対人援助を行う上で、人とうまくかかわる能力がなければ、せっかくの専門知識も役立てることはできません。対人コミュニケーションの基礎を理解し、より質の高い専門的支援を実践していきましょう。
第11回 雑談の効果
雑談はムダ話であり、必要ないと考えることもできます。しかし、会話でも手紙でも本題だけを取りあげるのではなく、古くから最初は時候のあいさつをして、さらに本題の前後に相手に対する気づかいを示したり、自分の近況を伝えたりするのは、やはりそれなりに理由があるのでしょう。
雑談はムダではない
私のゼミに所属する学生が行ったアンケート調査の結果からも、雑談の効果を読み取ることができました。調査対象は学生だったのですが、「あなたが入院したとして」という前提のもとで、どのような看護師にもっとも好感がもてるかを尋ねたところ、「病気・治療の話の合間に雑談をする看護師」が54%ともっとも多く、それに対して「病気・治療の話しかしない看護師」は0%でした。
確かに、本題をわきにおいて雑談ばかりしていれば、それはムダ話でしょう。しかし、本題の合間にときどき、季節のことや世間のこと、個人的なことを話題にする雑談は、その効果を期待して意図的に行えば、決してムダにはならないのです。
確かに、本題をわきにおいて雑談ばかりしていれば、それはムダ話でしょう。しかし、本題の合間にときどき、季節のことや世間のこと、個人的なことを話題にする雑談は、その効果を期待して意図的に行えば、決してムダにはならないのです。
参考文献
諏訪茂樹著『対人援助のためのコーチング 〜利用者の自己決定とやる気をサポート』中央法規出版、2007年