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第９回　好ましい対話しぐさ

　声をかけることは心をかけることだという。
　言葉には温度があるのだから、温かい心がにじみでた言葉を用いるように心を砕いてみよう。私たちは、とかく自分しかわからない言葉を一方的に話しがちなので、コミュニケーションがうまくいかないのだ。相手が理解できて納得するような、受けやすい言葉のボールを投げることが肝心なのである。
　つきあい上手が実践する対話しぐさのかくし味をいくつかわきまえておくとよいだろう。

自分流で会話にリズムを

　話題がなんであれ、それを話す人の独特の持ち味が加わってこそ、会話のリズムが生きてくる。したがって、週刊誌的な知識の切り売り程度の借り物でない“なにか”が、会話のなかに欲しい。
　どんなことでも自分の目で見て、自分の頭で考えたことを、自分の言葉で相手に伝えていく姿勢が大事だ。
　そこで個性的な会話が展開できて、相手の胸を打つようになるのである。

目しぐさ

　対話がはじまったら“うれしい話を聞かせていただきますよ”という感じのそぶりで、いつも目のなかで微笑むように心がけていくことだ。そうすると、おのずと口元がほころぶようになって、自然な笑顔ができる。そんな気持ちのゆとりがあることで、快く対話が弾み、ソフトでやさしいまなざしが好ましい印象を与えていく。
　こんな目しぐさばかりでなく、話がすばらしいときは眉を上げて感嘆する。心から納得できるときは、手で膝を打ちながらうなずいていく。手の届くところに相手がいれば、膝でも肩でもよいから軽く叩いていって親愛の情を示すとよい。
　要は、その会話に乗っていることをからだで表現して、あなたの人間くささを前面に出していくことだ。

ユーモア感覚

　陽性（ネアカ）の人はまわりを明るくしていく。陽性のベースになるのがユーモア感覚だ。
　人間なんてナニサマでもないのだから、自分で自分を笑う、あるいはからかう心の余裕があれば、他人から笑われたところで気にならないし、逆に相手を笑い飛ばすこともできるはずだ。
　人間関係がぎくしゃくしてくるのは、たいてい、この余裕と寛大さがないために起こる場合が多い。相手の心のなかにあなたのユーモア感覚をホットに焼きつけるには、「一つのユーモアは百万言にまさる」とわきまえて、言葉を日光のように凝集させて、簡潔かつスマートに語ることである。

青木匡光
(あおきまさみつ)

ヒューマン・メディエーター（人間接着業）、ビジネス評論家。1933年東京生まれ。小樽商科大学卒。三菱商事に10年間勤務したあと、広告会社に転職。1975年、独立してアソシエイツ・エイランを設立し、異業種交流の場を提供。また、サロン風のオフィスを「ヒューマンハーバー」として開放し、人間関係に悩む人たちに指針を与え、人生に意欲的な人同士を結び付けている。現在、異業種交流や人脈づくりのパイオニアとして講演、執筆活動で活躍中。著書に、『人間接着力―団塊世代よ、新友をさがせ』（教育評論社）、『人づきあいが苦にならない法』（PHP研究所）、『顔を広め味方をつくる法』（日本実業出版社）、『EQ人間が成功する』（産能大学出版部）など多数。