第23回 実技試験問題
試験課題
山下たくみさん(75歳)は、右上下肢に麻痺があり、すべての動作に一部介助が必要です。歩行はつえを使用しています。
右利きでしたが、左手を使って、趣味の絵手紙と習字を始めました。
いすに座っている山下さんをテーブルまで歩行介助し、いすに腰かけさせてください。
その後、趣味の活動ができるように準備し、用具を持つまでの介助をしてください。
山下さんは、「はい」または「うなずく」のみです。
右利きでしたが、左手を使って、趣味の絵手紙と習字を始めました。
いすに座っている山下さんをテーブルまで歩行介助し、いすに腰かけさせてください。
その後、趣味の活動ができるように準備し、用具を持つまでの介助をしてください。
山下さんは、「はい」または「うなずく」のみです。
(試験時間は5分間以内です。)
試験室見取図
ポイント解説
介護福祉士国家試験「実技試験」を受験されたみなさま、お疲れさまでした。
今年もたくさんの方が受験されたようです。過去2回は「移乗」の問題が続いていましたが、今年は「歩行」の問題でしたね(過去問題の傾向と分析)。
時間どおりに無事に終了できたでしょうか? 早速、第23回介護福祉士国家試験「実技試験」について、問題の整理とポイントの解説をしていきたいと思います。
今年もたくさんの方が受験されたようです。過去2回は「移乗」の問題が続いていましたが、今年は「歩行」の問題でしたね(過去問題の傾向と分析)。
時間どおりに無事に終了できたでしょうか? 早速、第23回介護福祉士国家試験「実技試験」について、問題の整理とポイントの解説をしていきたいと思います。
問題の整理
1.「利用者」について
(1)山下たくみさん(75歳)
(2)「右上下肢に麻痺」がある。以前は「右利き」であった。
(3)「歩行は杖を使用」「すべての動作に一部介助が必要」
(4)山下さんは、「左手」を使って「絵手紙」と「習字」を始めた。
(5)山下さんは、「はい」または「うなずく」のみ。
2.介護内容
(1)いすに座っている山下さんをテーブルまで「歩行介助」し、「いすに腰かけさせる」。
(2)いすに腰かけた後、「絵手紙」または「習字」の趣味活動ができるように準備し、「用具を持つ」までの介助をする。
3.試験室の環境(課題文には、表記されていないもの)
(1)杖は、「4点杖」で山下さんから少し離れた位置に置いてあった。
(2)いすは、背もたれはあるが肘かけはなかった。
(3)テーブルには「絵手紙セット(色鉛筆5本)」と「習字セット(筆1本)」が置いてあった。
4.試験時間
5分間以内
(1)山下たくみさん(75歳)
(2)「右上下肢に麻痺」がある。以前は「右利き」であった。
(3)「歩行は杖を使用」「すべての動作に一部介助が必要」
(4)山下さんは、「左手」を使って「絵手紙」と「習字」を始めた。
(5)山下さんは、「はい」または「うなずく」のみ。
2.介護内容
(1)いすに座っている山下さんをテーブルまで「歩行介助」し、「いすに腰かけさせる」。
(2)いすに腰かけた後、「絵手紙」または「習字」の趣味活動ができるように準備し、「用具を持つ」までの介助をする。
3.試験室の環境(課題文には、表記されていないもの)
(1)杖は、「4点杖」で山下さんから少し離れた位置に置いてあった。
(2)いすは、背もたれはあるが肘かけはなかった。
(3)テーブルには「絵手紙セット(色鉛筆5本)」と「習字セット(筆1本)」が置いてあった。
4.試験時間
5分間以内
ポイント解説
採点のポイントになりそうな点を「出題基準」と「介護内容」「制限時間」に分けて考えてみたいと思います(出題基準については、こちらを参照してください)。
1.出題基準の点から
(1)安全・安楽
・いすから立ち上がるとき、歩行介助のとき、テーブルのいすに腰かけるときなど、転落・転倒・強打などの危険を伴う行為はなかったか。
・麻痺側の保護(膝折れの防止など)は適切に行えたか。
・4点杖の安全確認を行ったか。
(2)自立支援
「立ち上がる」「杖歩行」「いすに腰かける」などの際に、利用者の残存機能を活用する介護を行うことができたか。
(3)個人の尊厳
・言葉遣いは適切であったか。
・「山下さん」と名前で呼ぶことができたか。
・いすに腰かけているときなどに、目線の高さを揃えて話しかけたか。
(4)事前の説明と同意
・介助を実施する前に、利用者に介助内容を「説明」し「同意」を得ることができたか。
(5)自己決定
・趣味の活動を選択する際、「絵手紙」か「習字」を利用者に選択してもらったか。
(6)健康状態の把握
・「介護開始前」「立ち上がりの時」「いすに腰かけたあと」などに「気分は悪くないですか」など、体調に配慮する声掛けができたか。
2.介護内容の点から
(1)いすからの立ち上がり
・立ち上がりの際は、右側(麻痺側)から介助したか。
・足を引く(十分に引けない場合は浅く座りなおす)など立ち上がりやすい姿勢に誘導できたか。
・前傾姿勢をとる、膝折れの防止など、安全・安楽に立ちあがり介助が行えたか。
(2)歩行の介助
・右側(麻痺側)から介助したか。
・適切な歩行介助が行えたか。
3点歩行の場合、杖⇒右側(麻痺足)⇒左側(健足)の順に誘導できたか。
(3)テーブルのいすに腰かける
・テーブルのいすに安全に腰かける介助を行えたか。
いすに腰かけるに際して、
1、いすをテーブルに近づけたまま、利用者に腰かけてもらう。
(左側から誘導した方が介助しやすい)
2、まず、いすを離して、利用者にテーブルに近づいてもらって
いすを近づけて腰かけてもらう。
などのパターンがあると思いますが、どちらでも安全・安楽であれば
大丈夫だと思います。
・安定した座位をとらせることができたか。(いすとテーブルの距離は適切であったか。)
(4)趣味活動の準備
・「絵手紙」と「習字」のどちらがよいか、利用者に選択してもらったか。
・「絵手紙」の場合は色鉛筆を、「習字」の場合は筆を「左手」に持ってもらったか。
3.制限時間
「5分間以内」に課題を終了することができたか。
1.出題基準の点から
(1)安全・安楽
・いすから立ち上がるとき、歩行介助のとき、テーブルのいすに腰かけるときなど、転落・転倒・強打などの危険を伴う行為はなかったか。
・麻痺側の保護(膝折れの防止など)は適切に行えたか。
・4点杖の安全確認を行ったか。
(2)自立支援
「立ち上がる」「杖歩行」「いすに腰かける」などの際に、利用者の残存機能を活用する介護を行うことができたか。
(3)個人の尊厳
・言葉遣いは適切であったか。
・「山下さん」と名前で呼ぶことができたか。
・いすに腰かけているときなどに、目線の高さを揃えて話しかけたか。
(4)事前の説明と同意
・介助を実施する前に、利用者に介助内容を「説明」し「同意」を得ることができたか。
(5)自己決定
・趣味の活動を選択する際、「絵手紙」か「習字」を利用者に選択してもらったか。
(6)健康状態の把握
・「介護開始前」「立ち上がりの時」「いすに腰かけたあと」などに「気分は悪くないですか」など、体調に配慮する声掛けができたか。
2.介護内容の点から
(1)いすからの立ち上がり
・立ち上がりの際は、右側(麻痺側)から介助したか。
・足を引く(十分に引けない場合は浅く座りなおす)など立ち上がりやすい姿勢に誘導できたか。
・前傾姿勢をとる、膝折れの防止など、安全・安楽に立ちあがり介助が行えたか。
(2)歩行の介助
・右側(麻痺側)から介助したか。
・適切な歩行介助が行えたか。
3点歩行の場合、杖⇒右側(麻痺足)⇒左側(健足)の順に誘導できたか。
(3)テーブルのいすに腰かける
・テーブルのいすに安全に腰かける介助を行えたか。
いすに腰かけるに際して、
1、いすをテーブルに近づけたまま、利用者に腰かけてもらう。
(左側から誘導した方が介助しやすい)
2、まず、いすを離して、利用者にテーブルに近づいてもらって
いすを近づけて腰かけてもらう。
などのパターンがあると思いますが、どちらでも安全・安楽であれば
大丈夫だと思います。
・安定した座位をとらせることができたか。(いすとテーブルの距離は適切であったか。)
(4)趣味活動の準備
・「絵手紙」と「習字」のどちらがよいか、利用者に選択してもらったか。
・「絵手紙」の場合は色鉛筆を、「習字」の場合は筆を「左手」に持ってもらったか。
3.制限時間
「5分間以内」に課題を終了することができたか。
合格基準
実技試験の合格基準(何点以上が合格)が毎年発表されています。過去7年分を見てみますと次のようになっています(過去7年の合格基準)。
過去の傾向を考えると、今年の問題は「着脱介助」がなかったことなど考慮すると、50点〜60点の間くらいになるような気がします。
今回の試験は、4点杖の歩行介助の問題で、比較的オーソドックスな問題でした。しかし、テーブルのいすに腰かける際に、どのような介助方法をしようか迷われた方も多かったと思います。
しかし、過去の合格基準から考えても採点のチェックポイントの「4割」はできなくても合格しています。満足できる介護ができなかったと感じている人も時間どおりに無事に終了できたのであれば十分合格できるチャンスはあると思います。
実技試験の「緊張感」は受験した人にしかわからないものです。「平常心で臨むことができた人」「緊張のあまりふだんの力が発揮できなかった人」「何をしたか覚えていない人」「介護技術講習会を受ければよかったと後悔している人」などいろいろな方がいらっしゃると思います。
3月29日の合格発表までドキドキする日々が続きますが、試験の結果は運命にまかせて、疲れた体をいたわってくださいね。本当にお疲れさまでした。
過去の傾向を考えると、今年の問題は「着脱介助」がなかったことなど考慮すると、50点〜60点の間くらいになるような気がします。
今回の試験は、4点杖の歩行介助の問題で、比較的オーソドックスな問題でした。しかし、テーブルのいすに腰かける際に、どのような介助方法をしようか迷われた方も多かったと思います。
しかし、過去の合格基準から考えても採点のチェックポイントの「4割」はできなくても合格しています。満足できる介護ができなかったと感じている人も時間どおりに無事に終了できたのであれば十分合格できるチャンスはあると思います。
実技試験の「緊張感」は受験した人にしかわからないものです。「平常心で臨むことができた人」「緊張のあまりふだんの力が発揮できなかった人」「何をしたか覚えていない人」「介護技術講習会を受ければよかったと後悔している人」などいろいろな方がいらっしゃると思います。
3月29日の合格発表までドキドキする日々が続きますが、試験の結果は運命にまかせて、疲れた体をいたわってくださいね。本当にお疲れさまでした。