対人援助を行う上で、人とうまくかかわる能力がなければ、せっかくの専門知識も役立てることはできません。対人コミュニケーションの基礎を理解し、より質の高い専門的支援を実践していきましょう。
第2回 言葉の効果
コミュニケーションによる効果〜メッセージの影響
前回は、対人コミュニケーションにおいてメッセージを共有することの大切さと、その難しさについて理解していただきました。
対人コミュニケーションではまず何よりも、メッセージが共有されなければなりません。ところが、単にメッセージを共有するだけで、コミュニケーションは完結するわけではないのです。メッセージのやりとりを通して、その当事者の認知、感情、思考、行動などに何らかの影響を及ぼすのです。
メッセージが当事者に及ぼす影響のことを、コミュニケーション効果(communication effect)といいます。コミュニケーションにとって大切なのは、メッセージを正確に共有すること以上に、それによって生じるコミュニケーション効果です。
援助者がメッセージの送り手となり、利用者とコミュニケーションをはかる際には、その効果を十分に理解しておくことが重要となります。コミュニケーション効果に無頓着なままでは、効果的な援助を望めないどころか、援助そのものが成立しないことさえありうるのです。
対人コミュニケーションではまず何よりも、メッセージが共有されなければなりません。ところが、単にメッセージを共有するだけで、コミュニケーションは完結するわけではないのです。メッセージのやりとりを通して、その当事者の認知、感情、思考、行動などに何らかの影響を及ぼすのです。
メッセージが当事者に及ぼす影響のことを、コミュニケーション効果(communication effect)といいます。コミュニケーションにとって大切なのは、メッセージを正確に共有すること以上に、それによって生じるコミュニケーション効果です。
援助者がメッセージの送り手となり、利用者とコミュニケーションをはかる際には、その効果を十分に理解しておくことが重要となります。コミュニケーション効果に無頓着なままでは、効果的な援助を望めないどころか、援助そのものが成立しないことさえありうるのです。
利用者に喜ばれる言葉・嫌われる言葉
対人サービスの分野では、利用者満足が重要なキーワードとなっています。利用者満足とは、サービスの利用を通して利用者が抱く満足感のことであり、サービスの利用や再利用を大きく左右する要因となるのです。
それでは、利用者に満足してもらうためにはどのような言葉をかければよいのでしょうか。
かつて私は、介護福祉士養成校の学生とともに特別養護老人ホームで面接調査を行い、援助者によるさまざまな声かけの言葉を利用者がどのように思っているのか調査をしました。どのような言葉が嫌われてどのような言葉が喜ばれるか、次のトレーニングで考えてみましょう。
それでは、利用者に満足してもらうためにはどのような言葉をかければよいのでしょうか。
かつて私は、介護福祉士養成校の学生とともに特別養護老人ホームで面接調査を行い、援助者によるさまざまな声かけの言葉を利用者がどのように思っているのか調査をしました。どのような言葉が嫌われてどのような言葉が喜ばれるか、次のトレーニングで考えてみましょう。
トレーニング
「次の言葉でどのぐらいの利用者が喜ぶでしょうか?a、b、c、dのどれかを選んでください」
a:ほとんどの利用者が喜ぶ(75%以上)
b:半数を超える利用者が喜ぶ(50〜74%)
c:喜ぶ利用者は半数を割る(25〜49%)
d:喜ぶ利用者はわずか(24%以下)
起床時の声かけ
1.○○さん、よく眠れましたか?
2.時間ですよ!
3.早くから起きているわね! もっと寝てればいいのに!
着替え介助時の声かけ
4.早く脱いでちょうだい!
5.自分でできるところまではがんばってね。
6.とても素敵ですよ。
食事介助時の声かけ
7.ゆっくり召し上がってください。
8.早く食べてよ!
9.全部食べないと栄養が摂れないですよ 。
排せつ介助時の声かけ
10.たくさん出ましたよ。よかったわね。
11.くさいわね! におうわ!
12.おなかの具合はどうですか?
入浴介助時の声かけ
13.もう少し待っててね。すぐにあなたの番だから。
14.あぁ重いわね! どっこいしょ!
15.湯加減はいかがですか? 熱いですか? ぬるいですか?
廊下などでの接触時
16.何かご用はないですか?
17.がんばって下さいね。
18.のんきでいいわね!
体位変換時の声かけ
19.枕(布団など)はこれでいいですか?
20.(無言で)
21.今度はこっち向くのよ!
消灯時の声かけ
22.楽しい夢をみてください。
23.用事があったらナースコールを鳴らしてね。
24.勝手に起きて動き回らず、おとなしくしててよ!
a:ほとんどの利用者が喜ぶ(75%以上)
b:半数を超える利用者が喜ぶ(50〜74%)
c:喜ぶ利用者は半数を割る(25〜49%)
d:喜ぶ利用者はわずか(24%以下)
起床時の声かけ
1.○○さん、よく眠れましたか?
2.時間ですよ!
3.早くから起きているわね! もっと寝てればいいのに!
着替え介助時の声かけ
4.早く脱いでちょうだい!
5.自分でできるところまではがんばってね。
6.とても素敵ですよ。
食事介助時の声かけ
7.ゆっくり召し上がってください。
8.早く食べてよ!
9.全部食べないと栄養が摂れないですよ 。
排せつ介助時の声かけ
10.たくさん出ましたよ。よかったわね。
11.くさいわね! におうわ!
12.おなかの具合はどうですか?
入浴介助時の声かけ
13.もう少し待っててね。すぐにあなたの番だから。
14.あぁ重いわね! どっこいしょ!
15.湯加減はいかがですか? 熱いですか? ぬるいですか?
廊下などでの接触時
16.何かご用はないですか?
17.がんばって下さいね。
18.のんきでいいわね!
体位変換時の声かけ
19.枕(布団など)はこれでいいですか?
20.(無言で)
21.今度はこっち向くのよ!
消灯時の声かけ
22.楽しい夢をみてください。
23.用事があったらナースコールを鳴らしてね。
24.勝手に起きて動き回らず、おとなしくしててよ!
答え
1.a(96.6%)
2.b(63.3%)
3.c(44.3%)
4.d(17.7%)
5.b(73.3%)
6.a(86.6%)
7.a(95.4%)
8.d(13.2%)
9.b(68.8%)
10.b(69.9%)
11.d(7.7%)
12.a(77.7%)
13.b(74.3%)
14.d(16.6%)
15.a(94.3%)
16.a(89.8%)
17.a(97.7%)
18.c(27.7%)
19.a(75.4%)
20.d(8.8%)
21.d(19.9%)
22.a(96.6%)
23.a(91.0%)
24.d(16.5%)
2.b(63.3%)
3.c(44.3%)
4.d(17.7%)
5.b(73.3%)
6.a(86.6%)
7.a(95.4%)
8.d(13.2%)
9.b(68.8%)
10.b(69.9%)
11.d(7.7%)
12.a(77.7%)
13.b(74.3%)
14.d(16.6%)
15.a(94.3%)
16.a(89.8%)
17.a(97.7%)
18.c(27.7%)
19.a(75.4%)
20.d(8.8%)
21.d(19.9%)
22.a(96.6%)
23.a(91.0%)
24.d(16.5%)
参考文献
諏訪茂樹著『対人援助とコミュニケーション 〜主体的に学び、感性を磨く』中央法規出版、2001年