誌上ケース検討会 第112回 不全感の残っている在宅での看取りの支援を振り返る (2009年10月号掲載)
2026/09/01
このコーナーは、月刊誌「ケアマネジャー」(中央法規出版)の創刊号(1999年7月発刊)から第132号(2011年3月号)まで連載された「誌上ケース検討会」の記事を再録するものです。
同記事は、3人のスーパーバイザー(奥川幸子氏、野中猛氏、高橋学氏)が全国各地で行った公開事例検討会の内容を掲載したもので、対人援助職としてのさまざまな学びを得られる連載として好評を博しました。
記事の掲載から年月は経っていますが、今日の視点で読んでも現場実践者の参考になるところは多いと考え、公開することと致しました。
スーパーバイザー
高橋 学
(プロフィールは下記)
事例提出者
Aさん(居宅介護支援事業所・看護師)
クライアント
利用者:Zさん・84歳・女性
提出理由
このケースは適切なときにいちばん大切な部分のアセスメントを行うことができていなかったために、急激で大きな変化に体制を整える時間もなく、急ぎ足となり十分な看取りへの支援ができなかったように感じている。日々、多くの方々のエンドステージを担う重要な役割である一人の担当ケアマネとして、また事業所の主任介護支援専門員、管理者として、このケースを振り返りながら、最期までその人らしく生きていくことを支えるためにあらかじめ準備をしておかなければならなかったことを見つめ直していきたい。
事例の概要
・現病歴:甲状腺機能低下症・両変形性膝関節症・不眠症・老年性うつ病・胃がん末期(定期的に健診を受けていた地元のクリニックで腹部超音波検査時に異常が見つかり、総合病院へ検査入院。がん末期と診断される。本人には胃潰瘍と説明)
・家族状況:4人きょうだいの3番目として生まれる。2人の兄は胃がんにて他界。妹(78歳)は隣県在住。夫は約40年前に胃がんにて他界。子どもは息子が3人、娘が1人。長男は10年前に胃がんで、次男は4年前に交通事故で他界。三男は隣県に在住(車で約1時間の距離)。娘は夫の仕事の関係で海外に長期居住中。
・生活歴:18歳で就職のため来県。事務員として入った会社で夫と知り合う。23歳で結婚。結婚後もフルタイムで働く一方、地元の商店街の世話役としても積極的に活動するなど、地域では有名な厳しくも頼りになる存在であった。44歳のとき、夫を胃がんで亡くす。友人は多かったが、最近親友が相次いで他界、馴染みの顔ぶれも少なくなったと寂しそうに話されることが増えていた。
・事例提出者のかかわり:平成13年から当事業所と居宅介護支援の契約を結ぶ。直接的に担当ケアマネジャーとなったことはなく、管理者・主任ケアマネジャーとしてかかわりをもってきた。自身の訪問は2~3カ月に1回のペース。その他、生活に不安や変化が生じたときに連絡を受け、随時の訪問を続けていた。
ここから先は、誌面の PDFファイル にてご覧ください。
プロフィール
高橋 学(たかはし まなぶ)
1959年生まれ。早稲田大学大学院博士後期課程満期退学。東邦大学医学部付属大森病院、北星学園大学を経て昭和女子大学大学院福祉社会研究専攻教授。専門は、医療福祉研究、精神保健福祉学、スーパービジョン研究、臨床倫理など。
