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あなたがあなたであるために 補注新装版
自分らしく生きるための自閉スペクトラム・ガイド

内容紹介

「当事者のあなた」が臨床の主人公であることを、20年の歳月をかけて当たり前の事実へと変えた

初版発行から20年、累計発行5万部のロングセラーを、内容を一部アップデートし、補注新装版として新たに発行しました。
本書は、自閉スペクトラム(AS)という脳タイプの人やその家族に向けて書かれており、ASの脳タイプに関する基本的な知識とともに、当事者が抱える暮らしにくさとそれを軽減するための特別な工夫などを紹介しています。また、わかりやすい文章で、一貫して当事者目線でやさしく語られていることも本書の特徴の一つです。

主な変更点

今回の「補注新装版」では、主に以下の点で内容の見直しを行いました。
①診断名などの見直し
・アスペルガー症候群→自閉スペクトラム・AS、自閉スペクトラム症・ASD
・ADHD、LD、DCDの訳語の変更(ICD-11に準拠)
②統計に関する内容の見直し
③本人やサポーター向けの情報(相談場所など)の追加
④本人向けアドバイス「注意困難(うっかり)対策」の追加

編集者から読者へのメッセージ

現在では「発達障害」を取り上げた書籍が数多く発行されており、社会での理解や支援制度の整備も進んできています。本書の初版は、今のような状況になる以前に発行され、これまで多くの方に読み継がれてきました。
本書を読むと、AS(自閉スペクトラム)の当事者に対する著者の優しい眼差しと、否定ではなく理解し寄り添う姿勢が大切にされていることが伝わってきます。こうした姿勢こそが、本書が多くの人々に長く支持され続けている理由であることは、Amazonに寄せられた多くのレビューからも明らかです。
しかし、発行から20年がたち、診断名や支援に関する情報など、どうしても実情に合わない記述が増えてきたことも事実です。とは言え、著者が伝えたい内容の本質は、決して古びるものではありません。そこで、診断名の更新や内容の一部見直し、情報の追加を行うことで、それらを解消しました。
本書がこれからも長く読み継がれ、多くの子どもたちに自信を与えるとともに、暮らしやすくなるための工夫を考えるきっかけになると信じています。

主な目次

はじめに/監修者の言葉/この本の使い方
パート①説明編 ASの脳に関する医学研究/ASやASDの人たちはどのくらいの割合でいるのか/ASに関する詳しい説明/ASの人が知っておきたい「脳の一時的な不調」に関する知識
パート②アドバイス編 なぜ「特別な工夫」をするのか/「特別な工夫」を考える/趣味に関する5つのトラブル/ASの脳タイプだということを誰に伝えるべきか/あなたのサポーターを確認する/もしあなたがたった一人でこの本を読んでいるとしたら/相談できる場所を見つける
サポーターへのお願い/サポーターのための情報入手先
資料1:時間を割り振るための手順
資料2:注意困難(うっかり)対策

著者情報

監修者:Lorna Wing (ローナ・ウィング)
英国の精神科医。自閉スペクトラムやアスペルガー症候群などの概念と名称を提唱した自閉症研究のパイオニア。親が自閉症の原因とされた時代を、ASD の子どもの母として、医師として、生き抜いた女性でもある。研究業績のみならず、英国自閉症協会設立への尽力や自閉症診断評価の専門機関エリオット・ハウス(現在のローナ・ウィングセンター)設立など臨床家としても多くの業績を残した。真実探求への揺るぎない信念と公平さと優しさとユーモアに溢れた人柄は多くの人々の敬愛を集めた。2014 年没。

著者:𠮷田 友子(よしだ ゆうこ)
1985年、東京慈恵会医科大学卒業。専門は発達精神医学。横浜市総合リハビリテーションセンター児童精神科、横浜市北部地域療育センター診療係長などを経てよこはま発達クリニックに20 年間勤務。2020 年から千代田クリニック院長。2005 年にiPEC(子どもとおとなの心理学的医学教育研究所)を設立し、AS の子どもやおとなの自己理解支援等に注力。複数大学での学生面談にも従事している。
主な著書は、『高機能自閉症・アスペルガー症候群 「その子らしさ」を生かす子育て 改訂版』(中央法規出版、初版2003 年・改訂版2009 年)、『自閉スペクトラム 「自分のこと」のおしえ方 増補版』(Gakken、初版2011 年・増補版2023 年)など。本書初版と『「その子らしさ」を生かす子育て』は、英国英語版と米国英語版がJessica Kingsley 社から出版されている。