受験勉強も大事ですが、資格はなりたい自分に近づくための手段。合格後の「仕事のイメージ」を抱くことも大事です。このコーナーでは、資格の世界を知るのに役立った本や映画などを合格者が紹介します。
“心の重さ”をいま一度取り戻したくなったときに
ハウルの動く城
おすすめの理由
「そうなの、心って重いの。」心を取り戻したハウルに、ソフィーはそう言って抱きつきます。
福祉の現場で援助を生業にしていると、「心の重さ」の大切さを忘れ、つい少しでも「心を軽く」「負担を少なく」と思ってしまうことがあります。
一見元気そうに見えながら、「家族」の触れ合いを求めてやまないマルクル、お調子もので寂しがりやの火の悪魔カルシファー、実はとても臆病でコンプレックスのかたまりのハウル、そして自身の価値を肯定できず、日々の生活に埋没していたソフィー。この映画の中で出会う人々は淋しさを抱え、コンプレックスに悩み、泣いたり笑ったりしながらそれぞれの生き方の方向性を選択していきます。それぞれに共通しているのは「関わり」を欲していること。
問題を解決して葛藤を遠ざけるのでなく、葛藤を持ちながらも生きていく「人間」に関心をもって「添って」いくこと。葛藤を持つ「生」を援助していくこと、それがソーシャルワークなのかもしれないな、と原点回帰させられるのは私だけでしょうか。
生活の中の「家族」「関わり」「心の重さ」の大切さを実感し、考え直すことができる映画だと思います。
(いたさん・精神保健福祉士)
内容
魔女の呪いで90歳の老婆に変えられてしまった少女ソフィーと、美青年の魔法使いハウル。王国の争いに巻き込まれながらも2人が心を通わせていく様子を描いた長編アニメーション。『千と千尋の神隠し』から3年後に発表された宮崎駿監督作品。(C)2004 二馬力・GNDDDT