「必察」とは、相手の思いを察すること。人が生活(いき)ることをサポートするために必要不可欠な技術です。
「必察!ソーシャルワーカー」の永島さんが、対人援助職の皆さんに、「察する」とはどういうことか、どのようにして「察して」いくのか…おおいに語ります!
「必察!ソーシャルワーカー」の永島さんが、対人援助職の皆さんに、「察する」とはどういうことか、どのようにして「察して」いくのか…おおいに語ります!
第2回 人と人との関係性は、察し合うことから
連載2回目の今回は、対人援助の基本といえる、人と人との関係性を築いていくために大切なことについてお伝えしたいと思います。
私たちの生活(いき)るは、多かれ少なかれ、人と人とのかかわりで成り立っています。そのかかわりあい(関係性)はできれば気持ちよくいきたいものですが、毎回そうもいかないのが現実です。
みなさんは、今日を生活(いき)るのに何人くらいの人とかかわりましたか? そして、そのかかわりを通してどのようなことを感じましたか?
私たちの生活(いき)るは、多かれ少なかれ、人と人とのかかわりで成り立っています。そのかかわりあい(関係性)はできれば気持ちよくいきたいものですが、毎回そうもいかないのが現実です。
みなさんは、今日を生活(いき)るのに何人くらいの人とかかわりましたか? そして、そのかかわりを通してどのようなことを感じましたか?
今日の1日を内省してみる…
家族(妻・中1の息子・小4の娘・母親)、職場のスタッフ、デイに集うお仲間、デイの送迎時にお会いしたご家族、数十件の電話とメール、後見活動のため伺った先の方々、速達を届けてくれた郵便局員さん…。
私が今日1日を生活(いき)るのにかかわった人々です。
私が今日1日を生活(いき)るのにかかわった人々です。
今朝の私がまさにそうでした。天気は朝から雨。5時に起きてメールをチェック。毎朝のことですが、今日はいつも以上にメールの対応に時間がかかってしまいました。仕上げなくてはならない書類もかなり残っています。気持ちばかりが焦ります。
ようやくメールの返信を終えて身支度をしようと思っていたところに、妻からゴミ捨てを手伝って欲しいと言われ、「雨が降っているし、今日でなくてもいいだろう!」とぶっきらぼうに応えました。その後、何も言わずに一人で作業を始めた妻を、「やれば文句ないだろう!」という思いで手伝いました。毎朝、登校前にはあれこれ騒いでいる子どもたちも、何かを察して、「行ってきます」といつの間にか出かけていきました。片づけを終えた妻は黙って経理の仕事を始め、私もデイのお仲間の迎えの準備を始めました。
私は今こうして文章を打ちながら、今日の自分を振り返っています(内省しています)。
今日は、朝から一番身近な人たち(家族)との関係性が、とても重苦しく不快なものになってしまいました。それは、自分がイライラした感情のまま言葉をぶつけてしまったから。相手の思いをもう少し察することができていたら、もっと違う言い方ができたのではないか。そして、もう少し気持ち良く1日をスタートできたのではないか…。
人間だから、イライラしたり、嫌だな、面倒だなといった感情をもつのも当たり前です。でも、そんな人間だからこそ、自身の思いをふりかえり(内省し)、相手の思いを察することが必要なのだと思います。内省することにより、自分のマイナスな感情や主観をそのまま相手にぶつけるのを防ぐことができます。また、相手の思いを察してかかわることで、相手を不安や不快にさせてしまうのを防ぐことができるでしょう。
私は今日、数十人の人たちとかかわってきました。そのなかで、どこか焦っている様子の私を察して、仕事がしやすいようにさりげなくサポートしてくれていたスタッフ。速達を届けてくれた郵便局員さんがかけてくれた「お忙しいところすみません。いつもここに来ると聞こえてくるみなさんの歌声に元気をもらっています!」という言葉に心が和みました。そして、一方的に用件だけを伝えてくるような電話にがっかりしたり、改めて自分もそのような電話のかけ方にならないように注意しようと思ったりもしました。
「内省」とは対人援助の基本
私たちは日頃、自身が相手からされることにはとても敏感に反応しても、相手へのかかわり方について振り返ってみることはあまりしないようです。今回私がみなさんに伝えたかった、人と人との関係性を築いていくために大切なこととは、「他者へのかかわり方を意識して振り返ってみましょう(内省)」ということ。そして、「まずは自分から意識して相手の思いを察してみましょう(必察)」ということです。
対人援助は、人と人との関係が基本となります。
対人援助における人と人の関係(援助関係)は、家族や友人、知人との関係とは異なりますが、いずれにしても人と人との関係の始まりは、互いに相手を不快にさせたり、不安にさせたり傷つけたりしないことだと考えます。
みなさんもぜひ、身近な人とのかかわりから内省と必察を始めてみてください。きっとこれまで以上に豊かなかかわりあいができると思いますよ。
少しばかり?!短気な私自身にも言い聞かせながら…。
対人援助は、人と人との関係が基本となります。
対人援助における人と人の関係(援助関係)は、家族や友人、知人との関係とは異なりますが、いずれにしても人と人との関係の始まりは、互いに相手を不快にさせたり、不安にさせたり傷つけたりしないことだと考えます。
みなさんもぜひ、身近な人とのかかわりから内省と必察を始めてみてください。きっとこれまで以上に豊かなかかわりあいができると思いますよ。
少しばかり?!短気な私自身にも言い聞かせながら…。