「できるだけ時間や労力をかけずに合格したい!」。これは全受験生に共通する願いでしょう。この連載では、指導した受験生を全員合格に導いた実績をもつ筆者が編み出した「効果的学習法」を紹介していきます。
第9回 年表を知識の入れ物として使う
知識の入れ物
プロフェッショナルの仕事場は、必要な道具に「スッ」と手が届くように整理されている。必要なときに必要なものを出し入れするには、それなりの「入れ物」と、その中身の「整理整頓」が欠かせない。「知識」についても同じことがいえる。学習を効率よく進めるには、最初に「知識の入れ物」を作ることをすすめたい。
では、「知識の入れ物」とは何か。それは「年表」のこと。最近では、テキストの巻末に年表がついているが、「出来合いの物」はおすすめしない。「自分で作る(=手作り)」ことが重要だ。「ぐぇっ?!」と思った人もいると思うが、これから解説するので心配ない。テキストの特定の部分を読みながら必要な事柄を拾っていけば年表ができる。「必要な事柄」を拾うコツも伝授するので心配ご無用。
では、「知識の入れ物」とは何か。それは「年表」のこと。最近では、テキストの巻末に年表がついているが、「出来合いの物」はおすすめしない。「自分で作る(=手作り)」ことが重要だ。「ぐぇっ?!」と思った人もいると思うが、これから解説するので心配ない。テキストの特定の部分を読みながら必要な事柄を拾っていけば年表ができる。「必要な事柄」を拾うコツも伝授するので心配ご無用。
年表の作り方
(1)該当ページをチェックする
準備するものは、マーカーと付箋(小)とテキスト。
テキストのうちどれか1冊を手に取り、「目次」をツラツラと眺める。眺めながら、「○○の歴史」とか「○○の歴史的変遷」「動向」「展開」「成立」等の語句があったら、そのページ番号に印をつける。つまり、「歴史はどう動いたか」を把握できるキーワードとそのページ番号をチェックするわけだ。
ひととおりページ番号に「○」を付け終えたら、次は、該当ページをパラパラと開き、付箋を貼っていく。この段階でページの中身を読む必要はない。「機械的に行う」のがコツだ。
テキストのうちどれか1冊を手に取り、「目次」をツラツラと眺める。眺めながら、「○○の歴史」とか「○○の歴史的変遷」「動向」「展開」「成立」等の語句があったら、そのページ番号に印をつける。つまり、「歴史はどう動いたか」を把握できるキーワードとそのページ番号をチェックするわけだ。
ひととおりページ番号に「○」を付け終えたら、次は、該当ページをパラパラと開き、付箋を貼っていく。この段階でページの中身を読む必要はない。「機械的に行う」のがコツだ。
(2)年表のレイアウトを設定する
図表-1に福祉年表の例を挙げる。左端から順に(1)西暦、(2)和暦、(3)出来事、(4)福祉一般と入れる。右端(5)は、障害者・高齢者介護などに関する項目を準備する。パソコンなどを使えばレイアウトは容易である。
年表は、A4版の用紙で作る。A4版の横幅に(1)〜(5)のすべてを入れ、横列を一望できる年表を作ることがポイントになる。
年表は、A4版の用紙で作る。A4版の横幅に(1)〜(5)のすべてを入れ、横列を一望できる年表を作ることがポイントになる。
西暦 | 和暦 | 出来事 | 福祉一般 | 障害者・高齢者介護 |
---|---|---|---|---|
1945 | S20 | 敗戦 | ||
1947 | S22 | 児童福祉法←福祉の始まり! | ||
1949 | S24 | 身体障害者福祉法 | ||
1950 | S25 | 生活保護法 | ||
1960 | S35 | 精神薄弱者福祉法 | ||
1963 | S38 | 老人福祉法 | ||
1982 | S57 | 老人保健法 | ||
1987 | S62 | 社会福祉及び介護福祉法 |
(3)年号と出来事を拾う
ここから少しずつ作業の中身が濃くなる。(1)でチェックした該当ページをめくり、年号を拾っていく。
例えば、「わが国の障害者施策は、1947年(S22)に制定された児童福祉法による障害児の福祉制度から始まった。1949年(S24)に身体障害者福祉法が制定され、1960年(S35)には精神薄弱者福祉法(現・知的障害者福祉法)が成立し、日本では精神障害者を除く障害者施策が長く展開された。」という記載があったとする。この場合、年表の(1)西暦に「1947」、(2)和暦に「S22」、(3)出来事を飛ばして、(4)福祉一般に「児童福祉法制定」と入力する。同様に身体障害者福祉法、精神薄弱者福祉法を入力する。
このとき、「←福祉の始まり!」とか「←福祉の対象外!」という語句を入れると、情報にインパクトが出る。出来事の欄には、「敗戦」とか「高度経済成長」とか「増税なき財政再建」、「高齢化率アップ!」等々、その時代を代表する出来事を入れる。年表は他人に見せるものではないので、自分が覚えやすい言葉を使えばよい。
例えば、「わが国の障害者施策は、1947年(S22)に制定された児童福祉法による障害児の福祉制度から始まった。1949年(S24)に身体障害者福祉法が制定され、1960年(S35)には精神薄弱者福祉法(現・知的障害者福祉法)が成立し、日本では精神障害者を除く障害者施策が長く展開された。」という記載があったとする。この場合、年表の(1)西暦に「1947」、(2)和暦に「S22」、(3)出来事を飛ばして、(4)福祉一般に「児童福祉法制定」と入力する。同様に身体障害者福祉法、精神薄弱者福祉法を入力する。
このとき、「←福祉の始まり!」とか「←福祉の対象外!」という語句を入れると、情報にインパクトが出る。出来事の欄には、「敗戦」とか「高度経済成長」とか「増税なき財政再建」、「高齢化率アップ!」等々、その時代を代表する出来事を入れる。年表は他人に見せるものではないので、自分が覚えやすい言葉を使えばよい。
(4)入力のコツ
わが国の法律や制度は、「ある出来事(社会的問題)」に対応する形で制定される。つまり、「出来事」→「法律・制度による解決」という横の関係が成立している。あるいは、「精神薄弱者福祉法→知的障害者福祉法」、「社会福祉事業法→社会福祉法」、「精神衛生法→精神保健福祉法」等々にみられるように、時代の要請とともに法律の呼び方が進化する(縦の関係)。これらの「関係性」に注意を向けながら年表を作るとよい。
(5)とりあえず入力終了
「年号」が記される部分はすべて拾う。こう書くと「膨大な作業量だ!」と感じる方がいるかもしれないが、意外と少ない。入力していると、あらゆる情報を書き込みたくなるが、キーワードだけを入力する。あまり入力しすぎると「見る気のしない年表」になってしまう。
追々説明するが、学習途上で過去問の「解説」部分を読んでいると、法制度の解説や未記入の年号が出てくる。その手の情報が出てくるたびに、必ずこの年表に戻って確認する習慣をつけるとよい。「年表の使い方」については、項を改めて解説する。
追々説明するが、学習途上で過去問の「解説」部分を読んでいると、法制度の解説や未記入の年号が出てくる。その手の情報が出てくるたびに、必ずこの年表に戻って確認する習慣をつけるとよい。「年表の使い方」については、項を改めて解説する。