今月のおはよう21 高齢者の精神疾患・発達障害の基礎知識とケア

2026/06/18

『おはよう21』2026年8月号から、特集(高齢者の精神疾患・発達障害の基礎知識とケア)の内容を一部ご紹介いたします。


ここ数年、介護現場で精神疾患や発達障害が話題になることは増えています。
精神疾患や発達障害のある利用者は、医療機関へ適切につなぎ、本人の特性に合った接し方をすることが大切です。
それにより、症状が落ち着いたり、穏やかに過ごせるようになるでしょう。
今回の特集では、介護職に知っておいてほしい代表的な精神疾患・発達障害の特徴と基本的な接し方を見ていきます。

 

高齢者の3大精神疾患を知ろう

うつ病

 


生きるためのエネルギーが失われる

うつ病は、気分の落ち込みや意欲が出ないことが続き、生きるためのエネルギーが失われてしまう病気です。
食欲や睡眠にも影響し、自分には価値がないと責める気持ちが強くなることが特徴です。

 

誰でもつらいことがあれば落ち込みます。
しかし、原因が解決した後も気持ちの落ち込みが2週間以上続き、日常生活に悪影響が出るようになると、うつ病の可能性があります。


高齢者のうつ病の特徴

高齢者のうつ病では、あまり悲しそうに見えず、集中力や判断力の低下、イライラなどが目立つことがあります。
すると、加齢によるものだから仕方ないと諦められたり、認知症だと誤解されたりします。

 

認知症は、徐々に進行することが多い病気です。
一方、うつ病は、最近急に活動しなくなった、ずっとやっていたことをやめた、というように、悪くなった時期が比較的はっきりしているのが特徴です。

 

支援の現場で、最近元気がなくなった、外に出なくなった、怒りっぽくなったといった変化があったときには、うつ病が隠れている可能性もあるので注意しましょう。

 

なお、うつ病と認知症が重なることもあるため、家族など周りの人から見た変化や、これまでの生活や病歴を含めて、医師が総合的に診断する必要があります。


身体の病気や薬が原因となることも

骨折後の安静、肺炎、慢性疾患による体力低下などの身体の病気がうつ病のきっかけになることがあります

 

活動量が減るなどの身体的な面だけでなく、人との交流が減るなどの対人関係や環境の変化も、気分の落ち込みにつながります。
特に入院や退院などの後には注意しましょう。

 

高齢者では、薬の副作用でうつ病に似た症状が表れることがあります。

 

たとえば、睡眠薬や抗ヒスタミン薬などによって日中の眠気や認知機能が低下する、高血圧の薬で血圧が下がりすぎて活動が低下するなどです。
また、多くの薬を服用していると、薬同士の影響によって副作用が起きやすくなります。
薬の種類や量が変わったときには特に注意しましょう。

 

支援の基本「励ますより受け入れる」

うつ病の人を見ると、元気になってもらおうとして、つい「頑張りましょう」と励ましたくなるかもしれません。
しかし本人は、頑張れない自分を責めているため、励まされるとつらさが強まってしまいます。

 

支援場面では、まずその人の気持ちや考え方を受け入れることが基本です
話の内容を正したり、助言したりするより、「そう感じておられるのですね」とありのままを受け入れることが、安心感につながります。
そして、「それはつらかったですね」「よく頑張ってこられました」と気持ちに寄り添いましょう。

 

実際の支援場面では、すぐに解決策が見つからないことも少なくありません。
そのようなときは無理に結論を急がず、一緒に考える時間をもち、静かに寄り添います。
そうしたかかわりそのものが支援になります。


社会とのつながりが回復を支える

歳を重ね、高齢になるにしたがって、退職、家族など身近な人との死別、体力低下による外出減少など、人との交流や社会とのつながりが減ってきます。
このような孤立や役割喪失などの社会的な要因は、うつ病に大きく関係します。

 

うつ病の治療では、気持ちを安定させる「セロトニン」や意欲や集中力を高める「ノルアドレナリン」といった脳内の神経伝達物質を増やすため、抗うつ薬が使われます。

 

しかし、それだけでなく、社会とのつながりを保つ支援も大切です

 

デイサービスや地域活動などを通じて、やりがいや自分の役割を感じられると、回復につながります。
適度な運動、栄養バランスのよい食事、生活リズムを整えることも、うつ病の悪化や再発の予防に役立ちます


続きは本誌でご覧いただけます。

 

執筆

植田俊幸(鳥取県立厚生病院 精神科医長)

 

取材協力

荒川春香(社会福祉法人不二健育会 特別養護老人ホームケアポート板橋生活相談員)


以上は、『おはよう21』2026年8月号の特集の内容の一部です。このほかにも本誌では、下記のトピックを取り上げ解説しております。ぜひお手に取ってご覧ください。

 

特集

高齢者の精神疾患・発達障害の基礎知識とケア

1 なぜ介護現場に精神疾患や発達障害の知識が必要なのか
2 3大精神疾患&発達障害の基礎知識
3 ケースから見る現場の困りごとQ&A


『おはよう21 2026年8月号』

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