第７回　つきあいの持続法

　知人をしん友に変えていくには、時には相手に「さすが」と思わせるようなふるまい、しぐさが大切だ。相手によい刺激を与えることであなたの評価もアップすることだろう。

　相手に自分のことを印象づける演出としてハプニング・アクションはたいへん効果的だ。
　思い立って人を訪れる、贈り物をするといった行動は、相手に関心がなければ実際にはまずやらない。
　それで、その心づかいがわかる人にとっては、思いがけないふるまいがとても嬉しいことなのだ。また、そんな心づかいをしてくれる人は、ひと味ちがう人物という評価を与えられることが多い。
　したがって、こうすればあの人は喜んでくれそうだと何か思いつくことがあれば、そのことを即時実践に移してみるとよい。

　どんな人でもその胸の中には、だれにも踏み込んでもらいたくない聖域を持っている。
　人の心の中は七つ以上のベールに覆い隠されているものと考えたほうが無難だ。そうすれば、自分の聖域も守れて、しかも他人についてあれこれ干渉するようなこともなくなる。
　どうしてもベールを脱がざるを得ない場合には、接する相手の出方に応じて必要な部分のみにとどめておいたほうがよい。つきあいを深めていくうちに、みずからベールを脱いでくれたしん友にすぐれた素質を発見する喜びは格別である。
　人の聖域には、立ち入らずにそっとしておくのがマナーである。それに自分とは違ったことをするからといって、その人を軽蔑したり憎しみを抱いたりしないことだ。
　お互いの間に適当なスタンスを置きながらさらりとこなしていく、そんな浅い関係であるのが大人の洗練されたつきあいの知恵である。

　また、毎日の食事を大切にする人は、生きることをとても大切にする人だ。人生を豊かに楽しく生きようとしている人でもある。
　この日の食事は生涯に一度しか経験できないのだ。人との出会いのしかたもまったく同じである。
　料理づくりにおいての段どり、時間管理の手際よさ、味加減やおいしくみせる演出の気くばり方を知れば、相手の心づかいが理解できるようになる。
　この相手の心づかいを思いやる気持ちが、料理をいっそうおいしくする。心という調味料がグッと味をひきたてるのだ。
　「食」についてのあなたの感性を、人とのつきあいにもっと積極的に生かしてみたらどうだろう。