対人援助を行う上で、人とうまくかかわる能力がなければ、せっかくの専門知識も役立てることはできません。対人コミュニケーションの基礎を理解し、より質の高い専門的支援を実践していきましょう。
第4回 「どう話すか」に気を配る〜その2〜
非言語的コミュニケーション
言葉や準言語(語調など)の他にも、メッセージを表現するものは数多くあります。例えば、表情、目線、視線、動作、姿勢、装いなどです。これらは「非言語」と呼ばれており、非言語でメッセージをやり取りすることを、非言語的コミュニケーションといいます。
アメリカの心理学者・マレービアンの実験によると、人が他人から受け取る情報(感情や態度など)は、「顔の表情」が55%、「声の質(高低)・大きさ・テンポ」が38%で、「話す言葉の内容」はわずか7%、という結果がでているのです。あくまでもこれは実験室のなかでの結果ですが、いかに非言語と準言語がコミュニケーションにおいて重要かが理解できると思います。
アメリカの心理学者・マレービアンの実験によると、人が他人から受け取る情報(感情や態度など)は、「顔の表情」が55%、「声の質(高低)・大きさ・テンポ」が38%で、「話す言葉の内容」はわずか7%、という結果がでているのです。あくまでもこれは実験室のなかでの結果ですが、いかに非言語と準言語がコミュニケーションにおいて重要かが理解できると思います。
(1)表情
いつも不機嫌そうに顔をしかめている援助者は、否定的なメッセージを伝えてしまい、利用者から嫌われるでしょう。かといって、能面のように無表情のままでも、援助者の人間味が伝わらず、利用者に不気味がられます。対人援助で基調となる表情はやはり笑顔だといえます。いつもニコニコと笑顔を絶やさない援助者は利用者から喜ばれるのです。
もちろん、笑顔を慎まなければならない場面も、福祉の現場では少なくありません。ひどく落ち込んでいる利用者にまで笑顔で接すれば、冷淡に受け取られるでしょう。また、援助者に対して怒っている利用者に、笑顔で応対すると、怒りを増幅させる結果になりかねないのです。
もちろん、笑顔を慎まなければならない場面も、福祉の現場では少なくありません。ひどく落ち込んでいる利用者にまで笑顔で接すれば、冷淡に受け取られるでしょう。また、援助者に対して怒っている利用者に、笑顔で応対すると、怒りを増幅させる結果になりかねないのです。
(2)目線
目線とは、目の高さのことであり、日本人は目線に対して特に敏感だといえます。日本語には「目上」「目下」という表現があるように、相手との上下関係を目線が表すからです。
車いす上やベッド上の利用者と接する際には、立ったままでいると高いところから見下ろすことになり、失礼になります。利用者に対して低い目線になって接する必要もないでしょうが、ひざを曲げてしゃがんだりしながら、せめて同じ高さの目線になるように努力したいところです。
車いす上やベッド上の利用者と接する際には、立ったままでいると高いところから見下ろすことになり、失礼になります。利用者に対して低い目線になって接する必要もないでしょうが、ひざを曲げてしゃがんだりしながら、せめて同じ高さの目線になるように努力したいところです。
(3)視線
日本人は互いに見つめ合いながら会話をすることが少なく、目をそらす文化の典型だといわれています。利用者と接する際にも、無理に目を合わせたままでは利用者を緊張させてしまうでしょう。しかし、だからといって一度も目を合わせずに、うつむいたままでいるのも失礼になります。
つまり、目を合わせたままでもなく、そらしたままでもなく、合わせたりそらしたりと適切なアイコンタクトを取るのが、最も自然な視線なのであり、そうすることで互いにリラックスして、コミュニケーションをはかることができるのです。
つまり、目を合わせたままでもなく、そらしたままでもなく、合わせたりそらしたりと適切なアイコンタクトを取るのが、最も自然な視線なのであり、そうすることで互いにリラックスして、コミュニケーションをはかることができるのです。
(4)姿勢
利用者の前で避けたい姿勢の1つに、防衛姿勢があります。腕組みがその一例です。ひとりで考えごとをするときにも私たちは腕を組みますが、それだけではなく、何かに恐れや不安を感じて自分を守ろうとするときにも、たびたび現れる反応なのです。
また、ポケットに手を入れたままで利用者と接するのも、防衛姿勢の一例といえます。スポーツの大会などで宣誓をするときには手のひらを相手に見せますが、それは手のひらから心が伝わると考えるからです。逆に、恥ずかしいとか後ろめたいとか、何かの理由で心のなかをみられたくないときに、手のひらを隠そうという防衛姿勢が現れてしまうのです。
援助者が防衛姿勢でいると、利用者との間に心の壁ができてしまいます。まずは援助者の側から防衛を解き、心を開かなければ、利用者の心を開くことはできないのです。
また、ポケットに手を入れたままで利用者と接するのも、防衛姿勢の一例といえます。スポーツの大会などで宣誓をするときには手のひらを相手に見せますが、それは手のひらから心が伝わると考えるからです。逆に、恥ずかしいとか後ろめたいとか、何かの理由で心のなかをみられたくないときに、手のひらを隠そうという防衛姿勢が現れてしまうのです。
援助者が防衛姿勢でいると、利用者との間に心の壁ができてしまいます。まずは援助者の側から防衛を解き、心を開かなければ、利用者の心を開くことはできないのです。