おおきな木
1964年にアメリカで出版、1976年には日本でも出版され読み継がれてきた古い絵本が、このほど村上春樹氏の訳で新たに出版されました。
この本のことはいまも昔もまったく知らなかったのですが、本屋で見かけた表紙の絵とその題名に懐かしさを覚えて思わず手にとりました。
少年と、少年のことが大好きだった「おおきな木」の物語。幼い頃は少年もおおきな木のことが大好きでした。やがて少年は成長し、木よりも好きなものができて木から離れていくのですが…。
読み手の年齢や立場によって、二人の関係性や、「少年」と「おおきな木」のそれぞれに何を思うかが変わるこの絵本。子どもが読んだら、悲しい話で好きになれないかもしれません。若い頃に読んだら、やるせなくて嫌いになるかもしれません。ただし、ギブアンドテイクな世の中に慣れすぎた大人は、きっと胸に染みます。
相手から奪うだけの「少年」として一生を過ごす人もいるけれど、いつか穏やかな気持ちで「おおきな木」になることが、人として究極の幸せなのかもしれないなぁ。
時を経て、何度も読み返したくなる1冊です。
(by まめたま)