人と接する仕事には、守るべき最低限のルールがあります。本連載では、介護・福祉の仕事で身につけておくべき超基本マナーから、仕事への態度・姿勢まで皆で考え、プロとしてのスキルを磨いていきたいと思います。
第7回 何のための「連携」か
前回も述べましたように、多職種による連携では「共通の目標」のもと、その達成に向けて一緒に活動したり働くこととなります。
しかし、連携をする理由に「自分が楽になるため」が少しでもあると、連携はうまくいきません。
しかし、連携をする理由に「自分が楽になるため」が少しでもあると、連携はうまくいきません。
当たり前のことですが、連携は一方通行ではなく双方向によって成立しています。このような場合は、連携とはいえず、仕事や責任のなすりつけ合いになってしまいます。自分の都合を優先させた連携の網は脆く、中心にいるはずのクライエントが網から転落する可能性が大きい訳です。
「誰のための連携か」を常に肝に銘じ、共通の目標はあくまでも「クライエントの幸福」を中心とすべきことを意識すべきでしょう。
「誰のための連携か」を常に肝に銘じ、共通の目標はあくまでも「クライエントの幸福」を中心とすべきことを意識すべきでしょう。
プロとして自分は何ができるのか
さらに大切なのは、その目標達成において「自分は何ができるのか」を、連携相手に対して明確にすることです。単に「助けて欲しい」「お願いしたい」と相手に何かをしてもらおうとするのではなく、双方向の関係が重要なのです。
例えば、「無年金78歳男性、独り暮らし、服薬にて血糖をコントロールしている方」に対するチームケアを構築する際、訪問看護ステーションの所長に依頼をかけるのであれば、「生活保護の申請や福祉電話の導入、民生委員さんへの依頼など、社会福祉の制度利用手続きは私が行いますので、服薬の指導や環境整備、管理については、所長さんにお願いできませんでしょうか?」などの言葉で依頼をかけることが望ましいでしょう。
クライエントの幸福に向けて自分は何ができるのかをはっきりさせる、これが専門職としての力量を明らかにすることにもなります。そして、この行為、この姿勢こそが、連携がスムースに運ぶための一番必要な促進要因である「信頼」を生み出すこととなります。
「思い」(クライエントの幸福)が「言葉」(私は〜ができます)を生み、「行動」(連携の実践)を起こします。「行動」の結果に「意味づけ」(自分なりの振り返りや上司の助言)を行うことでさらに「思い」が深まります。この循環から、専門性が蓄積されていくのです。
以上、連携の基礎となる考え方や望ましい姿勢についてお話ししました。次回は、もう少し具体的に、連携における言葉かけや電話・FAXなどによる連携方法について考えてみたいと思います。
次回は7月15日(水)更新予定です。
例えば、「無年金78歳男性、独り暮らし、服薬にて血糖をコントロールしている方」に対するチームケアを構築する際、訪問看護ステーションの所長に依頼をかけるのであれば、「生活保護の申請や福祉電話の導入、民生委員さんへの依頼など、社会福祉の制度利用手続きは私が行いますので、服薬の指導や環境整備、管理については、所長さんにお願いできませんでしょうか?」などの言葉で依頼をかけることが望ましいでしょう。
クライエントの幸福に向けて自分は何ができるのかをはっきりさせる、これが専門職としての力量を明らかにすることにもなります。そして、この行為、この姿勢こそが、連携がスムースに運ぶための一番必要な促進要因である「信頼」を生み出すこととなります。
「思い」(クライエントの幸福)が「言葉」(私は〜ができます)を生み、「行動」(連携の実践)を起こします。「行動」の結果に「意味づけ」(自分なりの振り返りや上司の助言)を行うことでさらに「思い」が深まります。この循環から、専門性が蓄積されていくのです。
以上、連携の基礎となる考え方や望ましい姿勢についてお話ししました。次回は、もう少し具体的に、連携における言葉かけや電話・FAXなどによる連携方法について考えてみたいと思います。
次回は7月15日(水)更新予定です。