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第12回 何でも“かわいい”化してみると、魅力あるアイデアが生まれてくる
「実用性」から「感性」へ
発明・アイデアも時代の流れによって変化していくものです。現代のようにモノが豊富に出回ってくる時代になると、そのアイデアも「実用性のあるもの」から、「人間の感性を惹きつけるもの」「ファッション性があるもの」といった、心が豊かになることに主眼をおいたアイデアがより求められてくるようになります。いまやデザインの時代だともいえるでしょう。
世界を魅了したカワイイ大使
海外では、日本古来の伝統文化や芸術が高い評価を受けていますが、実は、わが国のサブカルチャーやアニメもまた爆発的に人気を呼んでいます。そのため、2009年には、外務省がアニメやファッションなどのカルチャーを外交に利用しようと、“カワイイ大使”を各国に派遣したほどです。担当者によると、「外国の人々に、このような文化が日本にあることを知ってもらい、身近に感じてもらえたら」というわけです。足元からペンダントまで、「カワイイ」を身にまとった超カワイイ3人の大使は、世界を魅了したといいます。
みんなをひきつける“かわいい”。これは、シンプル発明・アイデアを創り出していくうえでのキーワードにもなりそうです。
みんなをひきつける“かわいい”。これは、シンプル発明・アイデアを創り出していくうえでのキーワードにもなりそうです。
今あるものを“かわいく”してみよう
といっても、まったく新しい“カワイイ”ものを考案していくことは、普通の人たちにとってはとても困難です。ですから、もっとシンプルに考えて、いまあるモノをいかに“かわいく”するかというところから発想してみましょう。たとえば、形を変える、大きさを変える、色を変えるなどしながら、これまで暗いイメージがあるものならそれがどうしたら明るく変わるかを考えてみるのです。そうするなかで、これまでと違った“カワイイ”イメージが創り出されていけばしめたものです。
かわいらしさを演出して大流行したものといえば、「ミニスカート」があります。だれもが長いスカートを履いていた時代に短いスカートは斬新で、世の男性のハートをがっちりとつかんだこともあって、世界をあっという間に風靡することになりました。考案者の女性服装デザイナー、マリー・クワントさんは、 莫大な考案料とその功績に対してエリザベス女王から名誉ある、大英帝国勲章を受勲しています。
最近では、女性たちの間で「長靴」が人気を集めているといいますが、この背景にも色柄を増やしたり、ファッション性を強調したりして、おしゃれな「レインブーツ」としてイメージアップがはかられていることがあるようです。
かわいらしさを演出して大流行したものといえば、「ミニスカート」があります。だれもが長いスカートを履いていた時代に短いスカートは斬新で、世の男性のハートをがっちりとつかんだこともあって、世界をあっという間に風靡することになりました。考案者の女性服装デザイナー、マリー・クワントさんは、 莫大な考案料とその功績に対してエリザベス女王から名誉ある、大英帝国勲章を受勲しています。
最近では、女性たちの間で「長靴」が人気を集めているといいますが、この背景にも色柄を増やしたり、ファッション性を強調したりして、おしゃれな「レインブーツ」としてイメージアップがはかられていることがあるようです。
「♥」で、ハートをつかもう
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みなさんの家庭を少し眺めてみても、たとえば、浴室の中だけでも、ハート形のタブ、洗面器、石鹸ケース、桶など、何点かは見つけることができるでしよう。品物だけではなく、「I LOVE NEW YORK」のロゴのハートマークのように、大都市の魅力をアピールする大きな力になっていたりもします。シンプル発明をしている人にも、ハート型の「バケツ」「よだれ掛け」などを商品化した人がいます。
実用性とともに美感に語りかけるものを
ちなみに、工業デザイナーの秋岡芳夫氏は、名著『デザインとは何か』の中で、「─こうしたら便利になると思う。このように思うことがデザインのはじまりである。─ものごとを新しく考えなおす─。新しいものを創りだす─」、これがデザインであるといっています。
また、「デザイン」は「意匠」と同じ意味合いで使われていますが、産業財産権の一つである意匠権を規定する意匠法では、意匠について「物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるもの」と定義しています。
デザインは、形状や色彩、模様などによって、心和ませる大きな力を持っています。例えば福祉用具などにおいても、実用性とともに、シニアを心豊かにしていくデザインも求められるところだといえます。
また、「デザイン」は「意匠」と同じ意味合いで使われていますが、産業財産権の一つである意匠権を規定する意匠法では、意匠について「物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるもの」と定義しています。
デザインは、形状や色彩、模様などによって、心和ませる大きな力を持っています。例えば福祉用具などにおいても、実用性とともに、シニアを心豊かにしていくデザインも求められるところだといえます。