用語解説 合理的配慮とは?
2025/04/01

「合理的配慮」は障害のある方が、障害のない方と平等な機会を得て、その能力を十分に発揮できるよう、事業者が行う必要のある調整や工夫のことを指します。これは、令和6年4月1日から、事業者にとって法的義務となりました。
合理的配慮の基本的な考え方
すべての事業者は、障害のある方から何らかの配慮を求められた際に、過度な負担にならない範囲で、その方の状況に応じた合理的配慮を提供しなければなりません。ここで重要なのは、一方的に判断するのではなく、障害のある方との「対話」を通じて、お互いを理解し、共に対応策を検討していくことです。
合理的配慮は、単に特別な対応をするということではありません。社会にあるバリアを取り除くことで、障害のある方もない方も同じように活動できる社会を目指す「共生社会」の実現に向けた取り組みです。
福祉専門職にとっての合理的配慮
福祉の現場で働く私たちにとって、合理的配慮は決して新しい考え方ではないかもしれません。日々の支援の中で、利用者の方一人ひとりのニーズに合わせた様々な配慮を行っていることでしょう。しかし、改めて「合理的配慮」という視点を持つことで、より質の高い支援につながる可能性があります。
福祉専門職が合理的配慮を考える上で重要なポイント
•相手の状況を丁寧に把握する:障害の種類や程度、置かれている状況は一人ひとり異なります。「こうすれば良いだろう」という決めつけではなく、利用者本人の意向を尊重し、困っていることや必要としていることを具体的に把握することが大切です。
•対話と連携を重視する:合理的配慮は、利用者本人だけでなく、その家族や支援者など、関係者との対話を通じて検討することが望ましいです。必要に応じて、就労支援機関などの専門機関との連携も視野に入れましょう。
•柔軟な発想を持つ:画一的な対応ではなく、個別の状況に合わせて、様々な方法を検討することが重要です。過去の事例にとらわれず、「前例がない」という理由だけで断るのではなく、実現可能な代替案を探りましょう。
•「過重な負担」について理解する:合理的配慮は義務ですが、事業者に「過重な負担」を強いるものではありません。過重な負担かどうかは、事業活動への影響、実現の困難度、費用・負担の程度、企業の規模や財務状況、公的支援の有無などを総合的に勘案して判断されます。もし、求められた配慮が過重な負担にあたると判断される場合は、その理由を丁寧に説明し、代替となる配慮について話し合うことが重要です。
•差別解消の視点を持つ:「合理的配慮」の提供は、障害を理由とした「不当な差別的取扱い」を禁止することと並ぶ、障害者差別解消法の重要な柱です。日々の業務の中で、無意識のうちに差別的な言動や対応をしていないか、常に意識することが求められます।
具体的な配慮の例
合理的配慮の内容は多岐にわたりますが、例えば以下のようなものが挙げられます:
•視覚障害のある方に対して:書類の読み上げ、点字での情報提供、拡大文字の使用など。
•聴覚・言語障害のある方に対して:筆談、手話、メールやチャットでの連絡など。
•肢体不自由のある方に対して:車椅子での移動がしやすいように通路を確保する、机の高さを調整するなど。
•知的障害のある方に対して:業務の手順を分かりやすく説明する、図やイラストを活用したマニュアルを作成するなど。
•精神障害・発達障害のある方に対して:休憩しやすい静かな場所を提供する、指示を一つずつ明確に伝えるなど。
これらの例はあくまで一部であり、個々の状況によって必要な配慮は異なります。
困ったときは
「合理的配慮」は、障害のある方が地域社会で共に生きていくために不可欠なものです。福祉専門職として、その理念と具体的な対応について理解を深め、日々の支援に活かしていくことが、よりインクルーシブな社会の実現につながります。利用者一人ひとりのニーズに真摯に向き合い、対話を重ねながら、最適な合理的配慮を提供できるよう努めましょう。
まとめ
「合理的配慮」は、障害のある方が地域社会で共に生きていくために不可欠なものです。福祉専門職として、その理念と具体的な対応について理解を深め、日々の支援に活かしていくことが、よりインクルーシブな社会の実現につながります。利用者一人ひとりのニーズに真摯に向き合い、対話を重ねながら、最適な合理的配慮を提供できるよう努めましょう。
参考資料
•令和6年4月1日から 合理的配慮の提供が義務化されました(内閣府)
•障害者差別解消法が変わりました!(内閣府)
•合理的配慮指針(雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会若しくは待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するために事業主が講ずべき措置に関する指針(平成27年厚生労働省告示第117号))