受験勉強も大事ですが、資格はなりたい自分に近づくための手段。合格後の「仕事のイメージ」を抱くことも大事です。このコーナーでは、資格の世界を知るのに役立った本や映画などを合格者が紹介します。
忘れたい過去を見つめ直すことでもらえる勇気
夕凪の街 桜の国
おすすめの理由
100頁ほどの漫画ですが、読み終えたあと、何とも形容しがたい感情がじわじわと湧いてきて、しばらくずっと心に残っていました。きっと私にとって、大切な忘れられない作品になるだろうと思います。この物語は、原爆投下から10年後の広島が舞台の「夕凪の街」、現代が舞台の「桜の国」から成っています。「桜の国」の主人公の七波は、「夕凪の国」の主人公皆実の弟の娘で、皆実の姪にあたります。七波は最近の父の不審な行動をつきとめるために、友人とともに父を追って広島に行くのですが、そこで自分たちの家族のルーツを知ることになります。
原爆が、ごく普通の人々にどんな影響を与えたのか…。「夕凪の街」の最後に、こんな言葉が綴られています。
「このお話はまだ終わりません。何度夕凪が終わっても終わっていません」
原爆が残した傷は、深く、さまざまな形で、今でも多くの人の心に刻まれていることに衝撃を受けました。そして、戦争のことなど何も知らない私自身も、無関係ではいられないということも。
忘れたいと思う過去があっても、いつかそれを見つめ直し、そこから何かを見つけることができる。それが人の持っている強さなのかもしれません。前を向く勇気をもらったような気がします。
ちなみにこの漫画は映画化もされています。どちらも素晴らしいので、ぜひご鑑賞ください。
(K.Kさん・相談員)
内容
広島のある日本のあるこの世界を愛するすべての人へ――。昭和30年、灼熱の閃光が放たれた時から10年。ヒロシマを舞台に、一人の女性の小さな魂が大きく揺れる。最もか弱き者たちにとって、戦争とは何だったのか、原爆とは何だったのか…。
第8回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞、第9回手塚治虫文化賞新生賞受賞。2007年に映画化。