ICF(国際生活機能分類)とは? ICIDH(国際障害分類)との違いについても解説

2025/04/01

ICFとは

 

ICFは人間の生活機能と障害を分類するための国際的な枠組みで、2001年にWHO(世界保健機関)の総会で採択されました。
「International Classification of Functioning, Disability and Health」の略称で、日本語では「国際生活機能分類」と呼ばれます。

 

ICF(国際生活機能分類)は次の6つの要素で構成されます。

健康状態

疾患や外傷、妊娠、加齢、ストレス状態など、人々の生活機能に影響を与える可能性のある状態。

心身機能・身体構造

生命維持に直接関係する身体・精神の機能や構造。心身機能は手足の動き、精神の働き、視覚・聴覚、内臓の働きなどを指し、身体構造は手足や内臓の一部などを指す。

活動

生活において目的をもって行う一連の行為。食事・入浴・着替え・料理・洗濯などのほか、仕事・遊び・スポーツなども含まれる。

参加

生活・人生場面へのかかわり。家庭や職場、地域社会に関与して役割を果たすことを指す。

環境因子

個人を取り巻く環境。建物・道路・交通機関・自然環境などの物的な環境や、家族・友人・仕事上の仲間などの人的環境、医療や福祉のサービスなどの制度的環境がある。

個人因子

年齢、性別、民族、職歴、学歴、ライフスタイル、価値観など、個人の特性に関する要素。

 

 

これらの要素は相互に影響し合い、個人の生活機能全体を形成します。
それを総合的に評価し理解するためのフレームワークがICF(国際生活機能分類)です。

 

ICFの活用で得られるもの

 
  • 生きることの全体像の理解
  • 障害の有無だけでなく、人間の活動や社会参加、環境因子などを含めた広い視点で「生きること」を総合的にとらえられる。
  • 健康に関する共通言語の提供
  • 障害や疾病をもつ人やその家族、医療・福祉・介護等の専門職が共通して使える「標準的な枠組み」として、共通理解をもつことにつながる。
  • 健康状態や生活機能の科学的な理解
  • 健康に関する状況やそれに影響を与える因子を深く理解し、研究や実践の基盤を提供できる。
  • 国際的なデータ比較
  • 国や専門分野を超えて、健康や障害に関するデータを比較できるようになる。
  • 「できること」にも焦点を当てた障害観の獲得
  • 「できないこと」に焦点を当てた障害中心の視点ではなく、「できること」にも注目して生活機能全体を評価する健康観を提起できる。

※ICFは、以前の「ICIDH(国際障害分類)」を改訂・発展させたものです(次項で解説します)。

 

ICFでの障害のとらえ方(ICIDHとの違い)

 

ICF(国際生活機能分類)の障害のとらえ方の特徴は、「医学モデル」と「社会モデル」を統合した「統合モデル」を採用しているところにあります。

 

医学モデル

社会モデル

統合モデル

障害の原因

個人の健康状態(疾患・外傷)に起因するととらえる

社会環境の不備に起因するととらえる

個人要因と環境要因の相互作用としてとらえる

介入方法

医療的治療・リハビリテーション

社会環境の整備・制度改革

医学モデルと社会モデルの両方のアプローチを包括的に検討

評価軸

心身機能の損傷度

社会参加の制約度

生活機能全体(心身機能・活動・参加)

 

これにより、従来のICIDH(International Classification of Impairments, Disabilities and Handicaps:国際障害分類)よりも問題の原因や改善方法を多角的に考えることができるようになっています。

 

(参考①)ICIDHとは
ICIDHとは、「International Classification of Impairments, Disabilities and Handicaps」の略称で、日本語では「国際障害分類」と呼ばれます。
1980年にWHO(世界保健機関)によって発表された医療基準で、ICF(国際生活機能分類)の前身として位置づけられます。
ICIDH(国際障害分類)では、病気や変調によって機能障害や形態障害が生じ、それが能力障害を引き起こして社会的不利に至る、という一方向的なものとして障害をとらえています。

 

 

(参考②)ICIDHとICFの違い
ICFとICIDHの考え方の違いは次のとおりです。

 

ICIDH

ICF

障害の位置づけ

病気や変調による「障害」が考え方の中心となる

「生活機能」全体に焦点を当て、その一部として「障害」を位置づける

影響のとらえ方

一方向的(「病気や変調」→「障害」→「社会的不利」)

相互作用的(各要素が互いに影響し合う)

背景因子の取り扱い

環境因子や個人因子は考慮されない

環境因子と個人因子を、生活機能やその低下に大きな影響を及ぼす重要な要素としてとらえる

分類の範囲

主に障害者を対象とする

障害の有無にかかわらず、すべての人を対象とする

 

参考資料

・障害者福祉研究会(編)『ICF 国際生活機能分類──国際障害分類改定版──』中央法規出版、2002年

・介護福祉士養成講座編集委員会(編)『最新 介護福祉士養成講座14 障害の理解 第2版』中央法規出版、2022年

・厚生労働省「ICF(国際生活機能分類)-「生きることの全体像」についての「共通言語」-」
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ksqi-att/2r9852000002kswh.pdf