第2回 在宅医療の意味
在宅医療のイメージはさまざま
「医療機器もない自宅で、一体どんな医療ができるのですか?」
「誰でもお願いすれば往診してくれるのですか?」
このように、在宅医療についての質問はさまざまです。中には、「お医者さんにどれくらい(お金を)包めばよいのでしょう」といった質問もあるそうです。「在宅医療」というと、皆さん何となくイメージできるようですが、一般的には正確に認知されていないのが実情です。
「誰でもお願いすれば往診してくれるのですか?」
このように、在宅医療についての質問はさまざまです。中には、「お医者さんにどれくらい(お金を)包めばよいのでしょう」といった質問もあるそうです。「在宅医療」というと、皆さん何となくイメージできるようですが、一般的には正確に認知されていないのが実情です。
在宅医療を実践する「在宅支援診療所」
ここ数十年、日本では「外来」と「入院」が中心の医療が展開されてきましたが、近年、在宅医療は「第三の医療」として注目されるようになりました。
在宅医療は 病気のために通院が困難となった患者の居宅に出向いて行われるもので、計画して定期的に診察に伺う「訪問診療」と、主に定期的に訪問している患者の病状が悪化した時に緊急で行う「往診」があります。病院でなければできない大がかりな検査や手術など以外、多くの検査や治療は自宅で可能です。もちろん保険診療なので、特別なお金はほとんどかかりません。
在宅医療を実践している医療機関の大多数は診療所です。その約半数は「在宅支援診療所」と呼ばれます。在宅支援診療所とは2006年に創設されたもので、主な要件の中に「24時間いつでも連絡がつくこと」「必要に応じて24時間緊急往診を受け付けること」があります。
在宅支援診療所の中でも、在宅医療専門の医療機関は少なく、外来と訪問を両方行っている医療機関が圧倒的に多いのが実態です。在宅医療を実践する残り半数、在宅支援診療所の申請をしていない診療所でも、3 割以上が在宅の看取りを行っているという調査結果もあります。診療所だけではなく、平成20年に新設された24時間365日体制で在宅医療を行う在宅療養支援病院も、少しずつですが増えています。
在宅医療は 病気のために通院が困難となった患者の居宅に出向いて行われるもので、計画して定期的に診察に伺う「訪問診療」と、主に定期的に訪問している患者の病状が悪化した時に緊急で行う「往診」があります。病院でなければできない大がかりな検査や手術など以外、多くの検査や治療は自宅で可能です。もちろん保険診療なので、特別なお金はほとんどかかりません。
在宅医療を実践している医療機関の大多数は診療所です。その約半数は「在宅支援診療所」と呼ばれます。在宅支援診療所とは2006年に創設されたもので、主な要件の中に「24時間いつでも連絡がつくこと」「必要に応じて24時間緊急往診を受け付けること」があります。
在宅支援診療所の中でも、在宅医療専門の医療機関は少なく、外来と訪問を両方行っている医療機関が圧倒的に多いのが実態です。在宅医療を実践する残り半数、在宅支援診療所の申請をしていない診療所でも、3 割以上が在宅の看取りを行っているという調査結果もあります。診療所だけではなく、平成20年に新設された24時間365日体制で在宅医療を行う在宅療養支援病院も、少しずつですが増えています。
チームで「支える」在宅医療
それでは、病院で行われる医療と在宅医療はどこがどのように異なるのでしょうか。
病院の医療は患者が出向いて受ける医療なので、病院の文化に患者が合わせる必要があります。基本的に病院は病気を治すことが目的で、病院の医療チームで行う「闘う医療」です。
一方在宅医療は、患者の自宅に上がらせていただき、許可を得て行われる医療です。家庭の文化に医療者が合わせなくてはなりません。病気だけにアプローチするのではなく、患者を一人の人間としてとらえ、その人をとりまく家族や生活に目を向けます。病気や障害をもつ人の生活を、その人のために地域に作られる医療や介護の専門職からなるチームで「支える」のが在宅医療です。
在宅療養のその先には在宅死が存在します。医療実践の延長線上にある「死」をしっかりと見すえ、いつでもその人のそばでその人とともにありながら、その魂に真正面から向き合う姿勢を持ち続けることが、在宅医療の真の在り方です。現代社会が失いつつあるものを医療の場から問い直し、それを取り戻していくことが、在宅医療が担っている役割の一つであるといっても過言ではありません。
多くの人は、人生の最期を住み慣れたわが家で過ごし、愛する人に見守られながら死を迎えたいと望んでいます。その希望を叶えるためのサポート役である在宅医療とは、一体どのようなものなのか、患者や家族だけではなく、医療や介護を提供する側も正確な知識をもたなければなりません。
本人を含め、その「死」に向き合う人たちが、お互いの情報とそれぞれの心を共有できた時、人生における最も荘厳な場面である死の瞬間が、送られる人にとっても送る側にとっても満足できるものになるのです。
次回は、2月17日(金)更新予定です。
病院の医療は患者が出向いて受ける医療なので、病院の文化に患者が合わせる必要があります。基本的に病院は病気を治すことが目的で、病院の医療チームで行う「闘う医療」です。
一方在宅医療は、患者の自宅に上がらせていただき、許可を得て行われる医療です。家庭の文化に医療者が合わせなくてはなりません。病気だけにアプローチするのではなく、患者を一人の人間としてとらえ、その人をとりまく家族や生活に目を向けます。病気や障害をもつ人の生活を、その人のために地域に作られる医療や介護の専門職からなるチームで「支える」のが在宅医療です。
在宅療養のその先には在宅死が存在します。医療実践の延長線上にある「死」をしっかりと見すえ、いつでもその人のそばでその人とともにありながら、その魂に真正面から向き合う姿勢を持ち続けることが、在宅医療の真の在り方です。現代社会が失いつつあるものを医療の場から問い直し、それを取り戻していくことが、在宅医療が担っている役割の一つであるといっても過言ではありません。
多くの人は、人生の最期を住み慣れたわが家で過ごし、愛する人に見守られながら死を迎えたいと望んでいます。その希望を叶えるためのサポート役である在宅医療とは、一体どのようなものなのか、患者や家族だけではなく、医療や介護を提供する側も正確な知識をもたなければなりません。
本人を含め、その「死」に向き合う人たちが、お互いの情報とそれぞれの心を共有できた時、人生における最も荘厳な場面である死の瞬間が、送られる人にとっても送る側にとっても満足できるものになるのです。
次回は、2月17日(金)更新予定です。