対人支援に役立つ 会話例で納得!コーチングのすすめ 第1回 コーチングとは?

2025/04/03

 ケアマネジャーには、さまざまな場面で円滑なコミュニケーションをとることが求められます。一方、実際の場面では「困難さ」を抱えるケアマネジャーも少なくありません。本連載では、人間関係構築や多職種連携に役立つコーチングの手法を紹介します。

 

この記事の監修者

眞辺一範(株式会社ふくなかまジャパン代表取締役社長)
1998年、日本初のプロコーチを養成する「コーチ・トレーニング・プログラム」を履修し、認定コーチを取得。現在は国際コーチング連盟プロフェッショナル認定コーチ、(一財)生涯学習開発財団認定マスターコーチ、コーチ・エィ アカデミアクラスコーチ、日本コーチ協会京都チャプター事務局長としてコーチングの活動や実践に取り組んでいる。

 

コーチングとは何か

 コーチングとは、目標達成に向けて相手の自発的なモチベーションや行動変容を促進するコミュニケーションスキルで、人間の主体性を尊重し、伸ばしていく考え方に基づいています。
 具体的にいえば、一方通行の「教える」コミュニケーションではなく、「質問し」「考えてもらい」「引き出し」「共に歩む」双方向のコミュニケーションです。答えを教えるのではなく、どうすればうまくいくかを問いかけてアウトプットする対話がコーチングと呼ばれるものです。

 

 

コーチングには型がある

 コーチングにおいて大切なのは、「目標」「現状」「ギャップ」の明確化です。対話の流れのなかで、「目標」と「現状」をそれぞれ明確化したうえで、なぜこの「ギャップ」があるのかを分析します。そのうえで、具体的に何をするか、何ができるかを考え行動に導くという型があり、私はこれを「トライアングルクエスチョン」と名付けています。この「トライアングルクエスチョン」を意識することがコーチングを成功させる秘訣です。

 

 

万能ではないコーチング

 コーチングは万能ではなく、有効な守備範囲や得手不得手の分野があります。
 コーチングは相手に目標がなければうまく機能しません。そのため、事前に個人や組織の目標を設定し、明確にしておく必要があります。
 また、答えをもっていない相手にはコーチングは不向きです。たとえば、新任者や人事異動してきた者、新しいプロジェクトに選ばれたメンバーなどは、まだ必要な情報を持ち合わせていないため、コーチングに向きません。そうした場合に必要なのは「ティーチング」です。ティーチングとは教えること、つまり「指導」や「指示」をすることで、相手に「問題解決」のために必要な情報をインプットする手法です。


日常会話のなかでトライする

 コーチングは、決して難しいものではありません。まずは、目標をもっている職場の同僚や部下、利用者などに対して、コーチングの型を意識したコミュニケーションにトライしてみましょう。
 日常会話のなかでそれとなくコーチングの型を使ってみると、意外に成果を感じられるかもしれません。
 次回は、コーチングの基本となる2つのフローについて紹介します。