アミ 小さな宇宙人
夏のある日、10歳の少年ペドロは、誰もいない海岸でたった一人、UFOの不時着に遭遇しました。中から出てきたのは、自分よりも幼く、美しい少年(に見える)アミ。
二人は、夕暮れ時の海岸に腰掛けて、夜の村を歩きながら、ときにはアミの宇宙船の中で、地球のさまざまなことについて語り合います。「いつ地球を侵略するの?」と尋ねるペドロに、「どうしてわれわれが地球を侵略するって考えるの?」と答えるアミ。「そんなことを考えるのは未開の星の地球人だけだ」と。
未開の星―。それは愛の度合いの低い星。科学と愛のバランスが科学の方に異常に傾きすぎた星。「われわれにとって、本当のインテリや賢者とは、頭の脳が、胸(心)の脳に奉仕している人であって、地球のようにその反対ではない」と。「ほんとうの知性とか善意とか美しさは、みな結合していて、これはみな愛へむかって進歩したものなんだ」と。国民総幸福量が高いブータンの国王の姿をテレビで観たときに感じた衝撃、国王からあふれ出る気高さと、涙が出るほどの安堵感を思い出しました。
子どもの頃に読んだサン=テグジュペリの『星の王子さま』で、「大切なものは目には見えないんだよ」と王子さまが言っていました。大人になってから、目に見えるものにどれだけ振り回され、不安をかきたてられてきたことでしょう。人生の折り返し地点で、この本に出会えたことに感謝したいと思います。
(by まめたま)