対人援助を行う上で、人とうまくかかわる能力がなければ、せっかくの専門知識も役立てることはできません。対人コミュニケーションの基礎を理解し、より質の高い専門的支援を実践していきましょう。
第1回 コミュニケーションの大切さ
コミュニケーションとは何か?
私たちは英語のコミュニケーション(communication)という言葉を、日本語に訳すことなく、そのまま日常会話のなかで使っています。ところが、その意味を調べてみると意外なことがわかるのです。私たちはコミュニケーションという言葉を、伝達とか通信という意味で使うことが多いでしょう。しかし、そればかりでなく、熱の伝導や病気の感染までもがコミュニケーションなのです。
コミュニケーションの元の意味は、ラテン語のコミュニカーレ(communicare 共有する)だと言われています。つまり、それが熱であれ病気であれ、とにかく物体や生物の間で何かを伝えて共有することがコミュニケーションなのです。
また、社会科学の領域では、コミュニケーションという言葉が、対人行動の全般を意味する言葉として、しばしば使われています。
コミュニケーションの元の意味は、ラテン語のコミュニカーレ(communicare 共有する)だと言われています。つまり、それが熱であれ病気であれ、とにかく物体や生物の間で何かを伝えて共有することがコミュニケーションなのです。
また、社会科学の領域では、コミュニケーションという言葉が、対人行動の全般を意味する言葉として、しばしば使われています。
「共有」することは難しい
対人援助において重要なのは、言うまでもなく人間対人間の対人コミュニケーション(interpersonal communication)です。
しかし、利用者と援助者の間でも、援助者同士の間でも、言ったはずのことが伝わっていなかったり、言ってもいないことが伝わっていたりと、メッセージが共有できずにたびたび問題が起こります。送り手と受け手との間でメッセージがどの程度共有されるかは、対人援助を円滑に進めるうえで重要な問題です。
専門職として、利用者に何が伝わり何が伝わっていないかについて、私たちは常に配慮する必要があるのです。
しかし、利用者と援助者の間でも、援助者同士の間でも、言ったはずのことが伝わっていなかったり、言ってもいないことが伝わっていたりと、メッセージが共有できずにたびたび問題が起こります。送り手と受け手との間でメッセージがどの程度共有されるかは、対人援助を円滑に進めるうえで重要な問題です。
専門職として、利用者に何が伝わり何が伝わっていないかについて、私たちは常に配慮する必要があるのです。
コミュニケーション・トレーニングにトライ!
それでは、次の伝達トレーニングに取り組んで、メッセージをどこまで共有できるかチャレンジしてみて下さい。
正確にメッセージを伝達するのは、意外にたいへんであることがわかるのではないでしょうか。
伝達トレーニング
用意するもの
・原図1、2のコピー
・画用紙などの紙
・ペン
正確にメッセージを伝達するのは、意外にたいへんであることがわかるのではないでしょうか。
伝達トレーニング
用意するもの
・原図1、2のコピー
・画用紙などの紙
・ペン
【第1ラウンド】
1.2人以上で1組となり、1人の送り手を決めて下さい。
他の人は受け手となります。
2.送り手は原図1を受け手に見られないように注意しながら、
言葉だけで原図1がどのような図かを受け手に伝えます。
3.受け手は送り手の説明を聞きながら、原図1を想像して
聞き取り図1として紙に描きます(10分で終了)。
4.送り手と受け手で原図1と聞き取り図1を見比べ、
どのぐらい似ているかを0〜10点で評価します。
5.メッセージを正確に共有する条件を、送り手と受け手とで
自由に話し合ってください。
他の人は受け手となります。
2.送り手は原図1を受け手に見られないように注意しながら、
言葉だけで原図1がどのような図かを受け手に伝えます。
3.受け手は送り手の説明を聞きながら、原図1を想像して
聞き取り図1として紙に描きます(10分で終了)。
4.送り手と受け手で原図1と聞き取り図1を見比べ、
どのぐらい似ているかを0〜10点で評価します。
5.メッセージを正確に共有する条件を、送り手と受け手とで
自由に話し合ってください。
【第2ラウンド】
1.第1ラウンドと同じ人が送り手となり、先ほどの話し合いを
参考に原図2を言葉だけで受け手に説明します。
2.受け手は送り手の説明を聞きながら、原図2を想像して
聞き取り図2として紙に描きます(10分で終了)。
3.送り手と受け手で原図2と聞き取り図2を見比べ、
どのぐらい似ているかを0〜10点で評価します。
4.聞き取り図1と聞き取り図2の得点を比較して、
第1ラウンドと第2ラウンドの違いや気付いたことなどに
ついて話し合ってください。
参考に原図2を言葉だけで受け手に説明します。
2.受け手は送り手の説明を聞きながら、原図2を想像して
聞き取り図2として紙に描きます(10分で終了)。
3.送り手と受け手で原図2と聞き取り図2を見比べ、
どのぐらい似ているかを0〜10点で評価します。
4.聞き取り図1と聞き取り図2の得点を比較して、
第1ラウンドと第2ラウンドの違いや気付いたことなどに
ついて話し合ってください。
次回からは、利用者とのよりよいコミュニケーションのための具体的ポイントについて考えていきたいと思います。