今回から数回に分けて、ソーシャルワーカーの「知識」「技術」「価値」についてお伝えしていきます。生活(いき)ることを支援する専門職にとって必要な「知識」「技術」「価値」とはどのようなものなのか…。今回は「知識」についてです。
第3回 生活(いき)ること支援をするソーシャルワーカー
連載の1回目と2回目では、相手の思いを「察する」ことの大切さをお伝えしました。対人援助は人と人との関係づくりからスタートします。そのためにも「察する」ことが不可欠であると考えるからです。
あいまいなソーシャルワーカーのイメージと現実
今回は、改めて「ソーシャルワーカーとは?」ということを考えてみたいと思います。医者や看護師、警察官、消防士、教師、僧侶など…その名前を聞いただけで、どこでどんな役割を担っているのかがすぐに思い浮かぶ職業があります。けれども、「ソーシャルワーカー」はどうでしょうか?
福祉系大学の学生さんなどは、ソーシャルワーカーというと、真っ先に相談援助業務をイメージするようです。白衣を着て面接室で相談にのっている姿に憧れてか(!?)、医療ソーシャルワーカーの人気が高いのは今も昔も変わりはありません。でも、実際に病院で働くソーシャルワーカーのなかには、病院側と患者さんやその家族との板挟みのような状態になって自身の役割に戸惑い、専門性を活かしきれずに日々の業務に追われる毎日…ということもあるのではないでしょうか。
高齢者福祉の分野では介護保険制度のもと、「ケアマネジャー」という専門職がつくられ、高齢者本人や家族の相談にのり、必要な介護サービスに結びつける支援が行われています。ソーシャルワーカーをめざして福祉系の大学を卒業しても、医療福祉や児童福祉などの人気分野の求人は少なく、介護の担い手として高齢者福祉の分野に就職するケースが多いのが現実です。そこで現場経験を経てケアマネジャーとなり、相談援助業務に就くことになるソーシャルワーカーも少なくありません。このような場合も、ソーシャルワーカーの専門性を意識することなく、「ケアマネジャー」として相談援助業務に追われることになるのではないでしょうか。
ソーシャルワーカーの国家資格としては、社会福祉士と精神保健福祉士がありますが、あくまで名称独占であり業務独占ではありません。昨今の地域包括支援センターには、必置資格者として社会福祉士の配置ができましたが、必ずしも専任業務になっているとも言い切れない現実があるのでは…。しかも、所属する機関や施設においてそれぞれの役割を担っていることが多く、ソーシャルワーカーの独自性、専門性はますます見えにくくなってしまっています。
福祉系大学の学生さんなどは、ソーシャルワーカーというと、真っ先に相談援助業務をイメージするようです。白衣を着て面接室で相談にのっている姿に憧れてか(!?)、医療ソーシャルワーカーの人気が高いのは今も昔も変わりはありません。でも、実際に病院で働くソーシャルワーカーのなかには、病院側と患者さんやその家族との板挟みのような状態になって自身の役割に戸惑い、専門性を活かしきれずに日々の業務に追われる毎日…ということもあるのではないでしょうか。
高齢者福祉の分野では介護保険制度のもと、「ケアマネジャー」という専門職がつくられ、高齢者本人や家族の相談にのり、必要な介護サービスに結びつける支援が行われています。ソーシャルワーカーをめざして福祉系の大学を卒業しても、医療福祉や児童福祉などの人気分野の求人は少なく、介護の担い手として高齢者福祉の分野に就職するケースが多いのが現実です。そこで現場経験を経てケアマネジャーとなり、相談援助業務に就くことになるソーシャルワーカーも少なくありません。このような場合も、ソーシャルワーカーの専門性を意識することなく、「ケアマネジャー」として相談援助業務に追われることになるのではないでしょうか。
ソーシャルワーカーの国家資格としては、社会福祉士と精神保健福祉士がありますが、あくまで名称独占であり業務独占ではありません。昨今の地域包括支援センターには、必置資格者として社会福祉士の配置ができましたが、必ずしも専任業務になっているとも言い切れない現実があるのでは…。しかも、所属する機関や施設においてそれぞれの役割を担っていることが多く、ソーシャルワーカーの独自性、専門性はますます見えにくくなってしまっています。
「生活(いき)ること支援」に見出す、ソーシャルワーカーの専門性
それでは、ソーシャルワーカーの独自性、専門性はいったいどこにみいだしたらよいのでしょうか?
私はこう考えます。所属する機関や施設が違ったり、児童や高齢者、障害者福祉などの専門分野は違っても、目の前の現象や表面的な問題への対処にとどまらずに、その奥にある一人ひとりの「どう生活(いき)るか」という大きな課題を認識し、それに対する支援(生活(いき)ること支援)に取り組むことができるかどうかだと思います。
私は現在、社会福祉士事務所を開業し、ソーシャルワーカーとしてさまざまな相談を受けています。地域に身を置いて改めて感じたのは、相談に訪れることになったきっかけ(理由)として、どの人も抱えていることは「どう生活(いき)るか」という課題であり、縦割りの制度や法律の枠組みだけで考えていたのでは、本当の意味での支援は難しいということです。
私はこう考えます。所属する機関や施設が違ったり、児童や高齢者、障害者福祉などの専門分野は違っても、目の前の現象や表面的な問題への対処にとどまらずに、その奥にある一人ひとりの「どう生活(いき)るか」という大きな課題を認識し、それに対する支援(生活(いき)ること支援)に取り組むことができるかどうかだと思います。
私は現在、社会福祉士事務所を開業し、ソーシャルワーカーとしてさまざまな相談を受けています。地域に身を置いて改めて感じたのは、相談に訪れることになったきっかけ(理由)として、どの人も抱えていることは「どう生活(いき)るか」という課題であり、縦割りの制度や法律の枠組みだけで考えていたのでは、本当の意味での支援は難しいということです。
目の前の事実も大切。さらに、これまでの人生模様についても察していくことが大切
次回からは、この「生活(いき)ること支援」の具体的な実践に向けて、ソーシャルワーカーの「価値」「知識」「技術」という観点から、ポイントをまとめてお伝えしていきたいと思います。