対人援助を行う上で、人とうまくかかわる能力がなければ、せっかくの専門知識も役立てることはできません。対人コミュニケーションの基礎を理解し、より質の高い専門的支援を実践していきましょう。
第8回 沈黙も大切
相手の言葉を黙って待つ
臨床心理学に基づくカウンセリングでは、利用者の問題を解決するために、意識的に抑制された気持ちや無意識のうちに抑圧された気持ちを利用者に言葉で表現してもらい、それと向かい合ってもらおうとすることがあります。そうすると心理的な抵抗を伴うことから、利用者が何十分間も沈黙することもありますが、それは問題解決にとって欠かせない意味のある沈黙なのです。
日常会話の中では、何十分間も沈黙することはないでしょう。しかし、話している最中に言葉が見つからなくなることは、誰にでもあります。そして、そのような時に急かされると、言いたいことを十分に表現できなかったり、言うこと自体を諦めてしまったりすることになるのです。
沈黙の後の明確化
ただし、いつまでも言葉が出てこないと、話が先に進まず、利用者も苦痛になります。したがって、しばらく待ったうえでタイミングを見計らい「〜ということですか?」などと、援助者が利用者に代わって言葉を明確にすることも必要になります。
この明確化には、認知レベルのものと感情レベルのものがあります。
認知レベルの明確化とは、相手が思い出せない人名やことわざなど、いわゆる「ど忘れ」した言葉を代わって表現することです。
これに対して、言葉でうまく表現できない気持ちを相手に代わって表現することは、感情レベルの明確化となります。単なるボキャブラリー不足から、気持ちをうまく表現できないこともあるでしょう。また、何らかの理由で、表現をためらっている気持ちもあるでしょう。いずれにしても、それらを補うことも大切です。
利用者の言いたいことを理解するためには、利用者の言葉をよく聴きながら、感受性や想像力を働かさなければならず、対人援助のプロとして、そのための訓練を行ったりスキルを磨くことが必要といえます。
この明確化には、認知レベルのものと感情レベルのものがあります。
認知レベルの明確化とは、相手が思い出せない人名やことわざなど、いわゆる「ど忘れ」した言葉を代わって表現することです。
これに対して、言葉でうまく表現できない気持ちを相手に代わって表現することは、感情レベルの明確化となります。単なるボキャブラリー不足から、気持ちをうまく表現できないこともあるでしょう。また、何らかの理由で、表現をためらっている気持ちもあるでしょう。いずれにしても、それらを補うことも大切です。
利用者の言いたいことを理解するためには、利用者の言葉をよく聴きながら、感受性や想像力を働かさなければならず、対人援助のプロとして、そのための訓練を行ったりスキルを磨くことが必要といえます。
(※『ビデオ・コミュニケーションスキル』冊子p20を要約)
参考文献
諏訪茂樹著『対人援助とコミュニケーション 〜主体的に学び、感性を磨く』中央法規出版、2001年