今回から数回に分けて、ソーシャルワーカーの「知識」「技術」「価値」についてお伝えしていきます。生活(いき)ることを支援する専門職にとって必要な「知識」「技術」「価値」とはどのようなものなのか…。今回は「知識」についてです。
第4回 「情報」を「知識(専門的知識)」に変え、生活(いき)ること支援に活かす
「情報」と「専門的知識」の違い
私たち専門職が仕事をしていくうえで欠かせないのが、専門的知識です。例えば、医療分野に携わる場合は、医療に関する用語や専門的知識をもっていないと、医療関係スタッフとのやり取りが円滑にいきません。児童分野では、家庭環境におけることから発達障害に関することなど幅広い知識が、障がい者分野では、さまざまな疾病や機能障がいに関する知識が必要です。高齢者分野においても、介護保険に関する知識やサービス内容についての細かな点について情報を整理しておかなくてはならないでしょう。
私たちは日頃から、研修や専門誌、そして実践経験をとおしてさまざまな情報を得ています。そして、情報を得ることで安心し、それを提供することに役割を見いだそうとしがちな専門職も少なくないように思うのです。しかし、情報はただ提供するだけでは専門的な知識とは言ません。「情報」は与えられるものではなく、相手が自らそれを求め、その人の生活に活かされてはじめて、生活(いき)ること支援に必要な「専門的知識」となるのです。
私たちは日頃から、研修や専門誌、そして実践経験をとおしてさまざまな情報を得ています。そして、情報を得ることで安心し、それを提供することに役割を見いだそうとしがちな専門職も少なくないように思うのです。しかし、情報はただ提供するだけでは専門的な知識とは言ません。「情報」は与えられるものではなく、相手が自らそれを求め、その人の生活に活かされてはじめて、生活(いき)ること支援に必要な「専門的知識」となるのです。
「情報」を「専門的知識」に変えるポイント
その1…たくさんのアンテナをもとう!
私はNPO法人風の詩を設立し、顔の見える社会福祉士として地域での実践を始めました。日頃は、法人の地域密着型(認知症専門)通所介護施設で実践に取り組んでいる時間も多く、ケアマネジャーの役割も担っていることもあり、周囲からは私の専門は高齢者(特に認知症ケア)であると思われているようです。けれど私の専門は高齢者という分野にあるのではなく、地域での生活(いき)ること支援にどのように取り組んでいくのかということにあると考えています。
実際、認知症ケアに関することをきっかけに相談援助が始まっても、ご家族に何らかの障がいがあって支援が必要な状況であったり、お孫さんが登校拒否を起こしていたり、さまざまな課題がからみ合い、何をどうしていったらよいのかがわからない状況で生活されていることも少なくありません。このような場合、専門職としての私の役割は、認知症ケアに関する情報を提供することだけではなく、さまざまな視点から生活をとらえ、課題を整理し、必要な支援行うことです。そのためには、生活に関する多様な情報が必要になります。
私たちは、自分の専門分野の情報には関心を払いますが、その他の分野については情報を集めようとしないことが多いようです。そのために課題のとらえ方が偏り、自分のものさしでしか相手の状況をとらえられなくなってしまうことがよく起こります。
専門職は、福祉の制度やサービスの情報に限らず、さまざまな情報をキャッチするアンテナをもっていなければなりません。そのアンテナが高く多いほど、専門職としての視野は広くなり多角的に状況をとらえられるようになります。同時に、たくさんの情報を吟味したり、情報を有効に活かすためのアンテナも必要になります。情報を有効に活かすためのアンテナとは、福祉分野以外の制度やサービス、それにかかわる専門職に関する情報をキャッチするためのものです。
生活(いき)ること支援のためには特定の専門職で問題を抱え込まず、多様な専門職の力を活かしていくことが重要です。いわゆる「連携」ということですが、これは生活(いき)ること支援の専門職にとってはその専門性にかかわる大きな課題といえるでしょう。どのような情報をどのような方法で用い、どのような連携を実現していくのかは、専門職の技術にもかかわってくることです。
次回は、「情報」を「専門的知識」に変えるもう一つのポイントについてお話しします。
※「生活(いき)る」とは
肉体的に生きる(食事、睡眠、排泄など)だけではなく、また、精神的に活きるだけでもなく、生活全体を含めて自らの意志と思いで生きることをいう。
※「必察」とは
相手の思いを察すること。人が生活(いき)ることをサポートするために必要不可欠な技術。
実際、認知症ケアに関することをきっかけに相談援助が始まっても、ご家族に何らかの障がいがあって支援が必要な状況であったり、お孫さんが登校拒否を起こしていたり、さまざまな課題がからみ合い、何をどうしていったらよいのかがわからない状況で生活されていることも少なくありません。このような場合、専門職としての私の役割は、認知症ケアに関する情報を提供することだけではなく、さまざまな視点から生活をとらえ、課題を整理し、必要な支援行うことです。そのためには、生活に関する多様な情報が必要になります。
私たちは、自分の専門分野の情報には関心を払いますが、その他の分野については情報を集めようとしないことが多いようです。そのために課題のとらえ方が偏り、自分のものさしでしか相手の状況をとらえられなくなってしまうことがよく起こります。
専門職は、福祉の制度やサービスの情報に限らず、さまざまな情報をキャッチするアンテナをもっていなければなりません。そのアンテナが高く多いほど、専門職としての視野は広くなり多角的に状況をとらえられるようになります。同時に、たくさんの情報を吟味したり、情報を有効に活かすためのアンテナも必要になります。情報を有効に活かすためのアンテナとは、福祉分野以外の制度やサービス、それにかかわる専門職に関する情報をキャッチするためのものです。
生活(いき)ること支援のためには特定の専門職で問題を抱え込まず、多様な専門職の力を活かしていくことが重要です。いわゆる「連携」ということですが、これは生活(いき)ること支援の専門職にとってはその専門性にかかわる大きな課題といえるでしょう。どのような情報をどのような方法で用い、どのような連携を実現していくのかは、専門職の技術にもかかわってくることです。
次回は、「情報」を「専門的知識」に変えるもう一つのポイントについてお話しします。
※「生活(いき)る」とは
肉体的に生きる(食事、睡眠、排泄など)だけではなく、また、精神的に活きるだけでもなく、生活全体を含めて自らの意志と思いで生きることをいう。
※「必察」とは
相手の思いを察すること。人が生活(いき)ることをサポートするために必要不可欠な技術。