第5回 「在宅死」を支えるために その1
医療提供者の取り組み
「自宅で死にたい」という希望が叶えられるためには、本人の決意と家族の覚悟に加えて、周囲のサポートが必要です。今回は、医療を提供する側が患者のサポーターとしての役割を果たすために、具体的にどのような取り組みを行っているか、今後どのように取り組んでいくべきかについて、現状の問題点を整理しながら紹介します。
在宅医師同士の連携
現在多くの地域で、在宅医療を実践する医師の数が不足しているため、患者の依頼や負担が特定の診療所に集中し、医師が消耗する場合があります。医師の燃え尽きや立ち去りが起こると、地域の在宅医療の受け皿はさらに減ってしまう悪循環に陥ります。
そこで、24時間365日体制という大きな負担を1人で抱え込まないために、在宅医療を実践する複数の医療機関が連携やグループ化を行っている地域、在宅主治医以外に異なる診療所の医師を副主治医として選出し、2人体制で1人の在宅患者を診る方法を採用している医師会もあります。
そこで、24時間365日体制という大きな負担を1人で抱え込まないために、在宅医療を実践する複数の医療機関が連携やグループ化を行っている地域、在宅主治医以外に異なる診療所の医師を副主治医として選出し、2人体制で1人の在宅患者を診る方法を採用している医師会もあります。
他職種との連携
在宅医療は地域におけるチーム医療なので、リーダー的存在である在宅医は、他の職種のメンバーとしっかり連携しなければなりません。そのために、多職種が集まって行われる担当者会議や退院前カンファレンスに積極的に参加することが重要です。
また、地域の医師会主導で在宅医療の勉強会や研修会を開催したり、多職種合同の懇親会を開くなど、「顔の見える連携」に努める地域も増えつつあります。
また、地域の医師会主導で在宅医療の勉強会や研修会を開催したり、多職種合同の懇親会を開くなど、「顔の見える連携」に努める地域も増えつつあります。
病院医師の意識改革
病院における高度急性期医療から、地域に密着した在宅医療へのシフトという現代医療の転換期を迎えるなかで、病院に勤務する医師の意識の転換が最も遅れているといわれています。
元来、医療は病院から在宅まで一体のものです。しかし、病院の担当医師が、在宅の医療やケアについての知識を十分にもちあわせず、必要性を認識していなければ、医療は分断され、患者は自宅に戻れるタイミングを逃し、在宅療養や在宅死のチャンスを失うことになりかねません。
そこで、入院から在宅につなぐ時の退院前カンファレンスや、地域における在宅医療に関する勉強会や症例検討会などの開催だけではなく、病院医師の在宅訪問診療への同行、在宅医と病院担当医の電子カルテ共有閲覧システム、在宅支援診療所の医師の病院での在宅専門外来など、病院の医師が在宅医療に接することができる機会を増やす努力が地道に行われています。
元来、医療は病院から在宅まで一体のものです。しかし、病院の担当医師が、在宅の医療やケアについての知識を十分にもちあわせず、必要性を認識していなければ、医療は分断され、患者は自宅に戻れるタイミングを逃し、在宅療養や在宅死のチャンスを失うことになりかねません。
そこで、入院から在宅につなぐ時の退院前カンファレンスや、地域における在宅医療に関する勉強会や症例検討会などの開催だけではなく、病院医師の在宅訪問診療への同行、在宅医と病院担当医の電子カルテ共有閲覧システム、在宅支援診療所の医師の病院での在宅専門外来など、病院の医師が在宅医療に接することができる機会を増やす努力が地道に行われています。
教育と研修
これまでの臓器別、疾患別の専門的な病院医療だけの医学教育を見直し、心理学的、哲学的、社会学的な側面をもつ全人的な医学である在宅医療教育を行うことや、在宅医療の実践に必要とされる医療的な知識や技術、さらには介護や福祉の知識の重要性が認識されるようになりました。
これらの教育や研修を、大学病院や医師会、在宅医療を推進するNPO団体などが、学生や若手医師ばかりではなく、病院の医師や地域の開業医に対して行うことで、在宅医療の普及や質の向上を目指すという動きも少しずつみられるようになっています。
次回は、4月6日(金)更新予定です。
これらの教育や研修を、大学病院や医師会、在宅医療を推進するNPO団体などが、学生や若手医師ばかりではなく、病院の医師や地域の開業医に対して行うことで、在宅医療の普及や質の向上を目指すという動きも少しずつみられるようになっています。
次回は、4月6日(金)更新予定です。