お金と制度
同居家族がいる場合、訪問介護の生活援助は利用できるのでしょうか。
73歳母(要介護1)と73歳父(身体障害者4級)が遠方で二人暮しをしています。
これからのことを考え、両親の近くに住むことを検討中ですが、「同居家族(子ども世帯)がいる場合は、訪問介護(特に家事援助)が受けられない」と聞いたのですが、本当でしょうか? また、同居ではなく、近所に住んでいる場合は、大丈夫なのでしょうか?
両親の近くに住むには、夫に転職してもらわなければならず、夫に負担を与え、収入も減ります。その上、介護の負担も増えるとなると、遠距離で時々帰省する今のスタイルがいいのではないかと、悩んでおります。
これからのことを考え、両親の近くに住むことを検討中ですが、「同居家族(子ども世帯)がいる場合は、訪問介護(特に家事援助)が受けられない」と聞いたのですが、本当でしょうか? また、同居ではなく、近所に住んでいる場合は、大丈夫なのでしょうか?
両親の近くに住むには、夫に転職してもらわなければならず、夫に負担を与え、収入も減ります。その上、介護の負担も増えるとなると、遠距離で時々帰省する今のスタイルがいいのではないかと、悩んでおります。
ゆきモモさん〈女性〉より
同居家族がいる場合、訪問介護の生活援助は基本的には利用できませんが、例外的に利用できる場合もあります。ケアマネジャーさんと話し合うことが大切です。
ゆきモモさま、こんにちは。介護のソムリエ・てらこです。質問をお送りいただきまして、ありがとうございました。ゆきモモさまのご質問には、医療法人丘病院で理学療法士/ケアマネジャー/医療ソーシャルワーカーとして活躍している松永俊夫さんに回答していただきます。
ゆきモモさま、こんにちは。松永です。
さて、遠方で暮らしておられるご両親のこれからの生活を心配して、ご家族で転居までお考え中なのですね。相談を拝見して、重要な決断をしようとしておられるご様子がよく伝わってきました。
介護保険制度について話を聞かれ、同居家族がいると訪問介護の生活援助が受けられないのではないかと心配されているのですね。質問の内容から同居の場合と、近所に住む場合とで分けて考えてみました。
ゆきモモさま、こんにちは。松永です。
さて、遠方で暮らしておられるご両親のこれからの生活を心配して、ご家族で転居までお考え中なのですね。相談を拝見して、重要な決断をしようとしておられるご様子がよく伝わってきました。
介護保険制度について話を聞かれ、同居家族がいると訪問介護の生活援助が受けられないのではないかと心配されているのですね。質問の内容から同居の場合と、近所に住む場合とで分けて考えてみました。
同居の場合
一般的に、訪問介護の生活援助は、元気な同居家族がいる場合は、必要ないと判断されます。つまり、原則としてサービス提供が認められません。
この場合の同居とは、同一敷地内に居られることを指しており、隣り合わせに建った住宅も含みます。
しかし、例外として、同居や二世帯住宅でも、家族関係がこじれて支援が期待できない場合や、日中長時間にわたり家族が外出していて実質的に独居状態である場合は、生活援助を利用できる場合もあります。
このように、機械的に生活援助は利用できないと、切り捨てられるということではありません。ケアマネジャーは市役所などの担当者と話し合い、どんなことがどのような事情で難しいのか把握して、対応策を検討します。
ゆきモモさんの場合、仮に同居したとしても、どんなことが可能で、どんな援助が難しいのか。たとえば、朝が早い仕事についており日常生活の細々したこと(必要な買物や昼食の準備など)を支えることは難しいけど、お休みの日や夜に掃除や洗濯はできるなどと、具体的にケアマネジャー(介護支援専門員)と話し合わ れることが大事です。
なお、同居の場合でも、身体的な介護は必要に応じて利用できます。
一般的に、訪問介護の生活援助は、元気な同居家族がいる場合は、必要ないと判断されます。つまり、原則としてサービス提供が認められません。
この場合の同居とは、同一敷地内に居られることを指しており、隣り合わせに建った住宅も含みます。
しかし、例外として、同居や二世帯住宅でも、家族関係がこじれて支援が期待できない場合や、日中長時間にわたり家族が外出していて実質的に独居状態である場合は、生活援助を利用できる場合もあります。
このように、機械的に生活援助は利用できないと、切り捨てられるということではありません。ケアマネジャーは市役所などの担当者と話し合い、どんなことがどのような事情で難しいのか把握して、対応策を検討します。
ゆきモモさんの場合、仮に同居したとしても、どんなことが可能で、どんな援助が難しいのか。たとえば、朝が早い仕事についており日常生活の細々したこと(必要な買物や昼食の準備など)を支えることは難しいけど、お休みの日や夜に掃除や洗濯はできるなどと、具体的にケアマネジャー(介護支援専門員)と話し合わ れることが大事です。
なお、同居の場合でも、身体的な介護は必要に応じて利用できます。
近所に住む場合
同居ではなく近所にお住まいになった場合は、原則、生活援助は利用できます。ただし、すべてを介護保険に任せるのではなく、たとえば仕事から帰ったら顔を見に行ってご両親の一日の様子を聞いたり、日頃の買い物や夕食の準備などを一緒にするなど、可能なことはご家族が介護に参加されたらいかがでしょうか。
同居ではなく近所にお住まいになった場合は、原則、生活援助は利用できます。ただし、すべてを介護保険に任せるのではなく、たとえば仕事から帰ったら顔を見に行ってご両親の一日の様子を聞いたり、日頃の買い物や夕食の準備などを一緒にするなど、可能なことはご家族が介護に参加されたらいかがでしょうか。
介護保険制度外のサービスも活用しよう
介護保険制度外でも、内容によっては家事援助を中心にした有料サービスや買い物に同伴してくれるボランティアなどの支援も期待できます。ご両親が長年作られてきたご近所との関係でも、手助けしてくれる人があるかもしれませんね。さまざまな支援方法を検討することが大切です。お母さんを担当されているケアマネジャーと一度相談されたらいかがでしょうか。
転居されることによってご両親が安心され、元気になられるという良い面もあると思います。介護保険で生活援助が使えるかどうかだけで心配されず、制度が利用できないときはそれに代わるサービスを探し出すということもケアマネジャーの仕事です。ケアマネジャーの力を活用していただけたらと思います。
介護保険制度外でも、内容によっては家事援助を中心にした有料サービスや買い物に同伴してくれるボランティアなどの支援も期待できます。ご両親が長年作られてきたご近所との関係でも、手助けしてくれる人があるかもしれませんね。さまざまな支援方法を検討することが大切です。お母さんを担当されているケアマネジャーと一度相談されたらいかがでしょうか。
転居されることによってご両親が安心され、元気になられるという良い面もあると思います。介護保険で生活援助が使えるかどうかだけで心配されず、制度が利用できないときはそれに代わるサービスを探し出すということもケアマネジャーの仕事です。ケアマネジャーの力を活用していただけたらと思います。