受験勉強も大事ですが、資格はなりたい自分に近づくための手段。合格後の「仕事のイメージ」を抱くことも大事です。このコーナーでは、資格の世界を知るのに役立った本や映画などを合格者が紹介します。
生活者の視点から描かれた統合失調症患者の“その後”
精神病棟に生きて
おすすめの理由
この本は、昭和56年、46歳の時に執筆された著者の『精神病棟の二十年』(新潮文庫)の続編にあたるものです。この本には、急性期の症状を脱した著者の、その後の生活ぶりが描かれており、患者本人や家族にとって精神疾患がとても過酷なものであるということを認識させられます。統合失調症患者が、自らの病歴をさかのぼって記述している著作はいくつかあると思いますが、この本は、私たちと同じ現実の中にある生活について描かれている点に、特徴があると言えます。つまり、生活者としての視点です。
長らく精神障害のある人たちは、差別と偏見に晒されてきました。現在でも、昔ほどではないにしろ、そういう部分が残っているのではないでしょうか。自分たちとは違う世界に住む人という認識ではなく、彼らも、私たちと同じ生活者であるという認識、あるいは精神疾患に対する理解が、この本をきっかけとして、深まってほしいと思います。
(ベルーガさん・精神保健福祉士)