対人援助を行う上で、人とうまくかかわる能力がなければ、せっかくの専門知識も役立てることはできません。対人コミュニケーションの基礎を理解し、より質の高い専門的支援を実践していきましょう。
最終回 自己を開示する
誤解の防止と相互理解
利用者や同僚である他の援助者とは、基本的に仕事上での付き合いです。そのために、私たちは利用者や他の援助者と、ちょうど水面に浮かぶ氷山の一角のように、互いに部分的にしか接していないのです。そして、互いに部分的にしか接していないと、その部分から全体を推測してしまい、たびたび誤解が発生することになります。たとえば、本当は優しい相手を、その口調から冷たい人だと思ったり、本当は理性的な相手を、その表情から感情的だと思ったりするのです。
誤解を防ぎ、よりよい関係を築くためには、互いの自己開示が欠かせません。つまり、仕事上の自分や外面的な自分ばかりではなく、私的な自分や内面的な自分も、互いにオープンにするのです。そうすれば、互いに相手の全体像を理解し合うようになりますし、さらに、互いに親しみを抱くことにもつながるのです。
仕事をそっちのけで私的なことや内面的なことばかり話していると、自己開示はムダ話となります。しかし、仕事の合間のちょっとした自己開示は、誤解の防止と相互理解につながるのであり、決してムダ話ではないのです。
誤解を防ぎ、よりよい関係を築くためには、互いの自己開示が欠かせません。つまり、仕事上の自分や外面的な自分ばかりではなく、私的な自分や内面的な自分も、互いにオープンにするのです。そうすれば、互いに相手の全体像を理解し合うようになりますし、さらに、互いに親しみを抱くことにもつながるのです。
仕事をそっちのけで私的なことや内面的なことばかり話していると、自己開示はムダ話となります。しかし、仕事の合間のちょっとした自己開示は、誤解の防止と相互理解につながるのであり、決してムダ話ではないのです。
自分から心を開く
特に利用者との関係では、私的なことや内面的なことまで尋ねる場面も少なくありません。そうすると、援助者が心を閉ざしたままではうまくいかず、まずは援助者の側から心をオープンにすることが必要になります。援助者の側から適切に自己開示すれば、利用者も援助者を身近に感じることができ、私的なことや内面的なことを話しやすくなるのです。
利用者に対する自己開示の発話例は、場面や利用者によってさまざまですが、一例をあげるならば下のようになります。これらの自己開示はあくまでも援助の一環であり、利用者に援助者を身近に感じてもらい、利用者による自己開示を促すためであることを忘れてはならないでしょう。
利用者に対する自己開示の発話例は、場面や利用者によってさまざまですが、一例をあげるならば下のようになります。これらの自己開示はあくまでも援助の一環であり、利用者に援助者を身近に感じてもらい、利用者による自己開示を促すためであることを忘れてはならないでしょう。
自己開示の発話例
●日課を話題にして…⇒「今朝は寒かったですね。私も布団から出るのに苦労しましたよ」
●季節を話題にして…⇒「そろそろ梅雨ですね。梅雨は何となく静かで私は好きなんですよ」
●出身地を話題にして…⇒「お生まれは沖縄ですか。私はまだ沖縄に行ったことがなくて、いつか行ってみたいのですよ」
●高齢の利用者に対して…⇒「私にも年老いた親がいて、何かと心配しているのですよ」
●子どもがいる利用者に対して…⇒「私にも子どもが3人いて、ずいぶんと苦労していますよ」
●季節を話題にして…⇒「そろそろ梅雨ですね。梅雨は何となく静かで私は好きなんですよ」
●出身地を話題にして…⇒「お生まれは沖縄ですか。私はまだ沖縄に行ったことがなくて、いつか行ってみたいのですよ」
●高齢の利用者に対して…⇒「私にも年老いた親がいて、何かと心配しているのですよ」
●子どもがいる利用者に対して…⇒「私にも子どもが3人いて、ずいぶんと苦労していますよ」
参考文献
諏訪茂樹著『対人援助とコミュニケーション 〜主体的に学び、感性を磨く』中央法規出版、2001年