第10回 訪問看護師との関係
「痛みがつらくて、呼吸も苦しくて」
末期がんのYさんの消えいるような電話の声に、「すぐ行きます」と、いつでも自宅に駆けつけて、リンパが滞ってむくみの強くなった腕から肩にかけてマッサージを施すのは、訪問看護師のMさんです。最近では、Yさんから「あなたの顔を見ただけで、ホッとして痛みも軽くなっちゃうのよ」と喜ばれるそうです。
「病院に勤務していたときは、自分の意識のなかでは、病気の後ろにその人が隠れてしまっていました。しかし訪問看護を始めてからは、その人のことをきちんとわからないと病気のこともわからないんだなと感じるようになりました」
「人が生きることを支える」という看護の原点を「在宅」でみつけたというMさんは、「訪問看護の醍醐味を知ってしまったから、もう病院には戻れません」と笑います。
そこで今回は、訪問看護師との関係について考えていきましょう。
末期がんのYさんの消えいるような電話の声に、「すぐ行きます」と、いつでも自宅に駆けつけて、リンパが滞ってむくみの強くなった腕から肩にかけてマッサージを施すのは、訪問看護師のMさんです。最近では、Yさんから「あなたの顔を見ただけで、ホッとして痛みも軽くなっちゃうのよ」と喜ばれるそうです。
「病院に勤務していたときは、自分の意識のなかでは、病気の後ろにその人が隠れてしまっていました。しかし訪問看護を始めてからは、その人のことをきちんとわからないと病気のこともわからないんだなと感じるようになりました」
「人が生きることを支える」という看護の原点を「在宅」でみつけたというMさんは、「訪問看護の醍醐味を知ってしまったから、もう病院には戻れません」と笑います。
そこで今回は、訪問看護師との関係について考えていきましょう。
訪問看護師の業務の特性とは
訪問看護とは、主に介護保険制度における居宅介護サービス提供機関の1つである訪問看護ステーションから、在宅で療養する人の自宅に看護師が訪問して行う看護業務です。
このとき、訪問看護師はかかりつけ医の指示に基づいて、健康状態のチェックと必要な医療処置、日常生活動作の訓練や介助という一般の看護サービスの提供を行います。なかでも訪問看護師の業務には、病院や診療所の看護師にはない、いくつかの特性があります。
まず、病院と異なり、患者が自宅という一人ひとり異なる自分だけの空間と時間のなかに存在することです。そのなかで看護師は、単に看護業務をこなすだけでなく、生活環境や生活様式、価値観、死生観など包括的にとらえ、その人に丸ごとかかわることが求められます。
次に、基本的には1人で患者宅を訪問するため、医師の指示を待つのではなく、医療的な判断や決定を自分で行わなければならない場面が出てくることも特徴です。地域における連携の柱として、医療と介護にかかわる多職種との綿密な連絡や調整、医療情報の集約・発信なども業務に含まれます。
このとき、訪問看護師はかかりつけ医の指示に基づいて、健康状態のチェックと必要な医療処置、日常生活動作の訓練や介助という一般の看護サービスの提供を行います。なかでも訪問看護師の業務には、病院や診療所の看護師にはない、いくつかの特性があります。
まず、病院と異なり、患者が自宅という一人ひとり異なる自分だけの空間と時間のなかに存在することです。そのなかで看護師は、単に看護業務をこなすだけでなく、生活環境や生活様式、価値観、死生観など包括的にとらえ、その人に丸ごとかかわることが求められます。
次に、基本的には1人で患者宅を訪問するため、医師の指示を待つのではなく、医療的な判断や決定を自分で行わなければならない場面が出てくることも特徴です。地域における連携の柱として、医療と介護にかかわる多職種との綿密な連絡や調整、医療情報の集約・発信なども業務に含まれます。
終末期から看取りのかかわり
皆さんが、人生の終末期を住み慣れた生活の場で過ごし、安心して最期を迎えたいと望む時、家族の負担の軽減と24時間の安心の保証が重要なポイントであることは、連載の第6回目で伝えました。
この2つを補完すべく、訪問看護師は医療的な処置や介助のみならず、本人や家族の精神面のケアも心がけ、病状が変化したときの24時間緊急対応も行います。
加えて、訪問看護師が最も本領を発揮するのは、終末期から看取りの場面です。死に向かう過程では、心身の状態はさまざまに変化します。そこで訪問看護師が適切に対応することによって、本人と家族に残された大切な時間を自宅で有意義に過ごし、死の瞬間を満足して迎えることができるのです。
在宅での看取りの後は、「エンゼルケア」という遺体の処置を、訪問看護師が家族と一緒に行うことが一般的です。また、大切な人を亡くした遺族の悲しみを乗り越える過程を支援する「グリーフケア(悲嘆のケア)」も訪問看護師の役割といえます。
この2つを補完すべく、訪問看護師は医療的な処置や介助のみならず、本人や家族の精神面のケアも心がけ、病状が変化したときの24時間緊急対応も行います。
加えて、訪問看護師が最も本領を発揮するのは、終末期から看取りの場面です。死に向かう過程では、心身の状態はさまざまに変化します。そこで訪問看護師が適切に対応することによって、本人と家族に残された大切な時間を自宅で有意義に過ごし、死の瞬間を満足して迎えることができるのです。
在宅での看取りの後は、「エンゼルケア」という遺体の処置を、訪問看護師が家族と一緒に行うことが一般的です。また、大切な人を亡くした遺族の悲しみを乗り越える過程を支援する「グリーフケア(悲嘆のケア)」も訪問看護師の役割といえます。
地域医療再生の切り札
「病気になっても尊厳を失わず、最期まで自宅で暮らしたい」と望むのであれば、在宅療養開始の段階から、訪問看護師に定期的に健康状態をチェックしてもらいましょう。そして、身体面、精神面を中心とした療養生活上のアドバイスを受けることができ、必要時には緊急訪問してもらえる関係を作ることで、安定した在宅療養の継続が可能となります。
訪問看護師と連携することで、在宅医療を実践する医師の負担は相当に軽減されます。まさに訪問看護は、地域医療再生の切り札といえるのです。
次回は、6月15日(金)更新予定です。
訪問看護師と連携することで、在宅医療を実践する医師の負担は相当に軽減されます。まさに訪問看護は、地域医療再生の切り札といえるのです。
次回は、6月15日(金)更新予定です。