誌上ケース検討会 第116回 膠着状態が続いてしまったケースへの支援を振り返る (2010年2月号掲載)
2026/10/27
このコーナーは、月刊誌「ケアマネジャー」(中央法規出版)の創刊号(1999年7月発刊)から第132号(2011年3月号)まで連載された「誌上ケース検討会」の記事を再録するものです。
同記事は、3人のスーパーバイザー(奥川幸子氏、野中猛氏、高橋学氏)が全国各地で行った公開事例検討会の内容を掲載したもので、対人援助職としてのさまざまな学びを得られる連載として好評を博しました。
記事の掲載から年月は経っていますが、今日の視点で読んでも現場実践者の参考になるところは多いと考え、公開することと致しました。
スーパーバイザー
奥川 幸子
(プロフィールは下記)
事例提出者
Yさん(地域包括支援センター・社会福祉士)
司会
坂屋澄子さん(アミューズ富永 居宅介護支援事業所)
クライアント
本人 A氏・女性・78歳
長女 B氏・女性・56歳
長男 C氏・男性・54歳
提出理由
本人(母・Aさん)・長女(Bさん)・長男(Cさん)の3人家族。本人は精神障害があり通院中、長女は未受診ではあるが妄想・幻聴があり、昼夜逆転している。本人の年金で家族3人が生活している。キーパーソンである長男は、介護保険サービスや家族支援の受け入れができない。
「支援してほしいけど、しえんしてほしくない」という長男の思いの裏側には何があるのか、どのように寄り添い支援することができたのかと思う。
事例の概要
古い家の中で家族3人で生活されている。Cさんのガードが固く、Aさんの生活が見えない。年金がなくなるとライフラインが止まり、Cさんは食事がとれなくなり痩せてくる。この数年のあいだ、近所の独居の女性の家にCさんがお金を借りに行くことが何度となく繰り返されている。女性は「数千円を渡すこともあるし、食べ物を渡すこともあるが、ちょっと困っている」と言われる。
私が訪問すると、必ずCさんが一人で対応する。事前に手紙を入れて訪問の約束をしておくと、待っていてくれている様子で、外門のところへ出てこられ、Aさんの病状やBさんの現状、Cさんの仕事のことなどを詳しく話される。いつも同じような話をされる。借金のことなど私が気になることを尋ねると素直に答えてくれるが、支援の話になると「病院のPSWに相談しているからいい」と言われる。しかし、PSWには「包括に相談しているからいい」と言っているらしく、相談員2人を上手にあしらっているように感じる。
ここから先は、誌面の PDFファイル にてご覧ください。
プロフィール
奥川 幸子(おくがわ さちこ)
対人援助職トレーナー。1972年東京学芸大学聾教育科卒業。東京都養育院附属病院(現・東京都健康長寿医療センター)で24年間、医療ソーシャルワーカーとして勤務。また、金沢大学医療技術短期大学部、立教大学、日本社会事業大学専門職大学院などで教鞭もとる。1997年より、さまざまな対人援助職に対するスーパーヴィジョン(個人とグループ対象)と研修会の講師(講義と演習)を中心に活動した。主な著書(および共編著)に『未知との遭遇~癒しとしての面接』(三輪書店)、『ビデオ・面接への招待』『スーパービジョンへの招待』『身体知と言語』(以上、中央法規出版)などがある。 2018年9月逝去。
