Vol.2 診断基準を知って健康管理
ウエストサイズで診断
前回、メタボリックシンドロームが話題になっている理由を説明しましたので、今回は、メタボリックシンドロームそのものについて取り上げます。
2005年に発表された日本内科学会などによるメタボリックシンドロームの診断基準を表に示します。ちなみに、メタボリックシンドロームの診断基準自体は、これ以前からWHO(世界保健機関)やアメリカ独自のものがありましたが、今回日本の医学会がまとめたものはそれらとは異なる、新しい診断基準になっています。
診断基準は必須項目と選択項目に分かれていて、まず、ウエストサイズが男性ならば85センチ以上、女性90センチ以上が第一条件になります。それに加えて、血清脂質(表のトリグリセリドは中性脂肪のこと、それとHDLコレステロール)、血糖値、血圧の3つの項目のうち2つ以上が基準値を超えた場合にメタボリックシンドロームと診断されます。ウエストが大きいからといってすぐさまメタボリックシンドロームなのではありませんが、そういう人は、血圧や血液検査の値に注意が必要です。
2005年に発表された日本内科学会などによるメタボリックシンドロームの診断基準を表に示します。ちなみに、メタボリックシンドロームの診断基準自体は、これ以前からWHO(世界保健機関)やアメリカ独自のものがありましたが、今回日本の医学会がまとめたものはそれらとは異なる、新しい診断基準になっています。
診断基準は必須項目と選択項目に分かれていて、まず、ウエストサイズが男性ならば85センチ以上、女性90センチ以上が第一条件になります。それに加えて、血清脂質(表のトリグリセリドは中性脂肪のこと、それとHDLコレステロール)、血糖値、血圧の3つの項目のうち2つ以上が基準値を超えた場合にメタボリックシンドロームと診断されます。ウエストが大きいからといってすぐさまメタボリックシンドロームなのではありませんが、そういう人は、血圧や血液検査の値に注意が必要です。
では、なぜウエストサイズが問題になるのでしょう。太っていることが身体によくないことはなんとなくわかるにしても、85センチや90センチというように医学的な基準とすることに違和感をもつ人が多いのではないでしょうか。診断基準を作成した委員会によると、ウエストサイズは内臓脂肪という、皮下脂肪とは異なり腹部の臓器の間にある腸間膜などに蓄積された脂肪の量を測る目安にしているのです。
日本のメタボリックシンドロームの診断基準
内臓脂肪(腹腔内脂肪)蓄積に加え、下記の2つ以上の項目に該当する場合。
※“項目に該当する”とは、下記の「基準」を満たしている場合、かつ/または「服薬」がある場合とする。
※“項目に該当する”とは、下記の「基準」を満たしている場合、かつ/または「服薬」がある場合とする。
*CTスキャンなどで内臓脂肪量測定を行うことが望ましい。
*ウエスト径は立位、軽呼気時、臍レベルで測定する。脂肪蓄積が著明で臍が下方に偏位している場合は肋骨下縁と前上腸骨棘の中点の高さで測定する。
*メタボリックシンドロームと診断された場合、糖負荷試験が薦められるが診断には必須ではない。
*糖尿病、高コレステロール血症の存在はメタボリックシンドロームの診断から除外されない。
【資料】日本動脈硬化学会、日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本肥満学会、日本循環器学会、日本腎臓病学会、日本血栓止血学会、日本内科学会、2005年4月
内臓脂肪が動脈硬化の原因
脂肪というと、体内で使いきれなかった余分なアブラ分というように、たんに脂質を貯蔵している細胞と思われがちですが、最近の研究で脂肪にはもっと別の働きがあることがわかってきました。
実は脂肪細胞からはアディポサイトカインと呼ばれる多数の活性物質が分泌されていて、それらは体内で、心筋梗塞、脳卒中などを引き起こす動脈硬化、糖尿病にかかわりの深いインスリン抵抗性、高血圧などに深く関与しているのです。脂肪細胞の働きについては項を改めて解説しますので、ここでは特に内臓脂肪からは高脂血症、糖尿病、動脈硬化のリスクを高める物質が分泌されていることを指摘しておきます。つまり、内臓脂肪自体が生活習慣病を発病させるリスクの高い細胞なのです。
そこで、診断基準作成にかかわった研究者たちが内臓脂肪の量と生活習慣病のリスクについて研究した結果、おへその辺りを横断面にしたときの内臓脂肪の面積が100平方センチが基準になることがわかりました。しかし、実際にそれを計測するにはCT検査が必要になり、誰もが手軽に受けることはできません。
そこで、もっとわかりやすい簡便に調べる手法をさらに調査研究したところ、ウエストサイズ男性85センチ、女性90センチが内臓脂肪100平方センチに相当するという結果になったのです。
確かに個人差もありますし、ウエストサイズから内臓脂肪の量を推測するには限界がありますが、次の項で述べるようにメタボリックシンドロームという概念自体が糖尿病や動脈硬化の予防を目指したものでもあるので、あまり神経質にこの数字を捉えるのではなく、自分の健康を考える際のひとつの基準とするべきでしょう。
実は脂肪細胞からはアディポサイトカインと呼ばれる多数の活性物質が分泌されていて、それらは体内で、心筋梗塞、脳卒中などを引き起こす動脈硬化、糖尿病にかかわりの深いインスリン抵抗性、高血圧などに深く関与しているのです。脂肪細胞の働きについては項を改めて解説しますので、ここでは特に内臓脂肪からは高脂血症、糖尿病、動脈硬化のリスクを高める物質が分泌されていることを指摘しておきます。つまり、内臓脂肪自体が生活習慣病を発病させるリスクの高い細胞なのです。
そこで、診断基準作成にかかわった研究者たちが内臓脂肪の量と生活習慣病のリスクについて研究した結果、おへその辺りを横断面にしたときの内臓脂肪の面積が100平方センチが基準になることがわかりました。しかし、実際にそれを計測するにはCT検査が必要になり、誰もが手軽に受けることはできません。
そこで、もっとわかりやすい簡便に調べる手法をさらに調査研究したところ、ウエストサイズ男性85センチ、女性90センチが内臓脂肪100平方センチに相当するという結果になったのです。
確かに個人差もありますし、ウエストサイズから内臓脂肪の量を推測するには限界がありますが、次の項で述べるようにメタボリックシンドロームという概念自体が糖尿病や動脈硬化の予防を目指したものでもあるので、あまり神経質にこの数字を捉えるのではなく、自分の健康を考える際のひとつの基準とするべきでしょう。
- ポイント
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ウエストサイズは内臓脂肪の蓄積の目安