最近よく聞く「サ高住」って何? 第4回:サ高住の1日

2026/06/12

よく耳にするけど、実はよく知らない…そんなサ高住について解説します

1.はじめに

こんにちは、高齢者住宅協会 兵庫支部長の藤原雅美です。
前回は、高齢者向け住宅(サ高住)で暮らしている人たちの様子についてお話ししました。
今回は、意外とイメージしにくい「1日の流れ」を見ていきましょう。
「施設に入ると、スケジュールが全部決まっているのでは?」と思われがちですが、ここはあくまで「家」です。住宅スタッフや外部のヘルパーさんと相談しながら、自分に合った1日を組み立てていく。そんな仕組みをご紹介します。


2.【比較】1日の流れ(例)と、「かかわるスタッフ」

その人の体調や希望を踏まえたうえで、さまざまなサービスを組み合わせて1日の流れができています。

 
時間 【健康型】の1日 【重度対応型】の1日 主にかかわるスタッフ
7:00 起床 起床(着替えの介助) 訪問介護(ヘルパー)
8:00 朝食 朝食(食事の介助・見守り) 訪問介護(ヘルパー)
9:30 デイサービスへ出発 入浴(体調が安定している午前に) 通所介護 / 訪問介護
10:30 趣味・買い物 医療的ケア(点滴や処置など) 訪問看護(看護師)
12:00 昼食 昼食(見守り) 住宅スタッフ / ヘルパー
13:30 お出かけ・散歩 リハビリ(お部屋での訓練) 訪問リハビリ(PT/OT)
15:00 お掃除・お洗濯 お掃除・お洗濯 訪問介護(ヘルパー)
16:00 読書など お散歩(車いすでの外出など) 住宅スタッフ / ヘルパー
18:00 夕食 夕食 住宅スタッフ / ヘルパー
20:00 入浴・くつろぎ 就寝準備 訪問介護(ヘルパー)
随時 生活相談 安否確認・コール対応 住宅スタッフ(相談員等)
 

3.「表」以外の時間は、その人のペースで

上の表は、あくまで一例です。サ高住の良いところは、サービスの合間の時間を自分のペースで使える点にあります。
元気な人なら、買い物の時間を少し長めに取ったり、ホールで誰かとお喋りしたりと、自由に過ごせます。また、リハビリなどの決まったサービスであっても、その日の体調を見て、「今日はメニューを少し軽くしよう」といった相談もできます。型通りのことをこなすだけではなく、その時々の状態に合わせた過ごし方ができるのが、サ高住なのです。


4.誰が1日を調整しているのか

こうした1日の動きを一緒に考えてくれるのが、ケアマネジャー(介護支援専門員)です。「どんなふうに過ごしたいか」をじっくり聞き取って、無理のない計画を立ててくれます。
もちろん、住宅側の体制やスタッフの状況もあり、いつでも100%希望が通るわけではありません。それでも、押し付けるのではなく「今の状況で、どうすれば一番その人らしく過ごせるか」を一緒に考え、折り合いをつけていく。そうしたやり取りを大切にすることで、納得感のある毎日が作られていきます。


5.スタッフ同士の情報のやり取り

ヘルパーさんや看護師さんがいない時間を不安に思う人もいるかもしれません。訪問サービスはおおむねの時間が決まっていますが、現場の状況で前後することもあります。そこを補っているのが、住宅スタッフによる日々の目配りです。
食事の時に「今日はあまり食べていないな」と気づけば、その情報をケアマネジャーや看護師へ伝えます。それを受けて、次回のサービス内容を調整することもあります。それぞれのスタッフが自分の持ち場で支えつつ、住宅スタッフが情報をつないでいく。表に出てこないこうした連携が、安心を支えています。


6.自分らしく過ごすために

1日のスケジュールは、ただの時間の区切りではありません。
「家族に心配をかけたくないけれど、自分の時間は大切にしたい」「最期まで好きな音楽を聴きながら、自分の部屋で過ごしたい」。
こうした一人ひとりの思いを、スタッフたちがチームで支えていく。サ高住は、「自分らしい自由」と「プロのサポート」がバランスよく共存する場所なのだと感じています。


7.おわりに

今回は1日の流れをご紹介しました。大切なのは、決められたスケジュールをこなすことではなく、「今日も自分のペースで、安心して過ごせた」と思えることです。
こうして1日の動きが見えてくると、「具体的にどんな人が働いているの?」ということも気になりますよね。次回は、サ高住の要である「生活相談員やフロントスタッフ」についてお話しします。


著者紹介

藤原 雅美(ふじわら まさみ)

高齢者住宅協会兵庫支部長。
看護師、社会福祉士、主任介護支援専門員。
居宅や老健でのケアマネ経験を経て、現在は富庄トラストパートナーズ株式会社取締役としてサービス付き高齢者向け住宅「アガスティーア姫路」の運営を担う。介護・看護の養成校にて講師も務め、次世代の育成にも尽力する。
「住み慣れた場所で最期を迎えたい」という利用者の願いに応えるため、看取りまで責任を持って関わり続けることを信念としている。一期一会の縁を大切に、ご縁のあった方を最期まで支え抜くべく日々奮闘中。