受験勉強も大事ですが、資格はなりたい自分に近づくための手段。合格後の「仕事のイメージ」を抱くことも大事です。このコーナーでは、資格の世界を知るのに役立った本や映画などを合格者が紹介します。
“ニート”に対する正しい理解を助けてくれる一冊
ニート―フリーターでもなく失業者でもなく
おすすめの理由
社会福祉士として現場に出て5年が経ちます。特養で働いているので、日々の実践のなかで出会うのは高齢者の利用者さんが多いのですが、そのご家族として、若い人もよく訪れます。ただ、最近、何人かの方々とお話をさせていただいていて気になるのが、「今は働いていません」と、小さな声でぼそぼそと言う人が多いこと。人によっては、「私、ニートでーす!」なんて、おどけて自ら笑顔で言ってくる人もいます。そんなことから、近年、話題になっている“ニート”について気になり、本屋さんでこの本を見つけたので読んでみました。すると、今まで私が描いていたニートのイメージ<=親のスネをかじりながら依存してだらだらと日々を過ごしている若い人たち>が、実は、「働かない」のではなく「働けない」人もいるということ、また、「働きたい」のに「働くために動き出すことができない」人も大勢いるということ、背景には私の知らなかったさまざまな問題があることなど、決して本人の甘えだけで存在しているのではないということがわかり、私のニートに対する考え方を少し変えることができました。
今後、社会福祉士の実践にも深く関係してくるであろうニートの若者たち。私たちは、まずはその正しい理解から始める必要があると思います。そういう意味で、この本は入門書として、基礎知識を得ることのできるお薦めの一冊です。
(R.Kさん・特別養護老人ホーム生活相談員)