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教師、支援者、親のための
境界知能の人の特性と支援がわかる本

内容紹介

境界知能とは

医学的な定義はありませんが、IQが70から84の範囲にある人とされています。実行機能などの弱さがあり、学業面や生活面で困ることが出てくるという人たちが一定数存在しています。

「勉強ができない」

多くは、小学校低学年頃から、学校の勉強についていくのが難しくなっていきます。しかし、周囲からは単に「勉強が苦手」ぐらいにしか映らない場合が多く、教師や親からは「努力が足りない」「怠けている」とみられ、本人の自助努力に委ねられてしまうのです。

本人は深刻に悩んでいる

本人は「なぜみんなと同じようなことができないのか」と悩みながらも、なんとか周囲に追いつこうと頑張ります。それでもうまくいかなくて、友だちからはからかわれ、親からは叱られることが増えていき、メンタルヘルスの問題が生じる場合も出てきます。

制度の狭間にあり、支援が受けられない

知的障害や発達障害の場合は支援制度があり、認定があれば福祉的支援につながりやすいのですが、境界知能の場合はこうした制度的位置づけがなく、福祉的な支援を受けづらい立場にあります。

本書で伝えたいこと

わかりづらい、見えにくい境界知能の特性について、丁寧に詳しくお伝えします。支援などにおいては「ないないづくし」の現状ではありますが、それでも磨いておくべきスキルのこと、相談先などについても解説しています。
「自分は人よりできない」という思いを抱えながら生きている人たち、そして、教師や保護者の方たちへ向けて、境界知能への理解が深まり、サポートが広がることを切に願います。

編集者から読者へのメッセージ

第4の障害とも

発達障害の代表的なものとして自閉スペクトラム症、注意欠如多動症、そして学習障害(限局性学習症)があります。その第4の障害として、発達性協調運動症やこの境界知能が該当するという現場の声が聞かれます。

犯罪に巻き込まれることも

境界知能は軽度知的障害よりもさらに症状としては軽いケースとされる場合が多く、コミュニケーションなどにも一見問題はなく、従順的なために、運悪く悪い目的をもった人たちに利用されてしまうこともあります。人生を失わないためにも、境界知能の人にはサポートの手を差し伸べる必要があるのです。

主な目次

第1章 困っているのに助けてもらえない人たち
第2章 「境界知能」とは
第3症 境界知能は「発達障害」とどう違うのか
第4章 困ったとき、誰に相談すればよいのか
第5章 学校や会社でどんな支援が必要なのか
第6章 二次障害を防ぐためにできること

著者情報

著者:梅永雄二
早稲田大学 教育・総合科学学術院 教育心理学専修 教授。
専門分野は、発達障害臨床心理学、自閉スペクトラム症、キャリア教育、就労アセスメント、TEACCH Autism Program、職業リハビリテーション、特別支援教育。
障害者職業カウンセラーとして地域障害者職業センターに長年従事してから、障害者職業総合センター研究員、明星大学、宇都宮大学の教員を経て、現在に至る。
主に自閉症を中心とする発達障害児者の社会参加・職業的自立に関する研究を行っており、米国ノースカロライナ大学TEACCHプログラムにおける構造化による支援を推進している。各自治体での発達障害に関する教育支援や就労支援のプログラムの委員として指導・協力、年20~30回ほどは関連する講演で全国を回っている。著書に『15歳までに始めたい! 発達障害の子のライフスキル・トレーニング』、『発達障害の人の「就労支援」がわかる本 』(共に講談社)、『こんなサポートがあれば ! 』3巻シリーズ(エンパワメント研究所)など多数。