対人援助を行う上で、人とうまくかかわる能力がなければ、せっかくの専門知識も役立てることはできません。対人コミュニケーションの基礎を理解し、より質の高い専門的支援を実践していきましょう。
第9回 気持ちを理解し、表現する
共感の効果
ただし、援助者が共感しているつもりでも、そのことが利用者にきちんと伝わらなければ、共感の効果は望めません。
怒っているのか、悲しんでいるのか。どのぐらい怒っているのか…
共感していることを上手く伝えるためには、第一段階として、利用者が抱いている感情を正確に把握することが必要となります。利用者が喜んでいるときに、それを悲しんでいると取り違えてしまえば、共感とはほど遠くなります。
また、ほんの少し腹をたてているだけの利用者に、「はらわたが煮えくりかえっていらっしゃるようですね」と返したところで、利用者は気持ちをわかってもらえたとは思わないでしょう。
効果的な共感のためには、感情の種類や、その程度を正確に把握することが必要です。
また、ほんの少し腹をたてているだけの利用者に、「はらわたが煮えくりかえっていらっしゃるようですね」と返したところで、利用者は気持ちをわかってもらえたとは思わないでしょう。
効果的な共感のためには、感情の種類や、その程度を正確に把握することが必要です。
共感していることを伝える
次の第二段階では、共感した感情をできるだけ自然な言葉に置き換え、気持ちを込めて相手に返します。
例えば、「大きな自己嫌悪を抱かれたのですね」と表現したのではリアリティに欠けます。「ご自身に嫌気がさして、とても落ち込んでおられるのですね」と、自然な言葉にしたほうが共感していることがうまく伝わるでしょう。その際は、語調や表情にも注意しなければなりません。特に、悲しい思いをしている利用者に対しては笑顔は慎むなど、配慮が必要となるでしょう。
例えば、「大きな自己嫌悪を抱かれたのですね」と表現したのではリアリティに欠けます。「ご自身に嫌気がさして、とても落ち込んでおられるのですね」と、自然な言葉にしたほうが共感していることがうまく伝わるでしょう。その際は、語調や表情にも注意しなければなりません。特に、悲しい思いをしている利用者に対しては笑顔は慎むなど、配慮が必要となるでしょう。
(※『ビデオ・コミュニケーションスキル』冊子p22-23を要約)
参考文献
諏訪茂樹著『対人援助とコミュニケーション 〜主体的に学び、感性を磨く』中央法規出版、2001年