第4回から数回に分けて、ソーシャルワーカーの「知識」「技術」「価値」についてお伝えしていきます。生活(いき)ることを支援する専門職にとって必要な「知識」「技術」「価値」とはどのようなものなのか…。一緒に考えていきましょう。
第6回 生活(いき)ること支援のための「技術」
みなさんはソーシャルワーカーが用いる専門的な技術というと何を考えられますか? ケースワークをあげる方もいれば、グループワークやコミュニティーワークをあげる方もいるでしょう。どんな「技術」が思い浮かぶかは、所属する機関や業務の内容によるところが大きいと思います。
それではみなさんは、実際にソーシャルワークの技術を、実践でどのように活かされていますか? 「技術」と一言で言っても、「手法」という意味で用いることもあれば、その手法を使う力を含めていうこともあります。ここでは「手法を使う力」に重点を置いてソーシャルワークの「技術」についてお伝えすることにします。
それではみなさんは、実際にソーシャルワークの技術を、実践でどのように活かされていますか? 「技術」と一言で言っても、「手法」という意味で用いることもあれば、その手法を使う力を含めていうこともあります。ここでは「手法を使う力」に重点を置いてソーシャルワークの「技術」についてお伝えすることにします。
実践力のカギ……内省力・想像力・伝達力
私は「手法を使う力」の基本は、ソーシャルワーカー自身の「内省力」「想像力」「伝達力」という3つの力であり、それらが生活(いき)ること支援を実践するカギであると考えます。
介護保険制度の発足に伴い注目されるようになった手法としてケアマネジメントがあります。これはもともとソーシャルワークの技術(手法)の一つですが、その手法を生活(いき)ること支援に活かしていくためにもこの3つの力が不可欠です。
例えば次のような相談を受けたとします。
相談者Kさん(45才・会社員)は一人娘で、実母Tさん(70才)と二人で生活している。「私の母のことなのですが、まめできれい好きな人だったのに、片づけもしなくなって、家でごろごろしてばかり。恥ずかしいことに、最近は汚れた服を何日も平気で着ているし、おっくうがってお風呂にもしばらく入ろうとしないのです。大便がついた下着がタンスに入っていることもたびたびです。私が何か言うとうるさがって、ものすごい剣幕で怒鳴ったりもするんです。約束していたことも覚えていないようです。母の妹が心配して、このままだと大変だから介護のサービスでも利用できるようにしたほうがいいと言われて。寝たきりというわけではないのですが、何かサービスを利用できるでしょうか?」
このような相談を受けて、みなさんはまず何を考えますか。そして、相手に何を話そう(伝えよう)と思いますか?
真っ先に「認知症」を思い浮かべる人も少なくないでしょう。意欲の低下が進まないように同世代の人との交流など何らかの刺激が必要と考えたり、保清のために入浴などのサービスを考える人もいるでしょう。まずは介護保険制度の説明が必要と考える人もいるでしょう。
相手は何を欲しているのか
ここで気をつけなくてはいけないことは、思いこみとそれによる情報提供の仕方です。
前回も述べましたが、専門職の役割で大切なのは、「(情報を)食べさせること」ではなく、相手が「何を食べようか(自分が何を食べたいのか)を決める」ためのサポートであるということです。「何かサービスを利用できるでしょうか?」というKさんの言葉にすぐにでも答えたくなるかもしれませんが、問題の本質を見ずにやみくもにサービスに結びつけていくのでは、後から「サービスを使っても何も変わらなかった」「こんなはずじゃなかった」といった不満がでてきてしまうことも想定されます。相手が後から「消化不良」を起こさないよう、ここで専門職は3つの力(内省力・想像力・伝達力)を用いて働きかけていくことが必要です。
専門職が自身を内省することを忘れてしまったり、想像力が不足してしまっていると、思いこみや決めつけに気づかないまま、支援を押しつけてしまうことになりかねません。そのため、むやみに期待させてしまったり、依存させてしまうこともあるでしょう。内省力と想像力を働かせて、相手が何を欲しているのか、いないのか、その思いを察していきましょう。そのうえで、相手は「何が食べたいのか(どうしていきたいのか)」を考え、自身で気づいていけるように働きかけて(伝達して)いくことが大切です。
前回も述べましたが、専門職の役割で大切なのは、「(情報を)食べさせること」ではなく、相手が「何を食べようか(自分が何を食べたいのか)を決める」ためのサポートであるということです。「何かサービスを利用できるでしょうか?」というKさんの言葉にすぐにでも答えたくなるかもしれませんが、問題の本質を見ずにやみくもにサービスに結びつけていくのでは、後から「サービスを使っても何も変わらなかった」「こんなはずじゃなかった」といった不満がでてきてしまうことも想定されます。相手が後から「消化不良」を起こさないよう、ここで専門職は3つの力(内省力・想像力・伝達力)を用いて働きかけていくことが必要です。
専門職が自身を内省することを忘れてしまったり、想像力が不足してしまっていると、思いこみや決めつけに気づかないまま、支援を押しつけてしまうことになりかねません。そのため、むやみに期待させてしまったり、依存させてしまうこともあるでしょう。内省力と想像力を働かせて、相手が何を欲しているのか、いないのか、その思いを察していきましょう。そのうえで、相手は「何が食べたいのか(どうしていきたいのか)」を考え、自身で気づいていけるように働きかけて(伝達して)いくことが大切です。