受験勉強はもちろん大事。でも、机に向かって知識を詰め込むだけが取り組み方ではありません。合格者には、独自のアイデア、秘策もあるようです。本コーナーでは、先輩たちが推奨する「合格に役立ったもの」を自由なスタイルで紹介します。
福祉の感覚を高める「朝10分」
スクラップブック
開始時期:2007年9月
頻度:毎日
ポイント:
・福祉のセンスが養われる
・勉強内容にリアリティが出る
おすすめの理由
ご覧いただいてのとおり、新聞の「スクラップブック」です。作り始めたのは、精神保健福祉士の受験勉強に取り組む以前、社会福祉士の資格を志した頃ですから、4年くらい前です。作り方はいたってシンプルです。朝、会社に出勤してから、仕事が始まる前に新聞にざっと目を通し、福祉に関連する記事を切り抜き、B5サイズのノートに貼り付けます。ジャンルやテーマは選ぶことなく、福祉に関係するもの、なかでも興味関心を惹くものなら何でも対象です。複数の新聞から情報を集めたかったので、仕事仲間に声をかけ、多いときは日刊3紙(日経、毎日、読売)から収集します。これを毎日続けていく、それだけです。
インデックスを付けたりすると、あとから調べられるので本当はよいのでしょうけど、手間のかかることをし出すと、今度は続けるのが難しくなってくるので、無理なく続けられる点を第一に考えました。現在、ノートは15冊目に入っています。
これを始めたのは、「知識をもたなくてはいけない」という気持ちからです。建築業界にいて、福祉的な感覚がまったくなかったため、いろいろ情報を集めて、こういう世界なのだと、一つひとつ自分の中で理解していかなければいけないと思ったんです。自分なりにセンスを高めて、気持ちを高める。そのためにできることだと思いました。
この甲斐はあったと思います。2年後の平成21年に社会福祉士の資格を、その2年後の今年(平成23年)、精神保健福祉士の資格を取得することができました。
4年間続けてきて成果として感じるのは、福祉に対する「感覚」の醸成です。今、日本の中で何が問題になっているのか、何が必要とされているのか。これらが漠然とでも意識された状態にあると、福祉にまつわるニュースに素早く反応できたり、他のニュースとの関連から理解できたり、その情報を自分なりの視点で捉え直したりすることができるようになります。もちろん、そのことと多少なりともかかわりのあるテーマを学ぶ受験勉強そのものへの向き合い方、熱の入り方も違ってきます。
どうも勉強に身が入らない、気持ちが下がり気味だという方は、できるところからとりあえず取り組まれるのでも十分と思います。新鮮な気持ちを得るきっかけになってくれるかもしれません。
実は近々、10年余り携わった建築業を離れ、福祉の世界で働く予定です。長年温めてきた夢でした。来年には、介護保険のデイサービスと精神疾患をもった方が勤められる環境を合体させたような施設を立ち上げる構想があります。社会福祉士と精神保健福祉士の両資格を活かして頑張っていこう。そう決意しています。
プロフィール
平成22年度試験合格
三英建設株式会社(東京都品川区)に勤務。平成12年に建築業ともゆかりのある福祉住環境コーディネーターの2級を取得。この頃、大学時代に社会福祉を専攻する直前まで考え進めたことを思い起こし、知的障害者の外出支援や特別養護老人ホームでの介助など福祉関係のボランティアを開始。その後、福祉系大学の通信課程を履修し、平成21年に社会福祉士の資格を取得。続いて今年、精神保健福祉士の資格を取得。趣味はバスケットボールや野球、スキーなどスポーツ全般。「好きなものには時間を惜しまない。始め出すと深いところまでいく」タイプ。