人と接する仕事には、守るべき最低限のルールがあります。本連載では、介護・福祉の仕事で身につけておくべき超基本マナーから、仕事への態度・姿勢まで皆で考え、プロとしてのスキルを磨いていきたいと思います。
第5回 自分を知って、相手がわかる
自分の反応傾向を知る
自分を知るとは、専門用語では「自己覚知」と言います。一般に自己覚知は、援助者が自らの性格、個性を知り、感情、態度を意識的にコントロールすることで、援助者の価値観や感情に左右されない援助を提供するために重要とされています。
援助者は、自らを知り、必要なコントロールをしなければなりません。難しいことのようですが、具体的には、自分はどのような場合に、どのような反応をするのかについて知っておくことといえます。
例えば…
(1)自分は熱しやすいタイプで、クライエントに対し「何とかしなければ」と焦る傾向にある。そのため、場合によっては相手の意を汲むことを忘れてしまう。
(2)大きな声で当たりの強い男性は、なんだか苦手である。
(3)ひとり暮らしの男性クライエントには自分の祖父を重ねてしまい、ついついお節介になってしまうが、相手は嫌がる傾向にある。
(4)仕事の領域外のことでも人から何か頼られると、「できません」とは言えずどうしたらよいのかいつも悩む。など
いかがですか? これらの例は自分で自覚していることもあれば、無意識のうちに反応している場合もあると思います。この「無意識」が要注意なのです。
「鏡」の大切さ
世に言われる「困難事例」も、援助者自身が自覚していない援助者側の個性や傾向により、「困難」と思いこんでいる場合もあります。
私自身も、なぜかあるクライエントとうまく関係がつくれなくて悩んでいるときに、「荒木さんは物事を深刻に考えすぎるよ。もっと相手の力を信じたらどう?」と、当時隣町にいた後輩の社協職員から言われ「ハッ」としたことがあります
私の感情傾向と、クライエントがひとり暮らしであった背景から、無意識のうちにクライエントは何もできない人と判断し、それなのに援助を受け入れないと勝手に困難事例と決めつけていたのでした。
自分の顔を見るためには「鏡」が必要ですね。自分で自己覚知を心がけるだけでなく、職場の先輩や同僚など周りからの助言も大切な「鏡」となります。
さて、第1回から5回にわたり、援助の基礎的枠組みである訪問面接のなかで、援助者である私たちが、クライエントに与える影響をテーマに解説をしてきました。
援助者が、感じて、考え、起こす行動は、クラエイントから受ける影響をベースにしています。よって、自分の感情の傾向とクライエントとの関係性に、どれだけ意識的になれるかが重要になってきます。自分の傾向がわかれば、おのずとクライエントをどうとらえているのかも見えてきて、すなわちクライエントがわかることにつながるのです。
対人援助の重要な道具の1つに、私たち自身の体と心があることがおわかりいただけたと思います。
私自身も、なぜかあるクライエントとうまく関係がつくれなくて悩んでいるときに、「荒木さんは物事を深刻に考えすぎるよ。もっと相手の力を信じたらどう?」と、当時隣町にいた後輩の社協職員から言われ「ハッ」としたことがあります
私の感情傾向と、クライエントがひとり暮らしであった背景から、無意識のうちにクライエントは何もできない人と判断し、それなのに援助を受け入れないと勝手に困難事例と決めつけていたのでした。
自分の顔を見るためには「鏡」が必要ですね。自分で自己覚知を心がけるだけでなく、職場の先輩や同僚など周りからの助言も大切な「鏡」となります。
さて、第1回から5回にわたり、援助の基礎的枠組みである訪問面接のなかで、援助者である私たちが、クライエントに与える影響をテーマに解説をしてきました。
援助者が、感じて、考え、起こす行動は、クラエイントから受ける影響をベースにしています。よって、自分の感情の傾向とクライエントとの関係性に、どれだけ意識的になれるかが重要になってきます。自分の傾向がわかれば、おのずとクライエントをどうとらえているのかも見えてきて、すなわちクライエントがわかることにつながるのです。
対人援助の重要な道具の1つに、私たち自身の体と心があることがおわかりいただけたと思います。