受験勉強も大事ですが、資格はなりたい自分に近づくための手段。合格後の「仕事のイメージ」を抱くことも大事です。このコーナーでは、資格の世界を知るのに役立った本や映画などを合格者が紹介します。
自殺防止の電話相談を通して利用者への接し方を見直す
自殺する私をどうか止めて
おすすめの理由
著者の西原由紀子さんはある青年の自殺を契機に自殺防止活動を始めて以来、25年にわたり電話相談を受けています。本書のなかでは、西原さんが自殺を決意した多くの人と電話相談や面接を通じて出会いその人の人生に寄り添う姿が書かれています。なかでも私が一番共感を得たのが、自殺防止センターの原則にもなっている、ビフレンディングという言葉が実行にうつされていることです。自殺未遂者と自殺防止センターの電話相談では、高齢者の介護職とは多少違うとは思います。ただ、電話口に寄り添って自殺未遂者の声を傾聴し「生」を伝える姿に深く感動し共感を覚えました。また電話口だけでなく、本当に自殺しそうな人のところにはタクシーや自家用車で相談者宅に向かう行動力にも感動しました。
実際に電話相談を行っている人は仕事としてではなくボランティアの方なのですが、この行動力はどこから出てくるのだろう思ってしまいます。
それに対して「自分の利用者さんに対する接し方についてはどうだろう?」と考え見直すいい機会にもなりました。
一般の方が読む読み物としても、著者の西原由紀子さんの自殺防止に対する情熱が伝わってくる素晴らしい本だと思います。
(パウロ・ソウザさん・ケアマネジャー)