受験勉強はもちろん大事。でも、机に向かって知識を詰め込むだけが取り組み方ではありません。合格者には、独自のアイデア、秘策もあるようです。本コーナーでは、先輩たちが推奨する「合格に役立ったもの」を自由なスタイルで紹介します。
楽しく体を動かす
ボクシングでスッキリ!
愛用のマイグローブ、
見るとウズウズしてきます。
見るとウズウズしてきます。
おすすめの理由
ご覧いただいてのとおり、ボクシング用のグローブです。競技としてやっていたわけではなく、エクササイズです。今、女性をいっぱい集める現代風のボクシングジムがあるのをご存知でしょうか。始めたきっかけは、職場の同僚のお誘いでした。ボクサーを目指していた若い男性で、すごく楽しいのでどうですかとジムの無料チケットをくれたんです。それまで、あまり男っぽいものをやったことがなかったので、怖い気持ちもあったのですが、行ってみたらこれがすごく楽しい。音楽にあわせてパンチを繰り出すボクササイズとか、なんでこんなに楽しいんだろうと衝撃的でした。
見事にはまってしまい、それからは毎日行っていました。今の職場に移ってからは、ローテーション勤務でかつ忙しさもあって回数は週1回に減り、さらに今は体調を崩してお休みしている状況ですが、こうしてグローブを眺めていると、やっぱりいいなあと思います。
受験にどう役立ったかって? そうでした。それをお話ししなくてはなりません。
社会は5回挑戦、精神は1回でパス
私は精神保健福祉士の資格を受験する前に、社会福祉士を受験しました。プロフィールでご紹介いただいているように、仕事をしながらの受験勉強でしたので、時間を確保するのに苦労しました。仕事そのものの疲れやストレスもありましたし、時間がとれたとホッとすると、今度は睡魔が襲ってくるという具合です。社会福祉士は、平成12年(平成11年度試験)に初めてチャレンジして失敗、14年から16年に3回連続でチャレンジしてやはり失敗、合格したのは5回目の挑戦となった平成19年でした。対して、精神保健福祉士のほうは、1回でクリアしています。科目数が減って攻略しやすかったこともありますし、受験そのものに慣れてきて、勉強の方法に自分なりの取り組み方ができつつあったこともあります。
でも、振り返ってみて、それらよりもっと大きかったなと思うのが、ストレスへの向き合い方、解消の仕方でした。
これまでの職歴は、業務の内容や専門性は異なっていても、いずれも人と接する仕事でした。相手の話をうかがって契約までもっていく、お年寄りの話に耳を傾けて思いに添って介護をする、生活の悩みをお聴きしてアドバイスするなど、どれも「話を聴く」という仕事です。こうした人と接する仕事というのは、どれだけ知識や技術が長けていっても、自分自身の心にやがて疲れやストレスが生じてきます。人の話を聴くのも、一日で自分自身が対応(許容)できる限度というものがあります。そこを超えてしまうと、今度は自分自身の健康を害してしまう。そのすれすれの状態を何度か経験し、そういうさなかで出合ったのが、冒頭の「ボクシング」でした。私が疲れてストレスを抱え込んでいるのを、同僚が見かねたのでしょう。そういう心身の状態だったからこそ、余計に「体を動かす」ことの効果が大きく現れたのかもしれません。
ストレスは発散、おなかもへっこむ
ボクシングに毎日行くようになり、気持ちをリフレッシュできるようになったのはもちろんのこと、体が軽くなって調子がよくなりました。1日1時間のエクササイズを続けていて、おなかに線が入っている(腹筋が割れている)のに気づいたときは驚きました。おなかはへっこむし、ストレスは発散できるし、ごはんはおいしいし、いいことずくめです。仕事とプライベートの切り替えもできるようになりました。精神保健福祉士の受験勉強に取り組んだのは、現在の職場に移った年で、初めての相談援助業務に仕事を覚えるのに精一杯の状況でした。勉強をする時間もほとんどありませんでしたが、それでも順調に仕事を続けられ、試験にも1回のチャレンジで合格できたのは、忙しくても週1回通っていたボクシングのおかげかもしれません。
勉強は事例問題を特訓
受験勉強の話も少しだけ。社会福祉士のほうで回数を受けているので、そのなかで気づいたことがあります。事例問題です。事例はよく考えればわかっても、実際の試験では時間が足りないと焦って解答を誤る傾向が少なからずあると思います。その苦い経験をくり返していたので、精神保健福祉士の勉強では、事例問題を速く解ける練習に力を入れました。定期的に、今日は事例の日と決めて、その日は事例問題だけに取り組む。同じ問題も含めて何度も何度も解いてスピードを上げていくようにします。練習を続けていくと、事例はそれぞれが別の内容でも、文章のパターンや問われ方でなんとなく察せられるものが出てきます。そこまでいけば、正答率は上がるでしょうし、問題を解くスピードも上がっているはずです。もう一つは、まんべんなく勉強することはあきらめて、取れる科目で確実に取ることを考えるということ。特に働きながら受験される方は勉強する時間も限られているので、取れない科目で無理をすることはないと思います。私は、苦手科目は1点取れればいいと考えて、あまり勉強しませんでした。得意な科目、点数の取りやすい科目でその分補ったほうが効率的です。
切り替え上手になりましょう
勉強(仕事)とプライベートの切り替えをしっかりすることは、精神保健福祉士として働き始めてからも役立つと思います。相談業務を経験して思ったのは、自分の芯をしっかり持っていないと、利用者さんに巻き込まれていく可能性があるということです。精神状態が悪かったり、感情を強くぶつけてこられたりする方もたくさんいて、そういうときに自分が巻き込まれずにいられるかは重要です。家に帰っても引きずっていたら、どんどんたまっていきますし、気持ちがすぐ沈んでしまうのもつらくなります。運動や自分の好きなことで切り替えられる人は、この仕事に合っていると思います。受験段階から、切り替えの方法や習慣をつけられたらいかがでしょう、というご提案です。プロフィール
松井共子(まつい・ともこ)さん平成21年度試験合格