受験勉強も大事ですが、資格はなりたい自分に近づくための手段。合格後の「仕事のイメージ」を抱くことも大事です。このコーナーでは、資格の世界を知るのに役立った本や映画などを合格者が紹介します。
支援すること、それは寄り添い伴走すること――
ぼくが前を向いて歩く理由(わけ)
―事件、ピック病を超えて、いまを生きる―
―事件、ピック病を超えて、いまを生きる―
著者:中村成信
発行:中央法規
ISBN:978-4-8058-3587-6
価格:¥1,680(税込)
発行:中央法規
ISBN:978-4-8058-3587-6
価格:¥1,680(税込)
おすすめの理由
介護職からケアマネとなり、居宅介護支援事業所で仕事をしています。認知症の利用者さんとかかわる機会も増え、最近は、慣れといえば聞こえはいいですが、おざなりに対応してしまっている自分がいました。利用者一人ひとりを真摯に見るのではなく、“認知症の方イコールこんな対応をすればOK”という感じだったように思います。
そんなとき、職場近くで活動する認知症の家族会に顔を出している同僚から、「認知症の方の気持ちや、家族の苦悩・葛藤が感じられ、多くの気づきがあるはず」と薦められたのがこの本でした。
著者の中村成信さんは、認知症という病気だけでなく、公職にある際に万引きをしてしまい(後にピック病と判明し、万引きの原因は病気の症状によるといわれています)、職場を懲戒免職となり、新聞・テレビで実名報道もされました。本書は、事件からの再生の軌跡が、成信さんご本人や奥様の語り、そして俯瞰した文章によって紡がれています。
成信さんの苦しみや戸惑い、支える奥様の懊悩や逡巡、周囲の支援・協力等々…。認知症に関する医療知識も織り交ぜられていて、凝縮された当事者の心の機微とも相俟って、心に響きました。
利用者と向き合うこと、それは、何でもして差し上げることではなく、その方の能力を見極めて、そばに寄り添い、押しつけや自己満足にならないよう配慮し伴走することではないか、と今さらながら感じました。
ケアマネは、コーディネーター的立場でかかわりますが、まずは利用者にしっかりと向き合い、ご家族の状況も含めて、最善の支援を探っていくという、当たり前ともいえる姿勢に改めて気づかせてくれた一冊です。
(トリック・オア・トリートさん)
内容
「サザンビーチちがさき」の命名者であり、2000年夏のサザンオールスターズ茅ヶ崎ライブ開催に奔走し活躍した一人の行政マンを襲った突然の悲劇。万引きによる現行犯逮捕、それは若年認知症(ピック病)の症状によるものだった。混乱、苦悩、偏見……。そのなかで家族はどのように再生を果たしていったのか。感動の手記。<日本図書館協会選定図書>
ピック病(前頭側頭型認知症)とは……
前頭葉や側頭葉が限局的に萎縮する認知症疾患。意欲低下や性格変化などを生じる前頭葉症状と、言語の障害などが起こる側頭葉症状がみられる。初期の時期には記憶障害がみられないため、アルツハイマー病とは症状の内容が大きく異なる疾患といえる。
前頭葉や側頭葉が限局的に萎縮する認知症疾患。意欲低下や性格変化などを生じる前頭葉症状と、言語の障害などが起こる側頭葉症状がみられる。初期の時期には記憶障害がみられないため、アルツハイマー病とは症状の内容が大きく異なる疾患といえる。
(けあサポ編集部)