成年後見制度のあれこれ 第5回 財産管理における成年後見人の役割

2025/04/01

【執筆】
君和田 豊(きみわだ ゆたか)
 君和田成年後見事務所代表、社会福祉士・精神保健福祉士・社会保険労務士・旧:訪問介護員(ホームヘルパー)1級
 2007(平成19)年に社会福祉士登録。2012(平成24)年に現:公益社団法人日本社会福祉士会の成年後見人養成研修修了後、一般社団法人千葉県社会福祉士会権利擁護センター「ぱあとなあ千葉」の登録員として活動中(後見人等の候補者として千葉家庭裁判所に名簿登録)。


 新年度に入り、皆さんの中にも新たな職場や環境等でご活躍などされている方も多いかと思います。
 今年は団塊世代が後期高齢者となる、いわゆる「2025年問題」の年で、社会保障費の負担増や人材不足が深刻化する点で大きな年と言えます。そのような中で前回も書いた通り、成年後見制度については裁判所への報告書様式が全国統一のものとなり、内容も大きく変わります。特に身上監護面の部分が大きくなるのですが、しかしながら財産管理がその分低下するものではありません。先立つものではないですが、資本主義社会である以上、一定程度の財産は誰にとっても大事です。
 今回はその財産管理についてみていきます。

 

財産管理の具体的な内容

 成年後見人は財産管理において、被後見人の財産を適切に管理・運用し、その利益を守ることが求められています。このため預貯金の管理をはじめとして、不動産の維持・処分、日常生活に必要な費用の支払い、税金の申告・納付などが活動として求められます。被後見人の意思を尊重しつつ、生活の質を維持・向上させるために、財産の使途について慎重に判断する必要があります。

 

公的給付の受給

 上記内容についてすべて説明することはできませんが、筆者が選任された被後見人等の方々については、老齢や障害などの公的年金が基本的な収入(全額が公的年金のみの場合も多数)で、預貯金等以外に主な財産はない場合が多いです。
 このため近年では、物価高対策のための 重点支援地方交付金 など公的給付の受給は必須で、今はマイナンバーカードによる公金口座の登録によりプッシュ型で自動的に口座への入金があるので、このような制度の支援は本当にありがたいことだと思っています。3月には、対象となる被後見人等の方々の口座に3万円の着金がありました。

 

青い鳥郵便葉書の受け取り

 さらには地味な活動ですが、「 青い鳥郵便葉書 」によりハガキを頂くことも毎年の業務として行っています。

 対象者は身体障害手帳および療育手帳の所持者に限られますが、毎年申請してハガキを20枚いただくことができます。本来は被後見人等のご本人が使用するためのハガキなのですが、(無論可能な限り本人への説明・同意の上で)そのハガキを金券ショップで換金したり、または郵便局で切手に交換して役所等への書類の郵送費にあてたりしています。

 

預貯金による利息収入の管理

 また、最近は金利が上昇してきたため、利息収入も期待できるところです。

 対象となる場合は、 マル優(特別マル優) も利用しています。預貯金・国債合わせて最大で元本700万円までの利息が非課税となるので、満期の際には利息を全額受け取り、元金は毎年継続しています。
 預金については期間1年ものの定期預金としていましたが、今後も金利の上昇が見込まれるので、最近は半年にしています。また国債については変動10年を購入しており、 最近では基準金利0.66%です

 

預貯金による利息収入の管理

 公的年金のみでは所得税確定申告不要の場合が多いですが、住民税の申告は多くの方で行っています。

 納税額はなくとも適切に所得を申告することで、国民健康保険料や後期高齢者医療の保険料が減免等になるからです。特に該当する方には、障害者控除対象者認定を行い、申告書への 障害者控除 の適用を行って申告しています。

 これにより審判前では課税対象者だった被後見人等の方が非課税となり、その後の納税が不要となったうえに、過年度分の還付申告も行い、かなりの税金が戻ってきたこともあります。

 

成年後見人の報告義務

 このような財産管理に適切に対応するため、成年後見人は、後見開始時に被後見人の 財産目録 を作成し、家庭裁判所に提出します(審判から1ヶ月以内)。定期的に財産の状況を確認し、必要に応じて更新を行います。また、毎年1回、家庭裁判所に定期報告書を提出するのですが、財産目録も当然に提出します。これにより財産の状況を明確にし、透明性を確保します。
 特に財産管理に限りませんが、成年後見人には、家庭裁判所に対する定期的な報告義務があり、具体的には、審判1ヶ月以内の「初回報告」、1年ごとの「定期報告」があり、他には必要時の臨時報告や、(被後見人等の方の死亡などによる)終了報告があります。いずれの報告も財産目録の提出は必須です。必要な場合は収支報告書の提出や、場合によっては特別な財産処分の許可申請などもありますが、これらの報告義務を遵守し、透明性を確保することが成年後見人の重要な責務です。
 成年後見人は、常に被後見人の最善の利益を考えて行動しなければなりません。財産の使途については慎重に判断し、不正行為や利益相反行為を避けることが求められます。このため財産管理については、財産目録の作成、預貯金や不動産の管理、契約の代理、負債整理など、多岐にわたる業務を行っています。