第24回 実技試験問題
試験課題
田中ひろさん(87歳)は、左上下肢に麻痺があり、衣服の着脱と移乗の動作に一部介助が必要です。車いすの移動は全介助です。
いすに座っている田中さんは、上着を着て、車いすで外出することを希望しています。
外は寒いので、寒くないように準備し、途中にある段差を越えて、玄関まで移動の介助をしてください。
車いすの点検は済んでいます。
田中さんの返事は、「はい」または「うなずく」だけです。
いすに座っている田中さんは、上着を着て、車いすで外出することを希望しています。
外は寒いので、寒くないように準備し、途中にある段差を越えて、玄関まで移動の介助をしてください。
車いすの点検は済んでいます。
田中さんの返事は、「はい」または「うなずく」だけです。
(試験時間は5分間以内です。)
試験室見取図
ポイント解説
介護福祉士国家試験「実技試験」を受験された皆さま、お疲れさまでした。とても緊張した時間だったと思います。普段の実力が発揮できたでしょうか。
昨年度は「歩行」の問題でしたが、今年は「移乗」の問題でしたね。利用者の名字は「田中さん」で、今回で3回目の登場になりました(過去の出題実績と傾向)。
では早速、第24回介護福祉士国家試験「実技試験」について、問題の整理とポイントの解説をしていきたいと思います。
昨年度は「歩行」の問題でしたが、今年は「移乗」の問題でしたね。利用者の名字は「田中さん」で、今回で3回目の登場になりました(過去の出題実績と傾向)。
では早速、第24回介護福祉士国家試験「実技試験」について、問題の整理とポイントの解説をしていきたいと思います。
問題の整理
1.「利用者」について
(1)田中ひろさん(87歳)
(2)「左上下肢に麻痺」がある。
(3)「衣服の着脱」と「移乗の動作」に「一部介助」が必要
(4) 「車いすの移動」は「全介助」
(5)車いすで外出することを希望している。
(6)田中さんは、「はい」または「うなずく」だけ。
2.介護内容
(1)田中ひろさん(87歳)
(2)「左上下肢に麻痺」がある。
(3)「衣服の着脱」と「移乗の動作」に「一部介助」が必要
(4) 「車いすの移動」は「全介助」
(5)車いすで外出することを希望している。
(6)田中さんは、「はい」または「うなずく」だけ。
2.介護内容
(1) | いすに座っている田中さんを車いすに移乗する。 |
(2) | 寒くないように準備する。→ 上着を着てもらい、膝かけを掛ける。 |
(3) | 車いすで玄関まで移動する。(途中で段差を越える) |
3.「試験環境について」(試験問題には、表記されていない内容)
(1) | 長机には「開きの上着(ボタンなし)」と「膝かけ」が置いてあった。 |
(2) | いすは、背もたれはあるが肘かけはなかった。 |
(3) | 途中の段差は、10cm程度の角材が置いてあった。 |
4.試験時間
5分間以内
5分間以内
ポイント解説
採点のポイントになりそうな点を「出題基準」と「介護内容」「制限時間」に分けて考えてみたいと思います(出題基準については、こちらを参照してください)。
1.出題基準の点から
(1)安全・安楽
(2)自立支援
(3)個人の尊厳
(4)事前の説明と同意
(5)自己決定
(6)健康状態の把握
2.「介護内容」の点から
(1)上着の着衣
(2)車いすへの移乗
(3)車いす操作
3.制限時間
「5分間以内」に課題を終了することができたか。
1.出題基準の点から
(1)安全・安楽
車いすのブレーキを忘れずにできたか。 | |
いすから車いすへ移乗する際、転倒・強打などの危険を伴う行為はなかったか。 | |
着衣や車いすへの移乗の際に、麻痺側の保護は適切に行えたか。 | |
段差を越えるときに、転落などの危険な行為はなかったか。 (課題文中に「車いすの点検は済んでいる」とあるので、車いすの点検は省略可) |
「車いすへ移乗」「上着の着衣」などの際に、右上下肢を活用するなど、利用者の残存機能を活用する介護を行うことができたか。 |
言葉遣いは適切であったか。 | |
「田中さん」と名前で呼ぶことができたか。 | |
声かけの際は、目線の高さを揃えて話しかけたか。 |
「車いすへの移乗」「着衣」「段差を越える」際などに、介助内容を事前に説明し同意を得たか。 |
上着の着衣、膝かけを掛ける際などに、自己決定を促す声かけができたか。 (今年は上着も膝かけもそれぞれ1着しかセッティングしていなかったようですが、「こちらでよろしいですか」など自己決定の声かけがあると、よりよかったと思います) |
「介護開始前」「車いすへの移乗の後」「段差を越えた後」などに「気分は悪くないですか」「大丈夫ですか」など、体調に配慮する声かけができたか。 |
(1)上着の着衣
左側(麻痺側)上肢から袖を通したか。 | |
利用者の残存機能を活用しながら一部介助で実施できたか。 (上着の着衣は、車いすに移乗後に行ってもよいと思います) |
車いすは、利用者の右側(健側)にセッティングできたか。 | |
移乗の際は、利用者の足を引く(十分に引けない場合は浅く座りなおす)、前かがみになりながら立ち上がるなど、残存機能を活用しながら一部介助ができたか。 (移乗の方法は、介助者の体につかまってもらう方法、利用者にアームサポートを活用してもらう方法など、どの方法でも大丈夫だと思います) |
|
車いすに移乗した後、利用者の衣服と姿勢を整えたか。 | |
フットサポートに足を乗せたか。(車いすの移動は全介助の設定なので、両足を乗せる) | |
膝かけを利用者の同意を得て掛けたか。 |
ブレーキを解除し、車いすの移動を適切に全介助で行えたか。 | |
段差を越える際は、ティッピングレバーを活用し、安全に操作できたか。 | |
課題終了後、ブレーキをかけた後に利用者から離れたか。 |
「5分間以内」に課題を終了することができたか。
合格基準
実技試験の合格基準の過去7年の実績を見てみますと次のようになっています。(過去7年の合格基準)
今年の実技試験は、オーソドックスな移乗の問題でしたので、合格基準は例年よりも高くなるかもしれません。
しかし「着脱」が含まれている年は、時間切れになる人が多くなる傾向があるようですので、今年の合格基準も、例年並みに50〜55点くらいになりそうな気がします。
途中で制限時間を迎えた人も、5分間で実施した内容が「50〜55点」くらいの得点があれば大丈夫ですので、期待をもって合格発表を待って下さいね(時間切れになっても合格したという方は例年たくさんいます)。
3月28日(水)の合格発表まで緊張した日々が続くと思いますが、心穏やかにその時を待ちましょう!
実技試験の受験生の皆さま、試験委員の皆さま、そして「田中さん」を演じてくれたモデルさんなど、試験に携わった方々、本当にお疲れさまでした。
今年の実技試験は、オーソドックスな移乗の問題でしたので、合格基準は例年よりも高くなるかもしれません。
しかし「着脱」が含まれている年は、時間切れになる人が多くなる傾向があるようですので、今年の合格基準も、例年並みに50〜55点くらいになりそうな気がします。
途中で制限時間を迎えた人も、5分間で実施した内容が「50〜55点」くらいの得点があれば大丈夫ですので、期待をもって合格発表を待って下さいね(時間切れになっても合格したという方は例年たくさんいます)。
3月28日(水)の合格発表まで緊張した日々が続くと思いますが、心穏やかにその時を待ちましょう!
実技試験の受験生の皆さま、試験委員の皆さま、そして「田中さん」を演じてくれたモデルさんなど、試験に携わった方々、本当にお疲れさまでした。