんなふうにわかりやすくジャミラの人生を語ってはいけない」
そうです。そうなんだけど…。
他の話も面白いです。専門書の合間に読んでみてください。
(みきのこさん・社会福祉士)
内容
社会問題化した宗教団体から救出された青年の生活や心の内を描く「青い峰」、さよなら旅行として樹海へ足を踏み入れた中学生を描く「樹海」、青年とゴミ屋敷の主との関わりを描く「ジャミラ」、産婦人科で働く看護師が富士登山をする「ひかりの子」。4つの小説には、随所に富士山が登場する。危うい精神を持ちつつも、どこにでも存在しそうな人たちが描かれた小説集。