認知症とは? 種類・症状に合わせたかかわり方のポイント 第4回

2022/12/02

認知症のある人とかかわるうえでは、種類や症状などについての適切な医学知識を理解することが大切です。

 

この記事では、認知症看護のスペシャリストである石川容子さんに監修いただき、前頭側頭型認知症に関する医学知識とそれをふまえたかかわり方のポイントを紹介します。

 

目次

 

前頭側頭型認知症の基礎知識

前頭側頭型認知症とは、脳の前頭葉と側頭葉が萎縮し、血流が低下することによって起こる進行性の認知症です。

 

◆ 前頭葉の萎縮
→感情のコントロール、人格や理性的な行動、社会性に影響が出る

◆ 側頭葉の萎縮
→記憶、言葉の理解、聴覚や味覚などに影響が出る

 

初期には記憶障害はみられず、「人格の変化」「非常識な行動」「反社会的な行動」が目立ちます

 

 

特徴的な症状

前頭側頭型認知症に特徴的な症状は、次のとおりです。

 

病識の欠如
→自分が何かおかしいという自覚がない

脱抑制
→感情や衝動を抑えることができなくなる

思いやり・共感の欠如
→他人にどう思われるかを気にしなくなる

常同行動
→同じ行動を繰り返す
 (「同じところをずっと歩き回る」「同じ言葉を話し続ける」など)

口唇傾向や食行動の変化
→手にしたものを何でも口に運ぼうとする、味の濃いもの・甘いものを好む

自発性の低下・無気力・無関心
→早期から感情が乏しくなる

言語障害
→言葉の意味がわからなくなる、流暢に話せなくなる

 

このような症状があることをふまえ、ケアの方針を立てるようにしましょう。

 

かかわり方のポイント

前頭葉の障害は、感情のコントロール、人格や理性的な行動、社会性に影響を及ぼすため、症状として現れる行動をケアによって改善することは困難です。

 

そのため、そのような行動を何とかしようと考えるのではなく、受け入れることが必要となります。

 

そのうえで大切なのは、本人のペースを崩さないように配慮しながら見守り、本人が生活しやすい環境を整えることです

 

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ここまで、前頭側頭型認知症の原因・症状と、それをふまえたかかわり方のポイントを解説しました。
利用者さんの日々の暮らしを支える実践の参考にしていただければ幸いです。

 

他の認知症の症状・かかわり方についても別記事で解説していますので、ぜひチェックしてみてください。

 

» アルツハイマー型認知症についてはコチラ!

» レビー小体型認知症についてはコチラ!

» 血管性認知症についてはコチラ!

 

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(監修)石川 容子 氏
 医療法人社団 翠会 和光病院 看護部長
日本看護協会看護研修学校認知症看護学科修了、認知症看護認定看護師取得。千葉大学大学院看護研究科修士課程修了。
認知症専門病院である、医療法人社団 翠会 和光病院にて、認知症看護のスペシャリストとして活躍。

 

※この記事は、「おはよう21」2021年4月号増刊pp.8~23をもとに作成したものです。