人と接する仕事には、守るべき最低限のルールがあります。本連載では、介護・福祉の仕事で身につけておくべき超基本マナーから、仕事への態度・姿勢まで皆で考え、プロとしてのスキルを磨いていきたいと思います。
第4回 磨こう人間性!
最初の出会いにおいて形成された第1印象、さらに、時間が進むなかで、あなたの話し方や相対する距離や角度、しぐさなどにより、利用者はあなたへの第2の印象を深めていきます。最終的には、第3の印象ともいえるあなたの「人間性」について理解を深めていくことになるのです。このポイントを意識するかどうかが、あなたがプロになれるかどうかの分かれ目になります。
以下の図は、対人援助職としてもっていたい要素を階層的に表現しています。
対人援助職としてもちたい要素
「人間力」は、第1回から3回でも解説をした、例えば「見た目」に留意する、話し方を工夫するなど、主に知識や技術的な側面が大きいものです。つまり、社会で生きていくうえで必要となる技術ともいえます。
一方、「人間性」とは、その人が生きてきた過程で、何に価値を見出し何を大切にするのかといったことにあり、人生における長い時間の積み重ねのなかで育まれていくものです。ゆえに、ごまかしがききません。人を、人生を理解することを「感性」を磨くこととしてとらえれば、仕事以外においても見聞を広める努力をしたり、映画や小説、絵画などを見て人間理解を深める努力も必要かもしれません。
また、図示したとおり、「技術」は「倫理観・価値観・人間観」あってのものであり、たとえ卓越した技術であっても高い人間性に裏打ちされたものでないと意味がなく、使用を誤る危険性が高いこともおわかりいただけると思います。
一方、「人間性」とは、その人が生きてきた過程で、何に価値を見出し何を大切にするのかといったことにあり、人生における長い時間の積み重ねのなかで育まれていくものです。ゆえに、ごまかしがききません。人を、人生を理解することを「感性」を磨くこととしてとらえれば、仕事以外においても見聞を広める努力をしたり、映画や小説、絵画などを見て人間理解を深める努力も必要かもしれません。
また、図示したとおり、「技術」は「倫理観・価値観・人間観」あってのものであり、たとえ卓越した技術であっても高い人間性に裏打ちされたものでないと意味がなく、使用を誤る危険性が高いこともおわかりいただけると思います。
隠せない価値観〜私の事例から〜
私は地域包括支援センターという仕事柄、当然、高齢の方とかかわることが多くなります。話題は戦中・戦後の苦労話や古き良き日本の伝統文化などになることもあります。いろいろとお話を傾聴するよう努力しますが、あるとき利用者に以下のように言われ、ドキッとしました。
「荒木さんは、いろいろお話を聞いていただけるけど、例えるなら純アメリカね。私は日本の美を尊重しているの。その点では私とは合わないわね…」
これには参りました。「見抜かれた」観が大きくありました。
私は戦後、日本の高度経済成長まっただなかに育ち、ビートルズなどの洋楽に染まり、アメリカンドリームを夢見た世代です。このような世代による価値観の相違は確実に存在します。
しかし、この例は、「だからダメである」と結論づけるものではありません。
この場合、私と利用者とお互いがもっている価値観の違いを認識することが大切なのです。つまり、自分がどんな人間なのかを熟知して、利用者に対峙することの重要性を教訓としています。
自分を知る。これを「自己覚知(じこかくち)」といいます。私たち対人援助職にとってたいへん重要なこの「自己覚知」について、次回一緒に考えたいと思います。
「荒木さんは、いろいろお話を聞いていただけるけど、例えるなら純アメリカね。私は日本の美を尊重しているの。その点では私とは合わないわね…」
これには参りました。「見抜かれた」観が大きくありました。
私は戦後、日本の高度経済成長まっただなかに育ち、ビートルズなどの洋楽に染まり、アメリカンドリームを夢見た世代です。このような世代による価値観の相違は確実に存在します。
しかし、この例は、「だからダメである」と結論づけるものではありません。
この場合、私と利用者とお互いがもっている価値観の違いを認識することが大切なのです。つまり、自分がどんな人間なのかを熟知して、利用者に対峙することの重要性を教訓としています。
自分を知る。これを「自己覚知(じこかくち)」といいます。私たち対人援助職にとってたいへん重要なこの「自己覚知」について、次回一緒に考えたいと思います。