受験勉強はもちろん大事。でも、机に向かって知識を詰め込むだけが取り組み方ではありません。合格者には、独自のアイデア、秘策もあるようです。本コーナーでは、先輩たちが推奨する「合格に役立ったもの」を自由なスタイルで紹介します。
元気回復の決め手
お友達との時間
ゼミ旅行で日光に行ったときにお友達と撮った写真。
後ろの列のいちばん左が私です。
後ろの列のいちばん左が私です。
おすすめの理由
受験勉強そのもの以外で合格に役立ったことと訊かれたら、私の場合、間違いなくこれだと思います。仲のよい友達と会って、話をする。買い物に出かけたり、カラオケに行ったり、お酒を飲みに行ったりと形はさまざまです。イベントなり目的なりがセットでなくても、気心の知れた相手と楽しくおしゃべりできる場をもつことの大切さを、とりわけ受験が間近に迫った12月、1月は感じました。いろいろと事情が重なって、ストレスフルな状況におかれていたことも関係しています。なぜ、「お友達との時間」だったのか、私の経験をお話しさせていただきます。精神保健福祉士を志して
福祉関係の道に進もうと思ったのは、高校生のときです。高校を一度中退した後、再び高校に入り直すということを経験しています。このとき、きっかけとなったのが周囲の方々の支えでした。復学したとき、私の中には「人の支えになれる仕事に就こう」との思いが、漠然としたものでしたがあったように思います。大学に進学するときは、精神保健福祉コースを専攻しました。授業で学ぶうちに、精神障害者の人権侵害など日本の精神保健福祉が歩んだ歴史に関心といいますか、問題意識をもつようになり、精神保健福祉士への思いはさらに高まりました。みんなが支え合える社会をつくっていくことにかかわっていけたらという、自分の中にあった目標とも合致して、資格を取ることを心に決めました。
大学3年から、最寄りの地域活動支援センターでアルバイトを始めるようになり、4年からは非常勤職員として働きました。精神保健福祉士として働く場は、当初から“地域”を考えていました。地域の中でつくっていきたいという気持ちがありましたし、利用者さんとのかかわりのなかで、思いの実現をお手伝いできたなどうれしい出来事にも出合えたりして、「あとは資格をとるだけ」になっていました。
勉強は「好奇心」が素(もと)
本格的に受験勉強を始めたのは、11月を過ぎてからです。大学の授業はきちんと受けるように心がけてきたので、基礎的な理解はまずまずあったと思いますが、試験対策という点では出だしは遅かったかもしれません。夏に購入していた過去問や模擬問題集、ワークブックなど、主だった受験対策書を改めて手にし、ひと通りチャレンジしたのが一つです。
勉強法として効果があったのは、「苦手な内容、わかりにくい内容に興味をもって自分で調べる、そこから理解の糸口をつかむ」ことでした。自分がよくわからない内容ですから、ただ興味をもとうと思っても難しいわけですが、その事柄が解説されている内容の中に何かしら自分が興味をもてるキーワードを見つけて、そのキーワードを興味のおもむくままに調べていくと、いつのまにか理解に近づいていることに気づきました。調べるのは、インターネットの検索が中心でした。取っ掛かりがないかなと何気に調べていくうちに、関連する知識のほうからしだいに興味が刺激されて、つれて理解もできてくるといった感じでした。わかるまで調べていくと、だんだん楽しくなってきて好奇心も湧いてくるのは発見でした。
友人、家族が支えてくれた
そうはいっても、特に受験期間の後半はストレスの高い状態に陥りました。私の場合、大学4年のときは週4日働いていたので、毎日確実に勉強するとなると、その日は午後10時からのスタートがやっとでした。最低2時間はやろうと思っても、疲れから眠くなる、仕事のことが頭に浮かぶなど思いどおりにならず、さらには卒論の提出期限も迫ってきて、焦りの気持ちが高じて先生の前で泣き出してしまうこともありました。
そんな状況のなかで、私がこれだけはと思って続けていたことがあります。それは「友人との時間」をもつことでした。休日(と決めた日)は勉強をしない、外で友達と会って自由におしゃべりをする。何が目的ということはなくて、いっしょに楽しい時間を過ごせれば、それだけで元気になれました。「家族」も支えでした。家族がいてくれて、何気ない日常の会話がある、聞いてくれる相手がいる。そんな当たり前のことに癒され、気持ちも切り替えさせてくれました。
試験は共通科目に苦戦してダメかなと思っていたので、合格したと知ったときは本当にうれしかったです。いつも支えてくれたお友達や先生、家族、皆さんのおかげです。
これから
私は今、地域活動支援センターで働いています。振り返ると、一度高校をやめたときも今回の受験勉強のときも、つらかったときに心を支えてくれたのは、友達や先生、家族、たくさんの周囲の方たちでした。私もだれかの心の支えになりたい、そうやってみんながお互いに支え合えたらいいのかなと思います。
地域の人たちとかかわって、障害者も健常者も関係なくいっしょに暮らせる社会、みんなが住みやすい社会にできたらいいな。私の目標です。
プロフィール
平成23年度試験合格
桜美林大学健康福祉学群卒。4月より、川崎市内の地域活動支援センターに勤務。高校時代に、精神保健福祉士、臨床心理士など人の心にかかわる職種に関心をもち、大学在学中の授業、見学実習のなかで、地域で活動する精神保健福祉士への思いがかたまっていった。地域活動支援センターでのアルバイト、非常勤勤務では、利用者とのかかわりを通じてこの仕事の楽しさ、やりがいの一端にもふれ、進路を決定づけた。趣味はショッピング、まったりすること。好きなものは、クマとイヌとネコ。苦手なものは、埃(ほこり)とクールな人。「動物が好きで、見るとさわりに行っちゃうんです。あ、クマはキャラクターですよ」と瞳がかがやく23歳。