受験勉強も大事ですが、資格はなりたい自分に近づくための手段。合格後の「仕事のイメージ」を抱くことも大事です。このコーナーでは、資格の世界を知るのに役立った本や映画などを合格者が紹介します。
物事を素直に考えられなくなったときに読み返す一冊
間違いだらけのメンタルヘルス
おすすめの理由
この本を手にしたのは、私が大学4年生のときのことでした。その頃、精神科病院での実習を終えた直後で、私の頭の中はとまどいや整理できない気持ちでいっぱいになっていました。閉鎖病棟の扉、私はスタッフに頼んで鍵を開けてもらえば自由に出入りできるのに、患者にはそれができないのです。私が自由に出入りできるのを、「娑婆に出たい」と言ってうらやましそうな目でみているのです。また、アルコール依存症を持つある患者は、私のことを自分の娘と混同しているようで、傍を離れようとすると自分がどれほど寂しい思いをしているのか話し出します。
これらの体験をどのように考え理解すればよいのか、果たして自分に何ができるのか、分からなくなりました。そんな時にこの本を手にしたのです。
「嘘はいけない。間違えもいけない。正直に真実を見つめること」
この本を読み、自分の中の常識や考えが気持ちよく崩されていきました。知らず知らずのうちに、自分の中の常識で物事を考え、理解しようとしていたのです。つくられた常識にとらわれず、正直に真実を見つめることの大切さをこの本に教えられました。
素直に物事が考えられなくなって先がみえなくなったとき、私はもう一度この本を読み返したいと思います。精神保健福祉士を目指しているみなさんには、この本を一読することをおすすめしたいです。
(のんちゃん・精神保健福祉士)