対人援助を行う上で、人とうまくかかわる能力がなければ、せっかくの専門知識も役立てることはできません。対人コミュニケーションの基礎を理解し、より質の高い専門的支援を実践していきましょう。
第3回 「どう話すか」に気を配る〜その1〜
準言語的コミュニケーション
言葉を発する際の強弱や長短、抑揚などの語調は、言語に伴うことから「準言語」と呼ばれており、準言語でメッセージをやり取りすることを「準言語的コミュニケーション」といいます。
コミュニケーションにおいて、何を話すかはもちろん重要ですが、言葉以外の要素から発せられるメッセージが、実はとても大きな影響を及ぼすことが多いのです。
コミュニケーションにおいて、何を話すかはもちろん重要ですが、言葉以外の要素から発せられるメッセージが、実はとても大きな影響を及ぼすことが多いのです。
音の強弱、長短、抑揚を意識する
同じあいさつの言葉を発しても、言い方が変わると、それぞれに違うメッセージが伝わります。
例えば、単調に「こんにちは」と言うと、機械的・事務的に聞こえます。また、語尾を強めると威勢はよくなりますが、乱暴になり、まるで怒っているように聞こえてしまうのです。
語尾を伸ばして言うと自然なあいさつとなり、好意が伝わります。優しさ、親しみ、愛情、感謝、喜びなどのプラスの感情は、語尾の音を伸ばしたり上げたりすることにより、効果的に表現することができるのです。
例えば、単調に「こんにちは」と言うと、機械的・事務的に聞こえます。また、語尾を強めると威勢はよくなりますが、乱暴になり、まるで怒っているように聞こえてしまうのです。
語尾を伸ばして言うと自然なあいさつとなり、好意が伝わります。優しさ、親しみ、愛情、感謝、喜びなどのプラスの感情は、語尾の音を伸ばしたり上げたりすることにより、効果的に表現することができるのです。
「あの人は冷たい」とか「いつもツンケンしている」などと、利用者から敬遠される援助者がいます。そのような人は、本人にそのつもりがなくても、無意識のうちに単調に発話したり、あるいは語頭や語尾を強めて発話したりして、利用者を不快にさせていることも少なくないのです。
ゆっくりと落ち着いて話す
発話のスピードも、言葉に伴う準言語として相手にメッセージを伝えます。
試しに、「おはようございます。よく眠れましたか」という言葉を、速度を変えて発話してみましょう。
まるで早口言葉のように、「おはようございます。よく眠れましたか」と2秒ほどで言ってみると、いかにも性急でせっかちな態度となります。
一方、同じ言葉を4秒ほどかけてゆっくりと発話してみましょう。言葉の一つひとつがていねいになり、落ち着きのある態度を伝えることができるのです。
試しに、「おはようございます。よく眠れましたか」という言葉を、速度を変えて発話してみましょう。
まるで早口言葉のように、「おはようございます。よく眠れましたか」と2秒ほどで言ってみると、いかにも性急でせっかちな態度となります。
一方、同じ言葉を4秒ほどかけてゆっくりと発話してみましょう。言葉の一つひとつがていねいになり、落ち着きのある態度を伝えることができるのです。
利用者のなかには、病気や障害のために思考や動作が遅くなり、てきぱきと応えられない人が少なくありません。そのような利用者に対して、早口で性急に接しても、うまく援助できないことはいうまでもありません。
時間に余裕がないからといって、すべての業務を一様に性急な態度でこなすのは、いかがなものでしょうか。援助者個人や援助者同士での業務は能率的にこなす一方で、利用者と接する際に余裕のある態度で臨むというタイムマネジメントが、忙しければ忙しいほど大切になるでしょう。
時間に余裕がないからといって、すべての業務を一様に性急な態度でこなすのは、いかがなものでしょうか。援助者個人や援助者同士での業務は能率的にこなす一方で、利用者と接する際に余裕のある態度で臨むというタイムマネジメントが、忙しければ忙しいほど大切になるでしょう。
参考文献
諏訪茂樹著『対人援助とコミュニケーション 〜主体的に学び、感性を磨く』中央法規出版、2001年